小野子三山
小野子山・中ノ岳・十二ヶ岳
おのこやま・なかのだけ・じゅうにがだけ
1208m・1188m・1201m

高山村・渋川市
中山峠に向かう途中からの小野子三山

 小野子山は火山だったとのことだがそうは思えない。それは地学を知らない素人の言い草かもしれないが火山の荒々しさを感じるとることができない。小野子山では姉妹ゴヨウツツジが知られているが、妹のシロヤシオツツジは既に枯れ果ててしまっている。小野子山は低山であり、夏の登山には適さないので新緑の頃と紅葉から冬場にかけて訪れることが多い。何といっても一番の展望は、十二ヶ岳山頂から望む冠雪の上信越国境の稜線だろう。時を忘れてしまうほどだ。
登山日 2016年1月4日(晴れ) しんぷる
行 程 十二ヶ岳登山口10:08…10:43鞍部…11:04▲十二ヶ岳11:20…11:33鞍部…11:50△中ノ岳…12:05鞍部…12:30▲小野子山12:45…13:25△中ノ岳…12:37鞍部…14:09登山口
 北毛青少年自然の家方面から小野子山林道へと入る。こちら側は林道の終点となっている。高山村の小野子山登山口である赤芝登山口を通り過ぎて十二ヶ岳登山口を目指す。ここ数年、植林地の伐採がおこなわれていて、山腹が明るくすっきりとしている。それに林道からの展望が良くなった。北毛の山々、特に谷川連峰の眺望が素晴らしい。伐採跡にどんな木を植えるのか気になるところだが雑木林にしてもらいたいものだ。林道には伐採作業のための軽トラックが何台も停められている。例年この時期は林道に積雪があり、登山口までのアプローチが大変なのだが、今年は暖冬のため全く雪がない。それでも放射冷却のためか、日陰には霜が白く光っている。曲がりくねった林道を行くと目的の登山口に着いた。
小野子山案内板
案内板が登山口を教えてくれる
松場の登山道
松葉でふかふかな登山道
 作業道から直ぐに右手の尾根道に入って行く。この道は松葉が堆積した足に優しい道だ。時折木漏れ日が入る程度の薄暗い道だが陰鬱な感じはない。秋にはニョキニョキとキノコが生える。やがて舗装された作業道に出るが、そのまま横切ると再び未舗装の作業道に出る。道標に従って作業道を右(西)に進めばちょっとした広場に出る。ここから道標に従って登山道に入る。ここからは谷沿いに高度を上げて行く。あたりは広葉樹林帯となり、既に全ての樹木が落葉している。カタクリ群生地のあたりは最近整備され、滑落防止と植生保護になっているようだ。見上げれば主稜線が近い。

植林帯を行く

カタクリ群生地付近の整備状況
 小野子山塊では十二ヶ岳に登ることが多い。目的は新雪や残雪に光り輝く上越の山々の大展望を楽しむためだ。標高1201mで三角点が置かれる十二ヶ岳の山頂は、上信越のみならず群馬県境の山々の展望台といっても良いだろう。この山塊は私のお気に入りで、手軽に登れることもあって訪れることが多い。いつも十二ヶ岳では…との思いもあり、赤芝登山口から小野子山に登ることもある。


稜線に出る
入道坊主からの道を合わせた十二ヶ岳と中ノ岳のコル

男坂・女坂分岐 十二ヶ岳が見える
 稜線に出ると入道坊主からの道を合わせる。ここは丁度中ノ岳と十二ヶ岳との鞍部になっている。谷川主稜線は冠雪し光り輝いている。雲が出ないうちに十二ヶ岳頂上へ急ごう。ひと上りで男坂・女坂分岐に出る。急登ではあるが短距離の男坂を選ぼう。そういえばまだ女坂を上ったことはない。いつも通り男坂を上って女坂を下る行程でいく。急登に息を切らし、立ち止り、中ノ岳を振り返りながら山頂に着いた。

三角点、方位盤、山頂標識が複数置かれている
草津白根山
草津白根山方面 本白根山 横手山などがみえる

大パノラマが広がる十二ヶ岳の山頂
 気温の高さと時刻の遅さで浅間山や四阿山方面は霞んでいる。北アルプスは銀嶺なのか雲の中なのかはっきりしない。上越国境の山々は真っ白に光り輝いている。日光、尾瀬方面もしかり。他に二人の登山者が居るが、挨拶を交わしたのみで展望を楽しんでいる。山頂には不思議な静寂が漂っている。こうしたことは珍しい。十二ヶ岳の山名にちなんで12月12日に登る登山者もいるようだ。標高1200.9mなのが少々残念だ。

シルエットの榛名山と右奥は浅間連峰
武尊山
武尊山ですね 雪が少ない
谷川連峰
谷川主稜線 平標山から朝日岳

中ノ岳から子持山 中ノ岳の奥は子持山 中央の遠景は赤城山
 ロープを頼って女坂方面に下る。この時期は積雪でアイゼンが欲しくなる道なのだが今年は全く雪がない。「道はあるのではない。人が歩くから道となるのだ。」そんな言葉を思い出しながら落葉した道を下って行く。石祠に今年一年の安全登山を祈願して鞍部に向かった。さて、どうしようか。十二ヶ岳で息を切らすようでは小野子山往復は覚束ないかなあ。だが道のりは長丁場ではないから予定通りに歩いてみよう。

女坂に下る

女坂の石祠 安産登山を祈願した
 中ノ岳への上りに入る。明るい雑木林だ。所々に渋川広域消防署で設置した緊急時連絡ポイントがある。表示は十二ヶ岳○○になっている。既に中ノ岳に入っているが表示は変わらない。この山塊を小野子三山と呼ぶなら、ここ中ノ岳は不遇の頂だろう。展望のよさそうな山頂は樹林に囲まれてほとんど展望はないし、唯一三角点が置かれず連絡ポイントに山名もない。巻道でもあれば是非とも利用したい頂だ。急な斜面を上って行くと一旦傾斜が緩む。小さな肩になるのだろう。わずかの上りで山頂に着く。楽しめる展望もないので立ち止まるでもなく、だらだらとした緩やかな斜面を下って行く。やがで斜度が増すと一気に鞍部に降り立った。ここから小野子山林道への作業道が付いている。一度歩いて懲りた道だ。

中ノ岳への上り

不遇な中ノ岳の頂上だ 奥に十二ヶ岳が見える

所々に菱形の道標がある

中ノ岳と子持山との鞍部 小野子山林道に作業道が出る
 小野子山への北斜面の上りも急だ。かつては直径10p足らずの木で階段が設置されていたが、今では朽ち果てわずかにその名残をとどめるだけだ。暖かいとはいえ北斜面の登山道は凍り霜柱が立っている。山頂から東に続く稜線はカラマツが落葉し茶色一色となっている。中ノ岳方面を振り返り高度を確かめながら歩いていく。やがて山頂標識が見えてくると盟主小野子山の山頂に出た。山頂には誰もいない。ザックを降ろして一息つく。十二ヶ岳と同じように静寂があたりを包む。この静寂の中に身を任せる、こんな時間が好きだ。
子持山から浅間山
子持山頂上から浅間山方面

渋川市の山頂標柱と奥に谷川連峰
 入道坊主方面へのエスケープルートは道となっているのだろうか。夏にはアサギマダラが飛んでくるのだろうか。そんなことを考えながら谷川主稜線を眺めていた。ここから赤芝登山口まで2450mとある。十二ヶ岳と中ノ岳の鞍部から小野子林道の登山口まで1597mとあるから、三山のピークを踏むのなら本日の行程が最短になるかもしれない。来た道を戻り登山口まで下った。
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