甲斐駒ケ岳
かいこまがたけ
2967m
南アルプス

 甲斐駒ヶ岳は南アルプスの北端に位置し、数ある駒ヶ岳をの中では最高峰である。古くからの登山路である黒戸尾根は標高差2367mと一般向けのコースではない。南アルプス林道にバスが入るようになり、北沢峠からのコースが一般化した。山体は白い花崗岩からなり、白く輝く岩肌は荒々しく、女性的な優しさのある山容の仙丈岳とは対照的で「南アルプスの貴公子」とも呼ばれている。また、古くから信仰の山として栄え、山道にも祠や石碑、不動尊、仏像などが置かれている。山頂には駒ヶ岳神社奥社があり、美しく広々とした山頂からの眺望は素晴らしい。
登山日 2011年7月16日(晴れ) しんぷるライフ
行 程 北沢峠(6:22)…北沢駒仙小屋(6:33)…仙水小屋(7:00)…仙水峠(7:32-40)…▲駒津峰2764m(8:50-9:00)…六方石(9:22)…摩利支天分岐(9:43)…▲甲斐駒ケ岳(10:10-11:10)…▲駒津峰(12:20)…▲双子山2649m(12:52-13:00)…北沢峠(14:15)
 以前、北岳に登った際、戸台からの始発バスに乗り遅れたために厳しい暑さの登りを強いられたことがある。今回は前夜にバス停に詰めておくことにした。始発バスは6:00だが登山者が押し寄せているため臨時バスが5:00に出発だ。おかげで1時間早く行動開始となった。宿泊先の長衛荘で受付だけして北沢へと入っていく。駒仙小屋のテン場には色とりどりのテントが張られている。そして我々よりも少し前に着いた登山者がテントを張っている最中だ。

仙流荘前の戸台バス停

林道から北沢へと入る

北沢駒仙小屋
 キャンプ地を抜けて仙水峠に向かって歩く者は前にも後ろにもいない。なんて静かな登山道だろう。まさか道を間違えているわけではあるまいか。そんな気分で北沢の左岸を歩いていく。登山道はシラビソやコメツガの原生林だ。右岸に渡りしばらくすると仙水小屋に出る。 

北沢左岸へ渡る

仙水小屋

シラビソ・コメツガなどの針葉樹林帯
 小屋の前には誰もいない。沢から汲み上げられた水が貯められている。一杯の水を失礼して先を行く。小屋からは徐々に北沢から離れていく。

岩塊の斜面を行く

岩塊の谷間を進むと

仙水峠(2264m)に出る
 やがて正面に岩塊の斜面が見えてくる。そこには殺伐とした風景が広がっている。岩塊とハイマツ・シャクナゲ帯との境を朝日を正面に受けながら歩いていくと仙水峠へと出る。この頃になると登山者も増えてきていた。ここで日の出を迎えられたら素晴らしいと思われる峠だ。見上げれば駒ケ岳が遥か高みに聳えている。

仙水峠から見る摩利支天と甲斐駒ケ岳

振り返れば仙丈岳
 仙水峠は駒津峰と栗沢山に挟まれた鞍部である。ここで小休止だ。ここからは針葉樹林帯の急登になり岩が多く歩きにくい。やがて樹林帯を抜けてハイマツ帯になると少し傾斜も緩み展望が開けてくる。西には中央アルプス、振り返れば栗沢山、北岳や富士山が見えている。

栗沢山から早川尾根

甲斐駒ケ岳が誘う

栗沢山の右手には北岳と南アルプスの峰々

駒津峰への登りで中央アルプス一望

オベリスクと富士山が見える

甲斐駒ケ岳が見事

乗鞍岳を遠望

鋸山方面を望む

駒津峰から甲斐駒ケ岳

同じく
 駒津峰からの展望は良い。北アルプスや中央アルプスの山並みを遠望できる。目指す甲斐駒ケ岳の頂上はまだ遠い。

栗沢山・アサヨ峰を中央に 左は鳳凰 右に北岳

槍・穂高連峰を遠望

端正なピラミッド

駒津峰からの稜線と六方石 その奥は中央アルプスだ

甲斐駒ケ岳の登りに入る
 駒津峰から先は痩せた岩尾根となり歩きにくい。対向者がいれば譲り合わなければならない。甲斐駒ケ岳の鞍部に当たる六方石は良い休憩場所になっている。ここを過ぎるとコースは二手に分かれる。直登コースと巻道コースだ。直とコースは険しそうなので巻道を進むことにしよう。分岐を右に折れて花崗岩と砂礫に覆われた斜面を登っていく。景色は良いがもうヘロヘロだ。

花崗岩の登山道を行く

白い砂礫で覆われた登山道は美しいが歩きにくい

黒戸尾根からの道を合わせ山頂はもうすぐ

北岳から続く南アルプスの峰々
 摩利支天への分岐を右に分け、白砂の稜線を辿れば黒戸尾根からの登山道と道を合わせる。目指す山頂はすぐそこだ。

仙丈岳を望む

甲斐駒ケ岳山頂

山頂から駒津峰と双子山 そして仙丈岳
 石造りの駒ケ岳神社奥社が祀られ、そのほかにもいくつもの石碑や祠があり、かつてこの山が大いなる信仰の対象であったことが偲ばれる。山頂からの展望も素晴らしいが、山頂の美しさも見事なものだ。いつも山頂が白い山なのだ。北側にはガスが巻いて八ヶ岳は姿を見せない。南側も徐々にガスが湧きあがってきている。吹く風が心地よい。

美しい甲斐駒ケ岳の頂上

同じ場所で記念に一枚

駒津峰からハイマツの斜面を双子山に下る

振り返ればガスに隠れる甲斐駒ケ岳
 たっぷりと甲斐駒ケ岳の山頂を楽しんだ後に下山へと入る。直登コースから登ってくる登山者が意外と多い。下りには使えそうもないぞ。来た道を戻ろう。駒津峰への痩せた岩尾根は疲れがどっと出てくる。休み休み歩いていく。

駒津峰を仰ぎ見る

双子山への登りから甲斐駒ケ岳を振り返る
 沢山の登山者が駒津峰で休んでいる。展望も良いし甲斐駒を眺めるには絶好の頂であることには違いない。駒津峰からは双子山経由で北沢峠に戻ることにする。ハイマツとガレ場の急斜面だ。転ばないように注意注意。暑さが身体にまとわりついてくる。鞍部から軽く双子山に登り返して小休止だ。ライフさんの膝が痛んできた。双子山からの樹林帯は吹く風が涼しい。下山後のビールを楽しみに元気を奮い立たせて北沢峠へと歩いた。
inserted by FC2 system