薬師岳
やくしだけ
2926m
北アルプス

 薬師岳は、かつて立山大回峰という縦走形態の山岳修験のために登られていたと言われ、その後山麓の有峰集落の人々による信仰が寄せられてきた。今では奥飛騨の秘境として知られた有峰集落もダムの底に沈み、有料(\1800)の有峰林道開通に伴い折立まで車が入るようになった。折立登山口から太郎平を経由する登山道は薬師岳へのメインルートである。
登山日 2011年10月8〜9日(晴れ) しんぷるライフ
行 程 <1日目>沼田IC3:10=6:10立山IC=7:05折立
折立登山口7:15…8:27三角点8:35…9:35五光岩ベンチ…10:15太郎平小屋10:45…11:05薬師峠…11:32薬師平…12:10薬師岳山荘14:50…15:25▲薬師岳15:40…16:00薬師岳山荘
<2日目>
薬師岳山荘6:35…7:20▲薬師岳7:50…8:25薬師岳山荘8:30…10:00太郎平小屋10:40…11:15五光岩ベンチ…12:10三角点12:40…13:35折立登山口
===吉峰の湯
 折立駐車場にはまだ十分な駐車スペースがあった。3連休の初日ではあるが、すでに登山シーズンはピークを過ぎ終わりに近いのだろう。薬師岳山荘は10/9の宿泊者を最後に山小屋を閉める。前日から入山している登山者の車には霜が降り、冬の訪れが近いことを感じさせた。今日は天気予報通り快晴の朝を迎えている。折立付近の紅葉は始まったばかりで登山道の周りの色付きを期待させるに十分だ。

折立薬師岳登山口(1355m)

折立休憩所

登山道に入る
 登山口となる折立にはキャンプ場、無料駐車場、公衆トイレ、自動販売機があり、登山者にとっては利便性がよい。太郎坂と書かれた標注の前を通って薬師岳を目指す。最初の目標は1870m三角点だ。陽の光があまり当たらない樹林帯を登っていく。登山道が渋滞するほどではないがそれなりに登山者の数は多いようだ。これは山小屋が混むかもしれないなあ。

紅葉がチラホラ

霜つきの紅葉
 展望のない太郎坂の樹林帯を、ジグザグと他の登山者と抜きつ抜かれつ登っていくと傾斜が緩み、第一目標点の1870m三角点に着いた。休憩をしている登山者も多く、立山、剣、大日三山などの眺めがよい。一息入れて展望を楽しもう。気温が低いこともあって快適に足は進む。三角点からわずかに進むと積雪計が立っている。そこからはわずかに下る。

三角点1870.6mから立山・剣を望む

太郎平へと続く登山道
 よくぞここまでと整備された石畳や木道の登山道を足早に歩く。傾斜は登れば登るほど緩くなる感じだ。太郎平へと続く緩やかで広々とした草原に付けられた登山道はこの山の懐の深さを感じるには十分だ。三角点を過ぎてからはゆったりとした道が延々と続く。

太郎平小屋前から薬師岳を望む

草黄葉と薬師岳

太郎平小屋

木道が薬師峠に続いている

太郎兵衛平に立つ標注(2330m)
 折立から3時間で太郎平へと着いた。下りは2時間半をみておけばいいだろう。ここに一泊して黒部五郎岳を往復できそうだ。広々とした太郎平はとても清々しい。薬師平の向こうには薬師岳を一望する。標注の向こうには、鷲羽岳から黒部五郎岳までの雲の平周辺の山々が近く感じる。いいところだ。心が解放される。

キャンプ場になる薬師峠(2294m)と薬師平 雪を冠っているのは薬師岳東南稜
 いつまでもいたい場所だがそうもいくまい。木道を歩き薬師峠へと向かう。石畳に変わった道は薬師峠に下る頃にはガレ道となった。峠はキャンプ場となっていてテントが2張あった。管理小屋と豊富な水が流れる水場、そしてきれいに清掃されているトイレがある。薬師平への登りは薬師沢の最上部となる。ところどころ薄氷が張り、歩くには注意が必要だ。振り返れば太郎平小屋からの登山道が草原の中を続いている。

薬師沢上部から太郎平を見下ろす

薬師平と北ノ俣岳
 沢を登り切ると薬師平へと出る。ここはまた太郎平とは違った展望が楽しめる。再び現れた木道を進むと、いよいよ薬師岳山荘が近くなってきた。上空は青空だが薬師岳山頂付近には雲が広がりだしてきている。予定では今日は山荘までだし、明日の天気は保証されているから大丈夫とは思うが…。でもわからないのが女心と秋の空なんでね。

薬師平から見る双六岳方面

薬師平から薬師岳東南稜

いよいよ薬師岳山荘は近い

薬師岳西側 前日は吹雪だったとか
 稜線の西側に出ると景色が変わってしまった。昨日は吹雪だったと下山した登山者が言った通りガレた登山道には残雪があり、元々の石英岩系の白い岩肌とあいまってハイマツとのコントラストがなかなかのものだ。山頂と間違える避難小屋が大きく見えるようになると薬師岳山頂に着いた。宿泊受付を済ませて女将さんからお茶を一杯御馳走になる。
 2010年新築の山荘は展望窓がいい感じ。寝具も新しく気持ちがよかった。夜間の冷えが心配だったが、寒いどころか暑いくらい。断熱と登山者の熱気によるものだろうか。トイレは臭わないが消灯後は異臭あり。布団の配列に難があり他人の足を踏みつけることも。水には不便するので薬師峠で補給が必要。食堂は明るく気持ちがよい。テーブル席は20、カウンター席が5〜6といったところ。食事はなかなかのもの。美人の女将さんが優しい。部屋は有明という大部屋。福島と地元富山から来た夫婦と隣同士になり、山小屋では楽しい時を過ごすことができた。ただ鼾には悩まされた。次は耳栓を用意しよう。

中央カール

薬師岳の山頂 薬師如来が祀られる

金作谷カール
 山頂を踏んでこようと思った矢先に嫌われ者がやってきた。しばらく山荘の中で諦めていたが、明るくなってきたので我々だけ山頂を往復してきた。さすがに山頂付近は風が冷たく寒かった。夜明けは氷点下だから仕方がないだろうな。福島からの夫婦は北薬師岳まで足を延ばす予定なので明日は早立ちという。富山の夫婦は鍬崎山から眺めたここ薬師岳が気に入って登りたくなったんだと言っていた。夜中には満天の星、富山平野の明かりもぼんやりと見える。まずは一安心だ〜。

二日目の朝 薬師岳山荘裏手からの展望
 福島の夫婦は5時前に出発していった。6時からの朝食を頂いて山頂を目指した。朝日が眩しい。今日も雲一つない朝を迎えている。遥かに遠いと思っていた黒部五郎岳も近くに見える^^;。陽の光を浴びて山々が輝きだす。展望を味わいながらゆっくりと山頂を目指す。

北ノ俣岳

黒部五郎岳と笠ヶ岳 乗鞍岳と御嶽山を遠望する

北薬師岳の向こうには縦走路と立山・剣 そして後立山連峰を遠望する

北薬師岳と金作谷カール 北薬師岳まで行くと展望が変わるとか…

中央カール 北アルプス中央部の山々と槍穂高連峰を遠望する

山頂からのパノラマ

黒部五郎岳をズーム

笠ヶ岳・弓折岳稜線をズーム

薬師岳山荘からの登山道と太郎平方面を見下ろす ゆったりとした北ノ俣岳が近い
 山頂や大ケルン周辺での大展望を十分に堪能して下山だ。東南稜にも登山道を整備すればいいのにと思ったが、愛知大学大量遭難地点があるのだね。これではちょっと考えてしまうか。

新しい薬師岳山荘(2701m)と薬師岳

岩井谷の草紅葉と鍬崎山(2089m)
 女将さんに見送りされて山荘を後にする。このコースは北アルプス入門コースと紹介されているが本当にそう思う。草紅葉も1日たって深みが増したような気がする。やはり光の影響かな。今日も多くの登山者が登ってくる。最高の天気に恵まれて嬉しいね。

薬師峠 テントが20張ほど

太郎平小屋へと木道が続く
 薬師平の雰囲気もいいね。夏にはさぞかしお花畑が広がるのだろうな。薬師峠へと下る沢は昨日と同様に薄氷が張っていて要注意だ。すれ違う登山者は下を向いて挨拶も苦しそう。キャンプ場ではテントが20ほど張られていた。ガレた登山道を一上りで太郎兵衛平へと出る。

太郎平から薬師岳山頂部を一望する

鍬崎山を正面に折立へと下る

草紅葉と立山連峰
 太郎平小屋のベンチでコーヒータイムだ。暑くも寒くもなく清々しい。ここのラーメンは評判がいいようで食べてみたいと思ったが来年にとっておこう。小屋の中を覗いて下調べだ。再びのんびりと登山道を下り1870三角点でインスタントラーメンの昼食。ここの眺めもいいんだよね。富山からの夫婦とはなんだかんだ休憩地点で一緒になっていたがここで抜かれた。ここからは展望ともお別れ。

折立近くの紅葉 前日より美しい

こちらは黄葉
 三角点からは傾斜が急になるがペースを保って無事に下山。ライフさんは紅葉を期待してきたのにガックリと言っていた。森林限界が低く、笹やハイマツが多くて期待に添えなかったようだ。しかし薬師岳は今まで歩いた北アルプスの山々とは異なり、北アルプスで最も女性的な山と称されるだけのことはあると思った。その非常に大きな山塊はどっしりしてと気品を感じさせるものだった。

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