針ノ木岳 はりのきだけ 2820m 北アルプス後立山連峰 岩小屋沢岳・鳴沢岳・赤沢岳・スバリ岳 2630m・2641m・2678m・2752m |
針ノ木岳は北アルプス後立山連峰南端に位置し、裏銀座コースへの起点にもなっている。山頂からは眼下に黒部湖を見下ろしながら360度の展望が素晴らしいという。また三大雪渓の一つ針ノ木雪渓もあり人気の山だ。 |
登山日 | 2012年7月28n日(晴れ)〜29日(曇りのち晴れ) | しんぷるライフ |
行 程 | 【7/27】 沼田IC20:15===23:15扇沢 柏原新道登山口6:05…7:15ケルン…8:30水平道…9:25種池山荘10:30…12:15△岩小屋沢岳…13:00新越山荘 【7/28】 新越山荘4:55…5:25△鳴沢岳…6:30△赤沢岳6:35…8:35△スバリ岳8:40…9:30▲針ノ木岳10:00…10:40針ノ木峠11:10…12:00雪渓…12:30雪渓尻…13:00大沢小屋13:05…14:00扇沢 |
前回の白馬三山で懲りたしんぷる隊は針ノ木雪渓をピストンで針ノ木岳・蓮華岳を予定していた。針ノ木小屋に予約を入れると、日程を変更できないかとの事。取り敢えず予約を入れて扇沢に車を走らせた。当初の計画は柏原新道から新越山荘経由で針ノ木を目指すものだった。夜中に駐車場に着くと既に無料駐車場は満車状態だ。辛うじて空いていたスペースに滑りこむ。山小屋の混み具合を考えて当初の計画通り歩いても良いとライフさんが呟いた。 | |||||
扇沢駅 |
扇沢駐車場 |
扇沢 |
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柏原新道は鹿島槍ヶ岳への上りで歩いている。よく整備された大変歩き易い登山道である。駐車場から扇沢出会いを経て登山口へと足を進めた。週末の天気予報は上々、しかも夏休みとあっては山小屋の混雑が予想される。新越山荘は定員80人の小さな山小屋だ。このコースは登山者が比較的少なく静かな山歩きが楽しめるとある。混んだとしてもさほどではないのでは…、そんな感じで歩き始めた。 | |||||
柏原新道 ケルン |
柏原新道 水平道 |
ゴゼンタチバナが延々と咲く |
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登山者は多い。団体やツアー登山が列をなして歩いている。爺ヶ岳へは登らずに種池山荘から新越山荘を目指すものだから慌てることはない。2度目の歩きで余裕がある。足元にはゴゼンタチバナが慎ましく咲いている。団体には道を譲られ、若者には道を譲りながらマイペースで歩いていく。ガレ場を過ぎ鉄砲坂を我慢して上り切れば稜線が目の前だ。チングルマの群落を横目に歩けば種池山荘に着く。 | |||||
イワハゼ |
ガレ場には雪渓が残る |
チングルマが咲き乱れると |
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種池山荘は近い |
キバナノコマノツメ |
岩小屋沢岳が雲に煙る |
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新越山荘までのコースタイムは2:30。楽しそうな稜線歩きのようだ。山荘のベンチテーブルを借りて早めのランチとする。休憩を終えた登山者が足を向けるのは爺ヶ岳方面だ。新越山荘への稜線はやはり静かな山歩きを楽しめるコースに違いない。上空は青空なのだが周囲の山には雲がかかり満足な展望は得られない。しかし、それはそれでいいのかもね。 | |||||
種池のキヌガサソウ |
種池山荘を後に |
新越山荘へと向かう |
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登山道から岩小屋沢岳を望む |
ミヤマキンポウゲとシナノキンバイ |
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稜線には高山植物が元気に咲いている。西には立山・剱を見ながらの楽しい慮仙歩きだ。花の種類も当然多い。今日は比較的すんなりと花の名前が出てくるぞ。見慣れた花が多いのがその理由かな。 | |||||
サンカヨウとキヌガサソウ |
クルマユリ |
ハクサンフウロ |
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ウサギギク |
ニッコウキスゲが斜面に群生 |
シナノキンバイ |
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岩小屋沢の手前までは実に快適なコースだ。雪渓が所々に残っていて、その残雪を少しすくい取ってはタオルに入れて首筋を冷やすと実に気持ちがいい。目指す針の木方面はガスの向こうだが、それは明日になるので今は問題にしないことにしよう。 | |||||
岩小屋沢岳がすっきり見えたり |
ガスに隠れたり |
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ハクサンチドリ |
シナノキンバイ |
イワオウギ |
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振り返れば爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳が稜線を境に雲を被っている。立山・剱方面は展望が比較的安定して多くの雪渓を見せている。今年は雪が多かったのだろう。梅雨明けの暑さで一気に融けていきそうだ。 | |||||
鹿島槍ヶ岳への稜線 |
立山・剱を眺めが続く稜線を歩く |
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シナノキンバイと岩小屋沢岳 |
歩いてきた登山道を振り返る 遠望鹿島槍 |
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遠望は利かないが歩いていく稜線はしっかりと確認できるので良しとしよう。明日の針木岳からの展望が楽しみだ。 | |||||
ヨツバシオガマ |
稜線で立山・剱を背景に一枚 |
イワオウギ |
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意外とすれ違う登山者が多い。尋ねてみると針ノ木小屋からの縦走者だ。コースタイムも尋ねてみると山地図はきつめの設定になっている印象を受けた。岩小屋沢岳から少し下ったところで、「あとは下りだけですよ。」と声をかかられた。決して下りばかりではなかったけれど、息を切らすこともなく歩くことができた。そして本日の目的地である新越山荘に着いた。今回は素泊まりで宿泊だ。 | |||||
ミヤマダイコンソウと立山・剱 |
岩小屋沢岳から立山・剱 |
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少々お酒の類を楽しむので山小屋の生ビールとかは嬉しい。しかし普段は仲間由紀恵宣伝の「麦とホップ」を愛飲しているものだからその類のものが置いてあれば良いかなとも思う。価格も安くなるだろうし。山小屋は談話室が我々の部屋に宛がわれた。同室者に訊いてみると皆予約がない。どうやら客室は予約者で一杯だったのだろう。寝返りが打てるほどのスペースは確保されたので良かったかな。 山小屋では高校時代のワンゲル仲間3人組と親しく山談議となった。筋肉疲労に効く食品やら漢方薬の話などで盛り上がる。結局彼らとは針ノ木岳まで付いたり離れたりのお付き合いとなった。 |
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岩小屋沢岳を振り返る |
下っていくと新越山荘 |
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前夜の天気予報は昼から曇りで3時には雨とのこと。またしても予報には裏切られる。コースタイムは厳しそうだし早めの行動が必要だ。目指す針ノ木岳の頂上はどんよりとした雲に覆われている。真上は青空なのにねえ。晴れることを期待して歩いていきましょう。 鳴沢岳が最初のピークになる。新越山荘で描かれていたコースタイムは、山荘-1:00-鳴沢岳-1:00-赤沢岳-2:00-スバリ岳-1:00-針ノ木岳となっていた。赤沢からスバリまでの時間が山地図より30分長くなっている。柏原新道でのコースタイムは若干甘くなっているようだから30分〜1時間程度は短縮できるのではないかとタカをくくっていたがとんでもなかった。 |
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蓮華岳は見えるが針ノ木岳は雲の中 |
岩小屋沢岳付近にご来光 |
鳴沢岳まではわずか |
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鳴沢岳への上りは歩き始めでもあって足も進む。頂上までは30分程。頂上からの展望は良い。立山・剱方面の展望は良いが生憎と山頂付近は雲に覆われている。まあ昨日たっぷりと見て歩いたから我慢しよう。目指す赤沢岳はさほど遠くなさそうだ。稜線歩きもきつくないだろう。 | |||||
稜線の先には赤沢岳 |
赤沢岳はガスの中 |
赤沢岳を越えるとトウヤクリンドウ |
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鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳方面はは墨絵になった |
ミヤマダイコンソウと黒部湖 |
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コースタイム通りに赤沢岳の頂上に着くが残念ながらガスの中だ。おそらく展望は鳴沢岳と大きく変わるものではないだろう。スバリ岳、針ノ木岳方面は依然としてはっきりとしない。このまま曇ってしまうのか。 | |||||
蓮華岳とスバリ岳が見えてきた |
少しズーム ガスですっきりしない |
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タカネバラとスバリ岳 |
スバリ岳への稜線 |
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コゴメグサ |
イワギキョウとスバリ岳 |
砂礫には女王コマクサ |
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赤沢岳からスバリ岳へと向かう。重苦しいガスが徐々に晴れてくる。稜線を吹き抜ける風はガスを呼びガスを消す。足元には高山植物が今を盛りと咲き誇っている。岩の隙間にはイワギキョウ、白い砂礫にはコマクサ。皆咲く場所をしっかりと心得ているようだ。 | |||||
赤沢岳が見える。さらに歩いてきた稜線 |
スバリ岳は険しそうだ |
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スバリ岳の岩の山塊が荒々しく威圧してくる。そのガレ場の急登をゆっくりと上り切ればスバリ岳の頂上だ。赤沢岳からここまで約2時間と新越山荘でのコースタイム通りだ。針ノ木岳はすぐ近くに見える。尾根はスバリよりも穏やかな線を描きその名前より穏やかな山容である。 | |||||
スバリ岳頂上 |
針ノ木岳を背景に |
いよいよ針ノ木岳を残すのみ |
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ヨツバシオガマとシコタンソウ |
高山植物の共演 |
ミヤマオダマキも |
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針ノ木岳三角点で |
スバリ岳を振り返る |
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相変わらず多くの花を楽しみながらの稜線歩きが続く。再び山頂直下の急登を行けば針ノ木岳の山頂だ。展望は素晴らしいはずだが、遠くの山々は雲の中で残念ながら見ることはできない。またこれも自然の事象だから受け入れるしかないか。1時間でも2時間でものんびりしたいところだが。例の3人組もそれぞれのペースで歩いてきた。 | |||||
峠へと下る |
雪渓側の急斜面 |
イワカガミが咲く |
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針ノ木峠への下りは山腹の急斜面を切って付けてある。残雪があれば少し怖そうなところだ。正面に蓮華岳を見ながらのんびりと下っていく。針ノ木小屋は昨夜はさぞかし混雑したのだろう。トイレを借り一皿千円のレトルト?カレーライスを食した。食料も尽きてしまったので仕方あるまい。しかし山の相場は高いなあ。しっかり担いで来ないといけない。缶ビールやら発泡酒、ソフトドリンクなどが残雪を入れた水槽に冷やされていた。山小屋はなかなかきれいな印象を受けた。 | |||||
針ノ木雪渓を下る |
レンゲ沢付近から |
雪渓尻だ |
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峠からはとんでもない斜面を下る。よくもまあこんな所を登山道にしたものだ。直登不能と思われる斜面に丸太を敷設し九十九折りに道が付けてある。こけたら静止不能だろう。ビビりながら下ってく。やがてそれも解消されごく普通の登山道になる。雪渓まではおよそ1時間程かかった。アイゼンを付け3大雪渓の1つをを下ること30分で雪渓は終了だ。コーヒーでもと思ったが雪渓を吹き下ろす風が冷たいので先に進む。 | |||||
オオバギボウシ |
シモツケソウ |
ウツボグサ |
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大沢小屋にあるレリーフ |
小さな小屋だ |
針ノ木登山口に到着 |
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コースタイム通りに大沢小屋へでた。山を想えば〜のレリーフが岩に埋め込まれている。意外と小さいものだなあ。小さな小屋で一休みをして針の木遊歩道を戻った。扇沢駅は観光客と登山客が入り乱れ、日常生活に戻されたことを実感した。さて一風呂浴びて帰ろう。 |