火打山 ひうちやま 2462m 新潟県 |
火打の真価値はそれに近づくに従って発揮される。普通笹ケ峰牧場から登るが、その登り道が一様ではなく、林あり、平あり、池沼あり、変化に富んでいる。殊に嬉しいのは雪の多いことである。雪は山を立派に見せる。私が訪れたのは六月の下旬であったが、まだ山の大半は雪に覆われていた。笹ケ峰から見晴らしのよい富士見平まで登ると、初めてこの山の大きさを知らされる。何と広々とした山腹であろう。その上に火打がスッキリと潔く立っている。その山腹には豊かな平地を持った高谷池がある。
<深田久弥・日本百名山>より |
登山日 | 2011年8月6〜7日(晴れ曇りガス雨) | しんぷるライフ、IT |
行 程 | <1日目> 笹ヶ峰登山口(7:52)…黒沢橋(8:45)…十二曲標柱(9:18)…富士見平(10:08-20)…高谷池ヒュッテ(11:05) <2日目> 高谷池ヒュッテ(6:05)…天狗の庭(6:23)…雷鳥平(6:54)…▲火打山(7:25-55)…高谷池ヒュッテ(9:05-30)…茶臼山(9:55)…黒沢池ヒュッテ(10:15-11:00)…富士見平(11:45)…笹ヶ峰登山口(13:25) |
笹ヶ峰登山口は晴れていた。急な予定変更で山小屋の予約はしていない。高谷池ヒュッテは完全予約制となっているため事前の連絡が必要だ。昨日の調査では満室となっていた。黒沢ヒュッテは予約なしでもOKだろう。出来れば今日中に火打に登って、翌日に妙高といきたい。漠然とそんな予定で歩き始めた。 北アルプスは連日とも雨模様。妙高市は今日は曇りで明日は晴れの予報だ。意外な好天に心も軽い。前日?の雨のためかブナの広葉樹林帯は湿度が高いようで蒸し暑い。登山口から火打山頂まで10kmとあり、登山道には9分割の道標が立てられている。その間隔が長いので少し嫌気がさす。 |
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妙高山 思わぬ青空にぬかよろこび |
ブナ林の登山道 |
黒沢橋で一息 |
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傾斜の緩い木道を歩いて行く。火打山はぬかるんだ登山道で有名なようだ。武尊山と同じかな。ズボンの裾を汚さないように気をつけて歩くが、どうやらスパッツが必要だ。やがて沢音が聞こえてくると黒沢橋に着いた。一服入れよう。橋を渡ると傾斜が増して十二曲りの急登となり、シラビソなどが混じる樹林帯を上って行く。道はぬかり、靴は既に泥で汚れている。幸いなことに露岩は滑りにくい岩質なので歩きにくくはない。ジグザグと11/12〜2/12標柱を見ながら歩いて行くと十二曲りの標柱だ。ここで一息入れる。 | |||||
十二曲り 12/12から始まる |
標柱で終わり |
富士見平の分岐 |
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しばらく急登が続くがそれも終わり平坦となる。朝の青空はすっかりと雲に覆われてしまっている(泣)。間もなく富士見平に着いた。登山者もそこそこ多いようだ。さて、どちらへ向かうか?ライフさんが高谷池ヒュッテに連絡を入れる。隙間で良ければ泊まれるとのことだ。あとわずかで山小屋到着といったところで雨が落ちてきた。雨具を上半身だけ身につける。雨は直ぐに本降りとなってしまった。どうも火打はツキがないなあ。「あと少しですよ。」とすれ違う登山者に慰められながら歩いて行く。やれやれ、今日はビールでも飲んで昼寝といったところか。夕方まで土砂降りが続いた。 | |||||
雨上がり、夕方の火打山と高谷池 |
翌朝の火打山 |
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このヒュッテは使用済みトイレットペーパーの持ち帰りをさせるので評判が悪かったが、「高谷池ヒュッテのトイレでは使用した紙を皆様に持帰って処分してもらっています。バイオトイレを大切に使い続ける意味でも、また屋外で花摘・キジ撃ちをする場合の最低限のマナーとしても、使用済みペーパーの持帰り処分をより多くの方にご理解いただきたいとの考えからです。しかしながら狭い空間に多くの方が宿泊し食事を摂る山小屋において、万一の感染症予防の視点に立った場合ヒュッテ内に使用済みペーパーの入った袋を持ち込むことは避けなければなりません。そこで2011年度は宿泊される方のペーパーを所定の場所に集め、しっかりと密封した上でスタッフが適宜背負いおろして処分する方法を試験的に行います。確率が低いとはいえ感染症のリスクを想定しての対応ですので、どうかスタッフの説明に従って(出来るだけ空気を抜いて、口をしっかり縛る等)処理していただきますようご協力お願いいたします。」「まことに恐縮ではありますが当日下山される方は今までどおり、ご自分の使用済みペーパーをご自分でお持ち帰り処分していただきますよう、ご協力をお願いいたします。」と変わっている。食事もレトルト主体でゴミを出さないようにしている。ビールの空き缶も持ち帰りなのだ。 | |||||
高谷池ヒュッテ前から 青空だったが… |
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夕食後は写真DVDを見た後に天気予報だ。妙高市の明日は1日中晴れマーク。登山者に歓声が上がる。火打、妙高と何とかならないかと知恵を巡らすが、時間的に無理がある。今回も妙高はお預けだ。20時消灯で23時には眼が醒めてしまった。朝までは長いなあ。夜中にトイレに起きたついでに外に出てみた。空には満点の星。夏の大三角形を真上に、カシオペヤなどの星座が天の川に描かれている。この分では本当に期待できそうだ。 | |||||
ハクサンコザクラが残る |
イワイチョウも僅かに残る |
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高山植物を楽しみながら木道を行く。山頂から日本海が見えるだろうか。なんとなく雲が上空を覆い出してきたよ。昨日の雨で木道はすっかり濡れている。滑らないように気を付けて。 | |||||
天狗の庭へ向かう途中 |
天狗の庭から |
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後立山連峰が雲の中に隠れていく 嫌な予感が… |
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ダケカンバが斜めに生えている |
雷鳥平は裸地となっている |
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青空がなくなってきた。これでは写真も映えないよう〜。ひょっとして山頂はダメかも。天気予報はすっかり外れそうだ。高曇りのまま持ってくれればいいが。妙高山の頂上付近にもガスが出ている。 | |||||
登山道を振り返れば妙高山 |
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ガスで展望のない山頂 どうも相性が悪いらしい |
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山頂に着く頃には山頂はガスに包み込まれてしまっていた。どうにもこうにも仕方ない。行動時間が早すぎるのかなあ。もう少したつと晴れてくるんだよな。30分ほど待ってみたが諦めましょう。帰りは花を楽しむしかないか。 | |||||
ウメバチソウ |
シナノオトギリ |
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オニアザミ |
ウサギギク |
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クルマユリ |
ミヤマカラマツ |
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ミヤマコウゾリナ |
ヒメシャジン |
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イワイチョウ |
ワタスゲ 天狗の庭にて |
ヨツバシオガマ |
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天狗の庭の登山者 |
高谷池とヒュッテ |
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草原を歩く姿は女性が似合うと感じるのは気のせいかな。天狗の庭に上がる途中から眺める高谷池と、その端にたたずむヒュッテの風景が大好きだとライフさんは言う。何度でも来て見たいと…。ヒュッテに戻ると再び青空が見えてきた。本当に相性悪!! | |||||
アサギマダラとモミジカラマツ |
あらら 晴れてきてしまった |
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ヒュッテに置いておいたザックを拾って黒沢池に向かおう。笹刈りされた茶臼山を越えて行けば広い湿原の黒沢を見降ろすことができる。この風景も格別なものがある。黒沢池にはガスがどんどんと流れ込んでくる。なんとか全景を見降ろすのに間に合うことができた。この風景が見られなければとても残念だ。 | |||||
茶臼山から黒沢ヒュッテと黒沢池を見降ろす |
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黒沢ヒュッテは近い |
ハクサンコザクラの群生 |
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黒沢ヒュッテでビールを購入して昼食だ。ゆっくりと時間を過ごしたい。妙高山は燕温泉のほうから日帰りで登ろうと考えているが、ここに泊まって登るのもいいかもな。ここは空き缶を回収してくれるので助かる。もう下山するだけだからザックの軽量化を図ろう。詰め込めるだけ腹に詰め込む。下りは膝に不安があるライフさんとITさんなのだ。 あれまあ、ポツリポツリと落ちてきましたよ。大体食べ終わっていたので素早く後片付けをして、女性2人はレインウェアを、私は風がないので小さな傘で雨を避けます。さあ下山です。 |
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モウセンゴケが切り株に自生 |
ワタスゲの道を行く |
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雨に濡れたワタスゲ |
湿原とダケカンバ |
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雨に濡れた湿原はしっとりとした感じが素敵だ。登山道には花が飾られて登山者を飽きさせることがない。こんな山歩きも捨てたものじゃないな。 | |||||
ハクサンフウロ |
富士見平に向かう |
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靴は泥だらけになった。雨はひどい降りにはならず途中で上がった。富士見平まで戻りあとは下りだけだ。こんな天気だというのに登って来る登山者が多い。明日はいい天気に恵まれるのだろうか。心配だった膝もアクシデントなく無事に下山できた。心残りはいくつもあるから、もう一度は来なければなるまい(笑)。 |