鳥海山
ちょうかいさん
2,236m
出羽山地

 鳥海山は尾瀬燧岳に次ぐ東北第2の標高を誇る山だ。昨年、月山に登った折に山形県鶴岡市から見た鳥海山の山容は実に素晴らしく、登ってみたい山になった。鳥海山の山小屋はあまり評判がよろしくないようで日帰り登山となった。
登山日 2018年08月19日(曇り一時晴れ) しんぷるライフ、KM、IT
行 程 鉾立05:14…06:17賽の河原…06:48御浜小屋06:54…07:10御田ヶ原…07:20御田ヶ原分岐…07:41七五三掛…09:10御室09:12…09:30▲鳥海山09:47…09:59御室10:00…10:19▲七高山10:59…11:18行者岳…11:26伏拝岳…11:45文珠岳…12:12七五三掛…12:28御田ヶ原分岐…12:41御田ヶ原…12:53御浜小屋12:57…13:18賽の河原…14:09鉾立
ルートマップ(ヤマレコ)

 山居倉庫を見物して鉾立山荘に前泊だ。無理をすれば一泊二日でも登れそうだがやめておこう。素泊まり宿だが調理器具、ガス台、電子レンジ、冷蔵庫、シャワー設備があり快適に過ごせる。部屋は二段ベッド二つで四人が宿泊できる。布団も快適。廊下には畳が数枚用意されていたから一部屋五人は泊まれるのだろう。施設は清潔感がありポットン便所だが臭いは少ない。

鉾立山荘

鉾立

鉾立登山口
 朝4時に起床して5時には出発と思ったが少し遅れてしまった。鳥海山五合目の鉾立駐車場は広く鳥海山や日本海が望める。鳥海ブルーライン最高点である鉾立を登山口とする象潟口コースは展望に優れる人気のあるコースだ。昨夜は満天の星が輝いていた空だが、朝を迎えたら薄雲に覆われている。まあ強い日差しがなく歩きやすいと考えればいいだろう。幸運なことに山頂はしっかりと見えているのだから。

鉾立展望台から鳥海山を望む

庭木を手入れしたような登山道
 舗装路を登っていくとすぐに鉾立展望台だ。観光客はここで引き返すのかな。遠くには鳥海山山頂部が、眼下にはV字型の奈曽渓谷がすごい。展望台を下り登山道へと戻る。道は広く石畳が敷かれ、またよく整備されていて鳥海山の歴史を感じる。やけに展望がいいと思えば既に森林限界を超えているんですね。東北の山はきっと森林限界が低いのだろう。

ヤマハハコ

ニッコウキスゲ

イワイチョウ

ミヤマアキノキリンソウ

ニッコウキスゲが咲き残る

岩畳が敷き詰められている
 足元に咲く花を見ればもう秋の気配だ。もっとも暦の上ではもう秋だから納得できる。ところがニッコウキスゲやハクサンイチゲが咲いている。雪深い東北の山の春は遅いため短期間で次々に咲いていくのだろう。まだチングルマも少し残っていた。道はほぼ全域石が敷き詰められていて歩きやすいが膝には優しくないのが玉に瑕。

もうすぐ賽の河原

岩がゴーロゴロの賽の河原

ヨツバシオガマ

チングルマの穂

イワショウブ

キンコウカ
 雪解けの水が残る場所が賽の河原だ。雪解け直後に咲く花はもう終わっているが名残はある。この鳥海山はどこもかしこも花が群生するようだ。賽の河原を抜けると広々とした草原となる。そして愛宕坂を登っていくと庄内平野や日本海が見えてくる。山に登りながら海が見えるなんて実にいい。傾斜が緩むと小屋が見えてきた。

御浜小屋

鳥海湖と鍋森がもっこり
 先ずは第一目標の御浜小屋に着いた。ここで全登山道でもっとも歴史のある大平登山口からの伝統的ルート【吹浦口】と道を合わせる。何となく稜線に出ると展望が一変する。何といっても素晴らしいのが鳥海湖だ。その先には鍋森がもっこり。使われている「森」とは「もっこり」からきているのではないかな。扇子森とか近くには森を使った地名が多い。もう少し時期が先になれば大草原に広がる草黄葉に目を見張るのではないだろうか。鳥海山は独立峰であり麓へと続く展望が実にいい感じだ。

ハクサンフウロ

ミヤマセンキュウ?

ホソバイワベンケイ

オヤマリンドウ

小田ヶ原
鳥海山がだいぶ近くなってきた

振り返る たおやかな山容が素晴らしい
 御浜小屋からはのんびりと登山道を行く。八丁坂を登り七五三掛へ出る。振り返れば歩いてきたたおやかな山容が続いている。七五三掛から千蛇谷コースと外輪山コースとに道を分ける。立派な道標が立つが行き先がマスクされている。さらに進むと同じような道標が立ち、今度はきちんと分岐先が表示されている。きっと間違えて立てたんだよと話しながら千蛇谷へ下っていく。

七五三掛から振り返る

千蛇谷へ下る

雪渓を渡る
 事前調査不足で谷に下るとは予想外。しかし予定通りに新山を目指す。何気に振り返ればコース外に梯子が見える。よく見れば道が付いている。下る道は新しく整備されているし、どうやら道が付け替えられたようだ。これで道標の件は納得する。一気に千蛇谷へ下り谷底の雪渓を横切る。展望がだいぶ変わってしまったな。降りてくる登山者は少なく、大方外輪山コースを行くようだ。

千蛇谷を行く

所々に雪渓が残る
 御室へと続く道は一旦下っただけに標高差が大きくなってしまった。道脇には背の高いアザミがずっと咲いていたが、これが鳥海山固有種のチョウカイアザミだったようだ。比較的傾斜のある道は降りてくる登山者が多い。御室小屋泊まりなのだろうな。快適な夜を過ごせただろうか。
 千蛇谷から見上げる外輪山はまるで浅間山の外輪山を想わせる。その稜線を歩く登山者の姿がよく見える。展望もよさそうだ。帰路は外輪山コースに決まりだな。谷といっても開放感はあり快適な道が続く。やがて御室小屋の赤い屋根が見えてくると新山が目の前に現れた。

新山 溶岩ドーム

御室小屋

新山頂上を目指す
 まだ足のほうは大丈夫。一気に新山に登ってしまおう。白ペンキに従って岩を登っていくがライフさんの足が軽快だ。岩は滑らないので態勢さえ崩さなければ問題はない。緊張の中にも待望の鳥海山の頂に立つことができた。岩の山頂は狭く、写真を撮ったら交代ね、みたいな感じで登山者が次々と写真を取り合っている。展望は素晴らしく独立峰ならではだ。快晴であったならどれほどの展望が広がるのだろうか。

岩岩々だ
溶岩ドームを軽快に進む
 さて、このまま周回して新山を下ろう。ここ新山は時計回りで歩くのがいいのかな。下りには胎内くぐりがあったがパス。白ペンキを頼りに下れば外輪山がすぐそこに見える。七高山まで足を延ばそう。外輪山稜線には多くの登山者が行き来している。
   
   
新山から外輪山を望む

七高山

外輪山から望む新山
 御室から赤茶けた道を登るとわずかで外輪山稜線に出る。分岐を左にとり七高山へと着いた。ここは標高2229mで一等三角点が置かれている。対峙する新山の荒々しい溶岩ドームがドーンと目に飛び込んでくる。鳥海山は変化に富み本当にいい山だと思う。

外輪山稜線から

御室と新山
 七高山で腹ごしらえをして外輪山コースで七五三掛まで戻ろう。展望に優れる外輪山コースがメインコースになるのは当たり前か。快適な稜線歩きと大展望を堪能しながらの山行は最高だ。皆の足取りも軽そうだ。

酒田市方面を望む

遠く月山を望む

外輪山全貌

新山と外輪山
 歩くたびに刻々と景色が変わっていく。ただただ鳥海山の良さに感心するばかりだ。麓から見る秀麗な山容も素晴らしいが歩いても最高だ。

外輪山コースを下る

ハイマツ

鳥海山山頂部 馬蹄形に見える
 外輪山を快適に下っていけば七五三掛分岐に出た。山頂部は荒々しいが、ここからの道は稜線が曲線でつながっていて非常に柔らかな印象を受ける。往路で見てきた花や展望が再び目の前に広がる。高山植物が咲き乱れる時期に歩いてみたいものだ。もう一度歩きたい山になった。

御浜方面再び

扇子森へ登り返して

シロバナトウウチソウ

シラネニンジン

イワブクロ

チョウカイフスマ
inserted by FC2 system