平標山・仙ノ倉山
たいらっぴょうやま・せんのくらやま
1983m・2026m

谷川連峰

 平標山は岩のイメージが強い谷川山系の中でも、仙ノ倉山と並んでたおやかな山容が特徴的だ。位置的には主稜線の西の端に当たる。二つの山の鞍部にはハクサンコザクラ、ハクサンイチゲなどが咲くお花畑があり、これを楽しみに登るハイカーも多い。他にも多くの高山植物を見つけることが出来る。
登山日 2016年5月28日(曇り) しんぷる
行 程 平標山登山口P 6:20…7:08鉄塔…7:36松手山…8:47▲平標山…9:34▲仙ノ倉山9:57…10:52平標山…11:21平標山乃家(大源太山方面散策)12:15…12:48平元新道登山口…13:13林道ゲート…13:33登山口P
 年に一度は登っておきたい平標山。数年登っていないと思っていたが昨年も同じ時期に登っていた。記録を見れば高山植物が若々しく美しい。昨年は降雪が例年の半分程度と水不足が心配だが、自然は脆くそして逞しい。今年はどこも開花が早く少し、今日のところは花期を失したかもしれないが、とにかく歩いてみよう。少し早起きをしたつもりだったが多くの車が駐車場に止められていた。

タニウツギが咲く

アカモノ見つけ

ムラサキヤシオは終盤

シラネアオイが残っていた
 いつも通りに松手山経由だ。天気予報は曇りのち晴れだから涼しいうちに稜線に出ておきたい。しばらく長丁場を歩いていないので今日のザックは出来るだけ軽くした。はやる気持ちを抑えて先ずは鉄塔を目指す。この樹林帯は特に見るべき花は少なく、やや色濃くなった新緑の中を黙々と歩いていく。ハルゼミが今を盛りと鳴いている。快調に鉄塔に着くと多くのハイカーが休憩中だ。巻き込まれては面倒なので先を急ごう。
 鉄塔を過ぎ再び樹林帯に入るとドウダンツツジや足元に花が出てくる。樹林帯を抜ければ稜線だ。登山道には既に残雪はなくこの冬の降雪の少なさを実感する。曇天の下、平標山が姿を現した。天気が良ければ逆光となるところだが、今日は全体が暗い。開けた展望や花に足を止められながら歩いていけば松手山に着いた。山頂の立派な山頂標識がなくなっていた。 

稜線から南方を望む

稜線を振り返れば苗場山
 綺麗に笹刈りされ、歩きなれた登山道を進む。登山道脇にはアカモノ、イワカガミ、ミツバチグリなどが咲く。斜面にはムラサキヤシオやシャクナゲ、ミネザクラが咲き残っている。本当に今年は早いなあ。大山祗への階段を上っていくとハクサンイチゲの群生地がある。こちらは元気一杯だ。何となく薄日が差してきた。ミツバオウレンの数が増えてくると平標山頂に着いた。大展望が広がる。青空は出ないが墨絵のような展望がある。富士山も姿を見せているから不思議だ。

最初のハクサンイチゲの群生地

少しアップで

ミネザクラと大山祗の頂
 仙ノ倉山へと続く笹の原はまだ緑一色ではなく茶色が目立つ。これから本格的な夏の化粧を始めるのだろう。笹のない草原も雪融けが終わったばかりの様相で、茶色の地肌を見せている。直下のお花畑はどうかな。階段を下っていく。

平標山から仙ノ倉山方面を望む 緑はまだ少し先かな

山乃家方面 大源太山から三国山への稜線だ
 点々と紫色がある。黄色もある、白もある。主役のハクサンコザクラが咲き始めた。これからこの花畑は色とりどりに染められていくのだろう。

ミネズオウ

ハクサンコザクラ

ハクサンイチゲ

 

チングルマ見つけた

ミツバオウレンが沢山
 仙ノ倉山への上りに入る。ここから振り返る平標山の山容はいつ見ても素晴らしい。ひょっとして一番好きな風景かもしれない。シャクナゲが色濃く咲いている。そしてその数も多い。平標山と仙ノ倉山との鞍部はシャクナゲの数がこんなに多かったのだろうか。すれ違う登山者もシャクナゲに見入っているようだ。ハクサンイチゲを見に来たつもりなのに、シャクナゲ山行になってしまったと嬉しそうに話してくれた登山者もいた。今が最盛期かな。その代わり足元の花はまだこれから。再びミツバオウレンが数多く目につくようになると仙ノ倉山に着いた。

平標山とシャクナゲ

仙ノ倉山から遠く谷川岳を望む

仙ノ倉山からエビス大黒方面 北毛の山々が見える

たおやかな平標山と苗場山
 エビス大黒の頭の山容は荒々しい。仙ノ倉山から先は別の山容へと変わっていく。万太郎山が近くに見えるのは気のせいかな。いずれにせよ主脈縦走は大変だ。山頂から少し足を延ばし写真を撮って戻る。ライフさんの手作り卵焼きが美味い!(^^)!。おにぎりに良く合う。谷川山系最高峰の仙ノ倉山には三々五々登山者が登ってくる。しかし縦走者はいないようだ。

仙ノ倉山山頂のシャクナゲ

若々しいハクサンイチゲ

チングルマも漸く咲き始めた

オオカメノキとシャクナゲのコラボ

シャクナゲが点々と続く
 明日5月29日は平標山の山開きだそうだ。駐車場の料金は無料にはならないが、駐車場内でけんちん汁などが振舞われるとのことだ。高山の山開きは雪が消えてからの開催が多いようだ。

平標山は群馬県みなかみ町と、新潟県南魚沼市にまたがる。谷川連峰西端の高峰で、東に接する仙ノ倉山へ続く広い稜線には、ハイマツやシャクナゲの緑地に高山植物の群落が点綴し、山上の楽園を形成している。
 平標山の「標」とは、乗越の分岐点や分かりにくい場所に、目標の柱などを建てた所という意味。その名のとおり山頂は広く平らな所であり、4コースの登山道が交差する十字路でもあるので、大きい道標はあるが、残雪期や天候の悪いときなど特に注意を要する。
 みなかみ町営の平標山の家と湯沢町元橋とを結ぶ平元(ひらもと)新道は、平標山への最もポピュラーなコースである。林道歩きから、展望の利かない樹林帯を抜けて、平標山ノ家に出ると、頂上周辺まで一望のおおらかな風景で報われる。「YAMAKEI ONLINE」より

平標山

チングルマが咲きだした

タテヤマリンドウがかわいらしい

チングルマ アップで
 シャクナゲの咲きっぷりに感動しながら平標山まで戻った。山乃家への階段を下っていく。イワカガミが多い。シャクナゲロードは意外と花数が少ない。すでに終わったわけではなさそうだが。足元にはタテヤマリンドウが点々と咲いている。湿地帯は水分不足気味だが、イワウチワは無事に咲くのだろうか。大源太山に登って平標山と仙ノ倉山を一気に眺めてみよう。

← シャクナゲロード

平標山乃家

イワナシがわずかに残る

ムラサキヤシオが色鮮やか
 山乃家から大源太山へと続く道はまだ歩いたことがない。山頂から今日歩いた稜線を見てみようと足を延ばす。登山道に入ると今までと雰囲気が一変した。樹林帯ということもあって植生が全く違っている。直ぐにイワナシの大株が目にとまった。大半は落花しているがようやく見つけた。さらにムラサキヤシオが落花を始めたとはいえまだまだ色鮮やかなまま残っている。

ツバメオモトの群生を見つけ

点々と続くムラサキヤシオ

日向に出ればシラネアオイ

ムラサキヤシオと仙ノ倉山
 オオカメノキもまだ若い。驚くことにタムシバも元気に咲いている。樹林帯を抜け日向に出ればシラネアオイが迎えてくれた。振り返れば平標山と仙ノ倉山が眼前に広がる。大源太山頂で見ればその姿も違って見えるのだろうが今日はこの辺にしておこう。山地図を持ってこなかったこともあるし、平元新道のコースタイムも記憶が定かでない。次の機会に下調べをしておこう。ざっと往復1時間半くらいだろうか。
 山乃家に戻ってスティック珈琲をいれて一息つく。平元新道を足早に歩き駐車場へと戻った。以外と歩けるじゃないかと、少し自信がついた山行となった。
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