空木岳
うつぎだけ
2,864m

中央アルプス
駒ヶ根市
 空木岳に登ろうと計画して3年目。COVID-19の影響や天候に恵まれず空木岳に登ることは叶わなかった。しかし、ようやくその機会が巡って来た。かつては池山林道終点まで車が乗り入れられ日帰り登山も今よりも容易だったようだ。でも、しんぷるライフには日帰りは無理。前泊で早立ち、避難小屋泊まりが必要だ。駒峰ヒュッテに予約を入れ池山尾根コースをピストンだ。満を持しての山行に天候も味方をしてくれて満足な山行となったが、帰路にお花畑の空木平を通らなかったのが唯一の後悔になった。
登 山 日 2023年07月17~18日(晴れ)
メンバー しんぷるライフ、IT
行  程 1日目
スキー場駐車場登山口5:47…6:41三本木地蔵6:45…6:58林道終点7:14…7:42タカウチ場…8:27池山水場8:37…9:12尻無9:24…9:37マセナギ…10:42大地獄…10:47小地獄…10:50迷い尾根…11:12ヨナ沢ノ頭…12:33空木平分岐12:41…13:10駒石13:18…13:51駒峰ヒュッテ14:21…14:30▲空木岳14:55…15:03駒峰ヒュッテ
2日目
駒峰ヒュッテ5:43…6:16駒石…6:36空木平分岐…7:26ヨナ沢ノ頭…7:47小地獄…7:53大地獄8:00…8:44マセナギ9:01…9:09尻無…9:39池山水場…9:54▲池山9:57…10:22タカウチ場…10:36林道終点…10:50三本木10:54…11:37スキー場駐車場登山口
yamap ルートマップ
 登山口の前はぬかるんでいた。登山道に入っても同様で、靴を汚さないように歩くのが精一杯。鬱蒼とした林の中は風もなく湿気が重い。時折、遊歩道が横に走り、つい誘われそうになる。やがて水が切れ歩き易くなるが汗が滲んでくる。今日は暑くなるだろうな。ちょくちょく休みを入れながら、とにかく林道終点に着いた。強い日差しで眼がくらみそうだ。

駒ケ根高原スキー場駐車場最上部が登山口だ

光が入れば明るいが…

林道終点のシモツケ

アサギマダラが一羽
 遠くに目をやれば南アルプスが一望だ。かつてはここから歩くことができたんだよな。往復2時間程の短縮になる。おや、車が一台入り込んでいる。どうやら林道は通過できるようだ。眩しい日差しの下にはシモツケやホタルブクロの群生があった。

東屋から南アルプスが一望だ

林道終点に出た
 東屋で朝食の不足を補う。前泊の駒ヶ根YHは素泊まり(\4300)で食事はコンビニでの調達品。初めてのユースホステル利用となったがなかなか快適に過ごせた。グレートトラバース2の田中陽希も泊まっていたのですね。宿泊者はほとんどが我々と同じ空木岳登山が目的。我々が起きた頃にはほぼ全員が出発した後のようだった。宿から登山口までは目と鼻の先。駐車場2段目に駐車できた。

カラマツの林

ダケカンバの林は気持ちいい
 林道終点からはタカウチ場(鷹打場)を目指す。登山道の空間が広がり暑さもいくらか和らいだ気がしてくる。登山道にも光が差し込み緑が輝いて美しい。相変わらず花は少ないが歩き易い道が続く。タカウチ場までの途中に近道が見えて、近道する?とライフに尋ねたが急だろうから嫌だ!と。それではと赤道をのんびり進んだ。

ギンリョウソウが咲いている?

マセナギ 崩落地という意味らしい
 連休最終日ということもあって登っていく登山者よりも下って来る登山者が圧倒的に多い。タカウチ場では池山への登山者が一組いただけで下山者ばかり。それにしても皆早いものだ。なるべく最短コースを選択して歩いていく。池山小屋近くの水場は枯れる寸前のようだった。尻無、マセナギと歩き易い道は続いていく。こんな感じで標高差1800m余りを登れるのだろうか。

核心部の 大地獄~小地獄に突入

鎖・梯子・ワイヤーロープなどが設置

ミヤマカラマツ

大地獄・小地獄を越えて迷い尾根
 花はイチヤクソウとカラマツソウが目につく。マセナギを過ぎて歩いていくと険しい尾根道になって来た。この登山道の核心部の地獄のようだ。鎖や梯子が整備され不安はない。ここにきてトレラン姿の若者がどんどん追い抜いていく。日帰り弾丸登山だな。また下山してくる登山者も多くなり登山道が賑やかになって来た。嬉しいことにハクサンシャクナゲが見頃に咲いている。大地獄・小地獄と過ぎたようで、道は穏やかになり迷い尾根に着いた。この先も橋や階段が続くが特に危険はない。そしてヨナ沢の頭に着いた。

ヤグルマソウが咲く

空木岳が見えてきた 薄っすらとガスが…

森林限界を抜けて展望が開ける

木曽駒ケ岳からの稜線
 ヨナ沢ノ頭からは歩き易い道が続く。空木平への分岐を分けて歩くこと10分ほどで森林限界を抜けた。薄いガスの向こうに空木岳が見える。雲はあるが中央アルプスの稜線は良く見えている。空木岳にかかるガスも心配はいらないようだ。次は駒石だな。

駒峰ヒュッテが見えてきた

駒石はもう直ぐ

石と呼ぶには大き過ぎる

気持ちいいなあ

見えてはいるがなかなか着かない

空木岳側から見る駒峰ヒュッテ
 駒石からはザレ気味の道を行く。山頂近くに駒峰ヒュッテが見える。砂礫だがコマクサはない。やっとヒュッテに着いた。受付をするが予約確認もしない。下では今日も一杯と聞いていたので確認すると、昨日は定員オーバーで一階にも泊めたんだとか。しかし今日は嬉しいことに空いていると。ゆっくり休めそうだ。冷えたビールもあるという。荷物を整理して一休みの後、空木岳山頂に向かう。

空木岳の山頂

中央アルプスの縦走路 険しい道だとか

山頂からヒュッテを見下ろす

木曽殿越 方面 岩々だ

やったー!

岩の稜線が美しい
今日は晴れていても明日はどうなるかはわからない。今この時を無駄にしてはいけない。ちょっと荒れ気味のザレた登山道を登り山頂に着いた。多くの登山者が下山した後なので貸切りの山頂だ。南駒ケ岳方面は見えないが木曾駒ケ岳への稜線は良く見えている。昨年の計画ではこの稜線を歩く予定だったのだ。最高の山頂だ。青空もあるし吹く風が実に心地良い。何の不満があるものか。

ホソバツメクサかな

グレートトラバース3 田中陽希も立ち寄った
 駒峰ヒュッテは7/15から開設しているが、今日の女性小屋番さんは初日から4泊で明日に交代するとのことだ。山頂から戻って氷結ビール下さいと言ったら、酎ハイ?メニューにはないけど小屋番用に置いてあるとのこと。冷えたビールでお願いしま~す。夕食を済ます頃に、ライチョウ生息調査員二人がヒュッテに来た。めったにない機会なので雷鳥の捕獲方法や調査の方法などを尋ねてみた。より高い場所を縄張りにすることで雄社会の序列が決まること、雌が雄の縄張りに入り込んで繁殖をしていくことなど興味深い話を聞くことができた。 さあ明日も晴れるだろうか。

山頂からご来光

日の出の空木岳

塩見岳の陰に富士山が頭を出す

南駒ケ岳だ 歩いてみたいなあ
 翌朝は期待通りの天気。一人で山頂を目指した。日の出に間に合い改めて南アルプスの陰影を楽しむ。今日は南駒ケ岳方面もすっきりと見えている。山頂までは3kmとある。さすがに往復は出来ないな。あ~、歩いてみたい稜線だ。

槍・穂高連峰が見えた

南駒ケ岳への稜線

南駒ケ岳への稜線 素晴らしい景色だ

御嶽山が近い
 昨夜は満天の星も楽しめた。非日常の中に時を過ごすのは実に楽しい。心が開放される。大きな満足感に浸って山頂を降りた。相棒達が待つヒュッテに戻って朝食だ。天気に恵まれ最高の山行になりそうだ。中央アルプスも1週間ぶりの晴れだと言っていた。

中央アルプス 駒ケ岳への稜線

御嶽山 ちょっとズームで

空木岳 これで見納め

イワギキョウかな
 池山に下山していく同宿者は少ない。南駒ケ岳や木曽殿越え方面に縦走していく。駒石方面に向けて下っていく。迷い尾根付近で登って来る女性小屋番さんと話をした。ヒュッテは駒峰山岳会が管理・運営していて、会も高齢化で小屋番ができる人数が6人ほどなのだとか。なかなか大変なようだ。池山林道終点に止められていた車は小屋番さんのもの。ご苦労様です。

池山から南アルプス

朽ちてきている

宝剣岳

池山頂上
 池山を目当てに登る登山者もいることだから、展望はあるだろうということで帰路に池山に登ることにした。ライフさんが調べると南アルプスや中央アルプスの展望が得られるとのこと。水場から、朝露に濡れた笹の中をパンツをびっしょに濡らして歩いていく。ここは笹刈りがされていない唯一の場所のようだ。緩やかな斜面を歩いていくと、山頂には1組の登山者が休んでいた。南アルプスは立木が邪魔をして良く見えないが、千畳敷カールは正面に見えた。

サルオガセ

林道終点トイレの案内
 タカウチ場からは近道を選択して直線的に下って行くと林道終点のトイレ裏に出た。小屋番さん二人の車が止められていた。相変わらず陽射しは強い。逃げるように登山道へと入っていく。登山口までは来た道を戻った。
 下山後は当然日帰り温泉だな。近くの こまくさの湯 で入浴と食事を楽しんだ。好天の元、空木岳に登ることができてよかった。


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