早池峰山
はやちねさん
1917m
北上山地

岩手県
登 山 日 2019年07月28日(晴れ時々曇り)
メンバー しんぷるライフ、KM
行  程 岳駐車場6:30==(シャトルバス)==6:52小田越7:00…7:25一合目御門口…8:15五合目御金蔵8:20…8:48八合目…8:54剣ヶ峰分岐…9:10▲早池峰山9:50…10:25五合目…11:15小田越
 6月下旬に予定していた早池峰は、週末の天気の悪さから延びのびになってしまった。朝6時過ぎの岳駐車場はまだまだ余裕があった。毎年6月第2日曜から8月第1日曜までの土・日・祝日に交通規制が行われている。今日は7月最後の日曜日だから早池峰の登山時期としては終盤ということになる。可憐なヒメコザクラはもう終わりだが、ハヤチネウスユキソウを代表とする早池峰の花々はまだまだ元気だろう。駐車場のテントで小田越までのシャトルバス往復券(\1600)を購入し、揺られること20分余りで小田越登山口に着いた。

小田越 早池峰登山案内図

小田越登山口

立派な標識だ 標高1250m
 登山口は岳駐車場と同様に、早池峰の環境保全のために携帯トイレの利用を励行している。登山道にもトイレブースが設置されていることから大変力を入れているようだ。さて、現在位置はとスマホを確認するがGPS電波を拾ってくれない。数分待ったが拾ってくれないようなので歩き出す。そのうち拾うだろう(しかし、最後まで拾ってくれなかった)。

登山道に入る

コメツガやシラビソの林

樹林帯を抜けると一気に展望が開ける
 登山道は濡れている。早朝とは言えないが薄曇りの天気の下でコメツガの樹林帯は意外と涼しい。山頂までの標高差は700m足らずだ。登りコースタイムは2時間ちょっとの計算。あっさりと樹林帯を抜けると満を持しての青空が迎えてくれた。そして山頂までの展望が一気に広がる。今日まで待った甲斐があったよ~。しかし、こんなにあっさりと森林限界(およそ1300m)を超えてしまうとは驚きだ。

マルバシモツケ

コメツツジ

シラネニンジン

イワオトギリ
 早池峰は山全体が、かんらん岩や蛇紋岩で形成されている。蛇紋岩から溶け出すマグネシウムが植物の根が水を吸い上げるのを妨げ、また、蛇紋岩は風化しても土壌となりにくく、植物の栄養となるリンや窒素も乏しい状態にある。それに加えて、雪の少ない早池峰では冬には土壌の水分が凍結してしまう。その結果、厳しい環境下でしか成育できない「氷河期の生き残り」とされるハヤチネウスユキソウやナンブトラノオなどの固有種をとどめ、140種の希少な高山植物が生育しているのだ。そして森林限界は1300mと低い。
参照「三陸ジオパークオフィシャルWebサイト

なんと一合目の標識

森林限界を抜けて展望良し

山頂稜線が見える
 森林限界を抜けるとハイマツの緑と露出するかんらん岩や蛇紋岩が続く。そして直ぐに一合目。高山植物帯を避けるように登山道が付けられている。蛇紋岩のガレ場は滑って歩きにくい。下りには十分な注意が必要だろう。雨に濡れたら最悪かな。早池峰の独特の植生は同じ蛇紋岩帯の至仏山や谷川岳と共通するところが多いようだ。足元には固有種であるナンブトウウチソウ・ハヤチネウスユキソウや、イブキジャコウソウ、タカネナデシコなどが途切れることなく咲いている。

ナガバキタアザミ?

キンロバイ

ナンブトラノオ

ミネウスユキソウ

イブキジャコウソウ

ハイマツの実

ハクサンシャジン

ハヤチネウスユキソウ

青空が広がる 待った甲斐あった~

上がって来るガスもいい感じ

ガレた登山道を登る
 山頂までの眺望が得られ、また、ハイマツ帯の緑が美しい。時折、ガスが上がって来るが爽やかな青空が切れることはない。程よく吹く西風が心地良く感じられる。周囲の展望はというと、東側はそこそこ見えているが、西側は雲でまるでダメ。山頂からも岩手山とかは見られそうもない。

ウメバチソウ

ハヤチネウスユキソウ

ホソバツメクサ

ハヤチネウスユキソウ

ナンブトウウチソウ(固有種)

おや、ガスが…

五合目御金蔵 誰か登ってる

チシマフウロ

タカネサギソウ

サマニヨモギ

マルバシモツケ

ガスの向こうに薬師岳

かっこいいなあ

山頂は険しそうだが
 登山者も多い感じだが、登山道は広く渋滞の様相はない。とにかく展望が開けているので歩いていて気持ちがいい。五合目御金蔵は休憩するにはちょうどいい場所だ。コースタイムは少し甘いようでのんびりと歩ける山だろう。できれば雪解けの花から見てみたいところだが、群馬県からではそうもいくまい。

ミヤマオダマキ

ハヤチネウスユキソウ

タカネナデシコ

ミヤマアズマギク

ハヤチネウスユキソウ

梯子だ 怖そうだが…

楽に登る
 2連の梯子を快適に登っていけばいよいよ稜線は近い。振り返れば小田越を挟んで対峙する薬師岳が頭を見せている。薬師岳から見る早池峰は見事だというが何となく想像がついてしまうなあ。それほど、登山道からの展望もいいということだ。

梯子を登り終えて薬師岳

ナンブトウウチソウとハヤチネウスユキソウ

八合目

剣ヶ峰分岐 もうすぐ山頂

御田植場は花がいっぱい

▲早池峰山頂
 八合目を過ぎると剣ヶ峰分岐。山頂が間近に見える。木道が山頂まで続くが、道脇はお花が一杯で登山者を楽しませてくれる。花の百名山の名に恥じない山だなあ。平坦な道をいくと避難小屋の前に出た。山頂はすぐそこだ。早池峰神社奥宮の前に一等三角点「早池峯1913m」があった。

ナンブトウウチソウ

ヨツバシオガマ

タカネニガナ

ハクサンチドリ

ミヤマアズマギク

アオノツガザクラ

キバナノコマノツメ

ミヤマカラマツ
 山頂はややガスが多く遠望は得られない。山頂の一角に腰を下ろし空腹を満たそう。朝4時過ぎの朝食だったから思っていたよりも腹が空いている。インスタントだが山で淹れて飲むコーヒーは身も心もホッとさせてくれる。今日は快適な登山日和だ。遠望が得られないのは残念だがそれは仕方ないかなとも思える。この山旅は早池峰を充分に堪能できたのではないかな。

登山道方面はガスの中?

避難小屋 快適に泊まれそう

御田植場を俯瞰する

ハクサンシャジン

ミヤマアキノキリンソウ

ナンブイヌナズナ

ミヤマコウゾリナ

ヨツバシオガマ

チングルマの穂

ネバリノギラン

タカネアオヤギソウ
 帰路に避難小屋を覗いてみたが、なかなか綺麗で快適に過ごせそうだ。再び御田植場の花畑を楽しみながら歩いていく。いいね、早池峰の花々。痛む腰と膝をかばいながらの下山は大変だったが、下山後は満足感だけが残った。近くに住んでいれば何度となく登る山だろうに。

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