2003年10月13日
谷川賛歌

 この夏は計画していた尾瀬、谷川、上越国境の山々を歩く事が出来た。ガイドブックなどに載っている主要な山をほぼ歩いたと言っても良いだろう。昨年、娘と巻機山に登ったときは周辺の山はほとんどわからなかった。目的の山に登り一つ一つ山座同定をしながら覚えていくしかないのだろう。

 平ヶ岳と大水上山は自分の中で非常に大きな比重を占めていた。平ヶ岳は前日に登山口に詰めて後丸一日を要する山だった。前夜は満天の星。期待に胸はふくらんだが、朝目を覚ますとどんよりとした曇り空。期待が大きかっただけに落胆の中の出発だったが、まあまあ展望には恵まれた。

 何よりの問題は丹後山から大水上山だった。日帰りではとてもこなせない山だと思いこんでいたからだ。避難小屋での一泊が必要だ。しかも天候に恵まれなければ必ず後悔する。それに息子を連れて行きたい。計画を何度か修正しながら実行に移した。日程は限られていたため初日は雨だったが翌日は回復するとの予報を信じて歩き出した。予報通り翌日は好天気に恵まれて中ノ岳まで登れるという満足のいく山行となった。

それと忘れられないのが景鶴山だろう。今年一番の快晴に恵まれた中での山行になった。山頂で一緒になった方が、ヨサク沢で遭難死するというアクシデントに見舞われたが、一つ間違えば我が身、色々と考えさせられた山行だった。

 今回谷川岳に登ってみて、我ながら驚いたのは、それぞれが独立して頭の中にあった谷川周辺の山々が、目の前に広がるパノラマで見事なまでに結びついたことである。今回の山行は何か今までの集大成のような気がしてならなかった。実際は山歩きを始めたばかりの初心者で、まだまだ未踏の山ばかりだれど、何故かそんな想いにかられてしまったのである。

 最近少し歩き慣れてきたせいか山歩きの感動が少なくなってきた気がする。初めて歩く山は見るもの感じるもの全てが新鮮で、まるで探検者の気分だった。山を味わうには無駄な神経を使わず山歩きそのものに集中出来る一人が好きだ。しかし、今回ふとそばに一人いてくれたらと思えたのは何故だろう。

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