白山 はくさん 2,702m 石川県白山市 |
白山最高峰の御前峰(ごぜんがみね 2,702m)、大汝峰(おおなんじみね 2,684m)、別山(べっさん 2,399m)は白山三山と呼び、さらに剣ケ峰、白山釈迦岳を加えて白山五岳(ごがく)と呼んでいる。富士山、立山と合わせて日本三名山、あるいは三霊山とも呼ばれ、古くから日本の山岳信仰の中心的な役割を担ってきた。また、白山は高山帯を有する山では最も西に位置しているため早くから植物の研究が進み、「ハクサン」の名が付く植物が多い。ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ハクサンフウロなど18種にも及ぶ。ゴゼンタチバナは御前峰、オヤマリンドウのオヤマは白山を指すのだと言う。信仰と花の白山、花期には少し遅いが初めての山の日でもあり、思い切って出かけてみた。 |
登山日 | 2016年8月11〜12日(晴れ) | しんぷるライフ、KM、H |
行 程 | <1日目> 月夜野IC4:40===5:55長岡JCT===6:40名立谷浜SA7:00===8:50白山IC---10:15市ノ瀬10:30---10:50別当出合10:55…11:35中飯場11:55…11:25甚之助避難小屋13:40…14:00南竜道分岐…15:05黒ボコ岩…15:20エコーライン分岐…15:35室堂 <2日目> 室堂6:40…7:20御前峰7:30…8:15千蛇ヶ池…9:00室堂C…9:22黒ボコ岩…9:45馬のたて髪…10:00殿ヶ池避難小屋10:40…11:30別当坂分岐…12:30別当出合 |
市ノ瀬からシャトルバスに乗り、別当出合に降り立つと真夏の陽射しが降り注いでいる。これからの山歩きは暑さとの戦いになりそうだ。登山道は最短コースの砂防新道、出足が遅いだけに賢明な選択だと思うけど。砂防新道は砂防工事のための作業歩道で趣はないとされているが、水場やトイレが整備され利便性はありそうだ。 | |||||
別当出合登山口 |
鳥居をくぐって |
つり橋を渡ると砂防新道 |
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道は作業道ということもあって良く整備されている。砂防新道は登山者の8割が利用するそうだ。ブナの木が多い樹林帯を道脇の花を愛でながら上っていく。予想通り暑さがこたえる。そろそろ一休みと思っていると広場に出た。中飯場で、トイレがありベンチが置かれ、多くの登山者が休憩している。日陰に入って簡単なランチだ。 | |||||
中飯場 トイレ完備 |
整備された登山道が続く |
同じような道標が要所に設置 |
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再び登山道に入る。相変わらずの樹林帯で日陰が多いが風がなく汗が噴き出してくる。既に花の最盛期は終わり、夏の花ばかりだがそこそこ種類があり楽しめる。時折樹林帯から解放され展望が開ける。別山が見事な山容を見せるようになると甚之助避難小屋にでた。ここも登山者で賑わっている。水道の冷たい水を頂き、ペットボトルにも補充して黒ボコ岩を目指す。 | |||||
ミヤマシシウドだと思うが… |
中飯場手前から別山方面 砂防工事が続く |
甚之助避難小屋 とにかく休憩 |
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別当出合の標高1260m、室堂センターは2450mで標高差は約1200m。道のり6km、コースタイムは4時間。今日は室堂センターまでの予定だから決してきついものではないが、6時間に及ぶ移動時間と寝不足や暑さでメンバーの足取りは重い。それでも徐々に増えていく花の種類や数の多さに慰められて歩いていく。黒ボコ岩まで進めば何とかなりそうだ。 | |||||
花数が多い |
陽射しを避けて |
別山がすっきり |
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斜面を見上げれば花と青空 |
黙々と歩く? |
登山道を振り返る |
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南竜道分岐付近からは樹林帯を抜け高山帯となる。別山の山容が素晴らしい。斜面に続く登山道を歩いていく登山者が良く見える。時折小さな沢があり、冷たい水が渇いた喉を潤し火照った身体を冷やしてくれる。 | |||||
黒ボコ岩が見えて来た |
山腹はお花畑になっている |
ガスが上がってきたが |
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黒ボコ岩直下の十二曲りを花を楽しみながらジグザグと歩いていくと待望の黒ボコ岩に着く。そこに鎮座する黒ボコ岩は黒色ではなく灰色だ。ここで帰路に使う予定の観光新道と道を合わせる。この道は越前禅定道の一部でありその歴史に思いをはせる。 | |||||
十二曲 もう一踏ん張り |
黒ボコ岩はもう少し |
黒ボコ岩に着いた |
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黒ボコ岩から弥陀ヶ原に向けて歩を進める。やがて白山最高峰の御前峰が見えてくる。しかし室堂センターは見えない。まだ標高差100m以上あるのだ。それでも、やれやれ、しばらくは平坦な道となる。先が見えてメンバーの表情も緩んでいる。 | |||||
弥陀ヶ原には木道が続く |
やれやれ |
室堂センターに着いた |
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風が吹き抜ける木道をのんびりと歩いていく。最後の上りとなる五葉坂を一気に上れば室堂だ。宿泊棟はこざくら荘。荷物を降ろして周囲を散策だ。ハクサンフウロ、イブキトラノオ、オヤマリンドウ、オンタデ、ミヤマタンポポなどが咲いている。夕食前に一杯いただくとしよう。 | |||||
御前峰登山道から室堂・別山 |
御前峰から大汝峰と剣ヶ峰 |
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夜中も晴れて満天の星空に恵まれた。3時を回ると同室者がワサワサと準備を始める。ご来光にはまだ早いだろうに別山まで行ってくるのだろうか。コザクラ荘一部屋の定員は5人×4で20人。10部屋あるから全部で200人程泊まれることになる。予約制なので詰め込みはないはずだ。 我々は5時過ぎの日の出を山小屋の外で確認してからゆっくりと朝食をとる。御前峰が朝日に照らされてからの出発だ。御来光を山頂で楽しむ登山者が多いのだろうか、山頂に登っていく登山者は心なしか少ない気がする。再び室堂まで戻るのだからザックは置いてくれば良かったと意見が出た。ごもっとも(笑)。 |
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大汝峰と剣ヶ峰をバックに一枚 |
白山最高峰 2072m |
誰だ? |
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白山奥宮で登山の無事を祈願して記念写真だ。雲海が遥かかなたに続き、北アルプスの峰々がわずかに頭を出している。白山は石川、福井、岐阜にまたがる独立峰であり古くから霊山として崇められた山だ。北アルプスが遠く感じるのは私だけではあるまい。御嶽山も雲海の上に独特な頂上部を浮かべている。随分と遠くに来たものだ。 | |||||
御前峰を振り返る |
翠ヶ池 |
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禅定で展望を楽しんで白砂の山頂台地を火口跡に下っていく。大汝峰、剣ヶ峰を見ながら快適な道だ。御前峰をジグザグと下り池めぐり周回コースに入る。歩いている登山者は少ない。室堂から御前峰を往復する登山者が多いのかもな。この一帯は雪融けの花が多そうだ。一部に雪渓が残っていて改めてこの山の雪深さを感じる。 | |||||
大汝峰は眺めただけ |
さて何処を回るかな |
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大汝峰には誰も行こうと言いださない。白山に登るのは最初で最後だと思っていたから大汝峰にも足跡を残しておきたかったが仕方ない。足元の花や幾つかの池を楽しみながら歩いていく。千蛇ヶ池を過ぎて室堂に戻る道はハイマツの道だ。ブルーベリーやニガイチゴを口にしてみた。 | |||||
千蛇ヶ池 |
お池巡りコースを行く |
室堂に戻って下山だ |
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別山は素晴らしい山容だ |
イブキトラノオの群生 |
タカネマツムシソウ |
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室堂で用事を済ましていよいよ帰路に入る。緩やかな下りは快適に足が進む。黒ボコ岩から観光新道に入る。名前の通り登山道は花畑になっている。傾斜も緩やかではなく楽な道ではないが花の多さに目を奪われる。種類だけでなくその数の多さに驚かされる。さすがに花の百名山。吹く風も心地よい。 | |||||
馬のたて髪 |
ナナカマドが赤い実をつけた |
殿ヶ池避難小屋で休憩 |
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やがて殿ヶ池避難小屋に着く。下りとはいえ疲れないことはないから充分に休憩をとろう。観光新道には砂防新道と違って水場がない。トイレの水も雨水をタンクに溜めたものだ。やがて仙人窟を過ぎたあたりからお花畑も終わり、道も急坂になってくると別当坂分岐に着く。急に混みだした登山道を疲労した足をかばいながら下っていけば別当出合に出た。 | |||||
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知恵袋(Blue Signalより) <本地垂迹> 神仏混淆は日本独自の信仰形態で、神は本地である仏の仮の姿として現れるもの、つまり「権現」である。 <禅定道> 白山信仰が広がるにつれ、多くの修行僧や信者が白山に登拝するようになる。その登拝のために切り開かれたのが禅定道(ぜんじょうどう)だ。修行の道、信仰の道である。禅定とは白山の山頂を指し、神と仏の住む世界、あるいは聖なる世界で修行すること、また仏教修行の極地を意味するともいう。禅定への道は、白山を囲む越前、加賀、美濃の3国に開かれ、それぞれ越前禅定道、加賀禅定道、美濃禅定道と呼ばれた。これらの禅定道の起点を馬場(ばんば)という。馬を留め置く場所で、馬場は登拝の拠点でもある。越前馬場には福井県勝山市にある現在の平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)、加賀馬場は石川県白山市にある白山比刀iしらやまひめ)神社、そして美濃馬場は岐阜県郡上市の長滝白山神社が開かれた。 |
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登山道で出合った花(全部ではないが…) | |||||
ハクサンフウロ |
ミヤマリンドウ |
ソバナ |
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オタカラコウ |
タマガワホトトギス |
センジュガンピ |
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ツルニンジン |
サラシナショウマ |
ハクサントリカブト |
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シモツケソウ |
カライトソウ |
アザミ |
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ヤマハハコ |
イワギキョウ |
チングルマ |
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ヨツバシオガマ |
??? |
ウサギギク |
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??? |
イブキトラノオ |
タカネマツムシソウ |
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シナノオトギリ |
タカネナデシコ |
オタカラコウ |
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タカネツメクサ |
ミヤマダイモンジソウ |
ハクサンシャジン |