白馬三山 白馬岳・杓子岳・鑓ヶ岳 2932m・2812m・2903m 北アルプス後立山連峰 |
白馬岳は北アルプス後立山連峰北部に位置し、豊富な残雪や高山植物の種類の多さでは日本屈指と言われている。今回は白馬三山を縦走し花と展望を楽しみたいと思った。 |
登山日 | 2012年7月15日(雨のち曇り一時晴れ)〜16日(曇り一時晴れ) | しんぷるライフ |
行 程 | 【7/15】 沼田IC4:40===7:30二股7:45===8:00猿倉荘 猿倉荘8:15…9:15白馬尻小屋9:45…10:00大雪渓…11:30岩室跡11:50…12:40小雪渓…12:55お花畑避難小屋…14:05白馬岳頂上宿舎…14:20白馬山荘 【7/16】 白馬山荘4:20…4:35▲白馬岳…5:00白馬山荘6:20…7:40▲杓子岳…8:40▲鑓ヶ岳…9:05白馬鑓温泉分岐…11:00白馬鑓温泉小屋11:40…13:35小日向のコル…15:25鑓温泉登山口…15:37猿倉荘 |
3連休の2日目、天気予報は午後から晴れだ。最終日の予報がいいのでその一日にかけてみよう。 二股(小日向の湯)バス停からは通行規制がかかっていた。係員が猿倉駐車場は満車でここからはバスになると言う。臨時駐車場があるからそこに停めて行けとのことだ。駐車場ではタクシーが乗客を待っていた。猿倉まで2000円程度だと言うので岐阜から来た夫婦と相乗りで乗車することにした。お喋りな運転手で退屈しなかった。料金は2200円、割勘で1100円の出費。 |
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猿倉荘から出発 |
白馬尻へむかう |
白馬尻 大雪渓が始まる |
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肌に感じる程度の小雨。念のために雨具を着て行こうか。支度に手間取るしんぷるの代わりにライフさんが登山届を書いて出してくれた。鑓温泉コースは雪渓が残るのでアイゼン必携、そして早めの行動をアドバイスされた。大雪渓コースは2度目になる。猿倉荘の脇を抜けて登山道に入る。間もなく林道に出ると鑓温泉への分岐だ。明日はここを下りてくることになる。林道を過ぎたあたりから雨脚がやや強くなってきた。白馬尻小屋へ着く頃にはすっかり本降りとなってしまった。小降りになるまで休憩だ。今日は小屋に入ればいいだけだから慌てることはない。天気予報は悪くないのだから。 | |||||
キヌガサソウの群落 |
いよいよ大雪渓を登る |
岩室跡を過ぎる |
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小屋でアイゼンを付けて歩きだす。雪渓まで少し地面を歩くがこの天候では仕方ない。小屋からははっきりと見えていた日本一の大雪渓もガスで霞んでいる。雨も小降り状態で視界が効かない。落石には最大限の注意を払わなければならないから小雨でもうっとうしい。雪渓上にはサッカーボール大の落石がゴロゴロしている。こんなのに直撃されれば足が吹っ飛んでしまうだろう。それに前日からの雨で雪が腐っているので簡易アイゼンではつらい。時折足を滑らせては上っていく。脹脛がつりそうになるし太ももも重いし、このようなことではアルプスなんてとても無理だと思ってしまった。歩くことに対して初めて不安が生じた。今年になってあまり歩いていないことが原因かもしれないけど(^_^;)。 | |||||
小雪渓を横断 |
お花畑に入る |
レスキュー隊員が急ぐ |
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岩室跡で小休止だ。雨はなんとか上がってきた。小雪渓まではしばらく土の上を歩く。ガスではっきりしない雪渓から何かの鳴き声のようなものが聞こえた。雷鳥かな?ライフさんは雷鳥じゃない、もっと大きくて人のようだったと言う。すると上のほうで「大丈夫ですか。」と何度も叫ぶ声がする。本当に人が滑落したようだ。しばらくして滑落者の関係者が下りてきた。どうやら小雪渓でよろけたらしい。間もなく上がってきた登山者の情報で、岩にぶつかって停止し頭部を切った程度ですんだらしい。ガスで霞んで何処まで落ちていくかわからない状況はさぞかし恐ろしかったろう。気を引き締めなければ。 やがて小雪渓に着く。道は肩幅より広く付いている。普通に考えれば落ちることなんて考えられないが、事故なんてわずかな気の緩みで生じるものなのだろう。しんぷるの足も一杯で余裕がないから要注意だ。落石があっても避けられないぞ。 |
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頂上宿舎は近い |
ミヤマシオガマ |
ハクサンイチゲ |
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小雪渓を過ぎるとお花畑避難小屋だ。ここにも多くの登山者がたむろしている。ここまでくれば先が見えてきた。やれやれだ。気持ちとは裏腹に足は相変わらず重い。ライフさんは上りが強いからなあ。ようやく楽しみにしていた高山植物に慰められながら歩くことができる。花の種類を見ると少し時期が早いかな?7月下旬からが本番かな。 | |||||
ウルップソウ |
ウルップソウの群落 |
ミヤマオダマキ |
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頂上宿舎に泊る予定だったが、日本で最初の山小屋でありまた最大の山小屋に泊ってみようと白馬山荘に足を運んだ。何事も経験というわけ。受付棟のほかに1号館、2号館、3号館、食堂、レストランと規模がすごい。食事は良いですね。泊るなら3号館が良い。1号館は駄目だ。ビール350mL600円、500mL800円とは高いねえ。ビールのようなものでいいのだけれど(笑)。 | |||||
白馬山頂からご来光を待つ |
朝日が稜線を照らす |
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ぐっすりと眠れた。午前4時近くになると登山者が行動開始だ。ご来光が目当てだね。しんぷる隊も朝食前に白馬岳の山頂を踏んでくることにした。足の痛みはないがやはり疲労は残っているようで足取りは軽くない(^_^;)。予報に反して上空は雲に覆われている。こればかりは仕方ないな。白馬岳は花の山旅になるね。黄花の主役はミヤマキンポウゲかな。シナノキンバイやミヤマダイコンソウなどが混じる。稜線上にはウルップソウが今を盛りに咲いている。数を上げればきりがないほどだ。 | |||||
焼岳、火打、妙高 |
百花繚乱 |
白馬岳頂上を仰ぎ見る |
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朝食をすませて縦走といこう。剱岳は時折その頂上を見せてはくれるものの立山は隠れたまま。近くの旭岳にも雪渓が残りその上を踏み跡らしきものが見える。なによりこれから歩く杓子岳や鑓ヶ岳方面がすっきりとしているのがいいね。 | |||||
丸山の遠く剣・立山 |
杓子岳と鑓ヶ岳 |
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杓子岳への稜線から白馬岳 |
杓子岳と鑓ヶ岳 |
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さあ歩こう |
大雪渓を見下ろす |
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杓子岳と登山道 |
白馬岳から小蓮華山方面 |
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花と山岳風景を眺めながらの歩きは実に気分がいい。しかし下りは快適だが上りは一気にカメ足となる(^_^;)。ライフさんが気遣ってくれるが遅いだけで歩けないわけではないのだ。むしろライフさんの下りが心配だ。ガスが大きく流れていく。杓子岳への急登はつらい。一歩一歩だ。歩いていれば着かない頂はないのだ。頂上から大雪渓を見下ろす。見下ろせば登山者が蟻のように小さく見える。 | |||||
杓子岳への登山道 |
白馬岳から小蓮華山方面 |
旭岳から清水岳方面 |
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小鑓の向こうに鑓ヶ岳 |
杓子岳その向こうに白馬岳を振り返る |
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ウルップソウと登山者 |
ミヤマアズマギク |
イワベンケイ |
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鑓ヶ岳ではすっかりガスにやられてしまった。山頂標識もすっかり雪と風にやられ風化してしまっている。ここから白馬岳を見てみたかったが…。下りではいよいよライフさんの膝が悲鳴を上げだした。これからは長い下りだ。唐松岳へと続く稜線上には天狗山荘が見える。鑓温泉の分岐で一休み。 | |||||
天狗平方面 天狗山荘が見える |
鑓ヶ岳は白い |
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鑓温泉までの大出原は花畑だという。ガレ場を下っていくと雪渓が待っていた。これではお花畑は雪渓の下ということになる。昨日の滑落事故のこともあるので慎重にアイゼンを装着して雪渓に臨む。視界は良くない。相変わらず落石も多く雪渓の上にゴロゴロとしている。雪渓が切れれば雪解けの花が咲いている。鎖場は残雪のために設置されているのかと思えるほど危険には見えなかった。しかし濡れた岩はまるで蛇紋岩の様に滑る滑る!!年に数回の転倒事故が発生していると言うが頷いてしまう。しんぷるも少し滑落して腕と膝を打ち付けてしまった(痛!)。 | |||||
鑓温泉への下りは雪渓 |
サンカヨウ |
シラネアオイ |
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それから程なくして白馬鑓温泉小屋へ到着。当初の予定より1時間ほどの遅れだ。こうなるとライフさんの小言が始まるのだ。膝が悲鳴を上げているうえ、歩きの時間が予定時間を超えていれば文句の一つも言いたくなるのはもっともだ。鑓温泉で足湯でも浸かっていこうかと話していたが、時間が押しているうえ靴を脱ぐのも面倒なので、昼食だけを摂らせてもらうことにした。 | |||||
鑓温泉の足湯 |
クルマユリ |
クガイソウ?? |
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鑓温泉から下は温泉の熱で雪が解けないのかななどと軽口を叩きながら下っていく。すぐに雪渓が出る。アイゼンを数回履いたり脱いだりと忙しい。サンジロを過ぎて振り返れば白馬鑓温泉小屋が見える。小屋の下には長い雪渓が下に伸びている。これでは雪渓に継ぐ雪渓歩きもやむを得ないな。小日向のコルにでて残り2時間弱の行程だ。 | |||||
ガスが垂れこめる |
雪渓もいよいよ終わる |
今年は多くの雪が残っている |
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今回の山歩きは非常にハードだった。次の山歩きを消極的に考えてしまうほどのものだ。継続は力なり。こまめに続けていることが大事なんだね。懲りずにあと数年は楽しもう。猿倉荘に着くと桐生市から同じコースを歩いてきたという夫婦に出会った。我々より常に30分〜1時間程度先を歩いていたという。駐車場所も同じだったのでタクシーの相乗りで二股に戻った。帰路は2100円だった。 |