天気にさえ恵まれれば大成功なのだ。初日は涸沢小屋までの行程なのでコースタイム通りに歩けばよい。家族揃って上高地に来るのは2度目になる。最初は1999年のことだから11年前。10歳だった息子の記憶には残っているようだ。その頃に楽しんでいたキャンプはすでに終盤になっていたんだ。
沢渡からタクシーで上高地に入る。大正池に写る焼岳の姿がいい。思わずタクシーを止めて写真を撮りたくなる。予定よりは早く上高地に着いたので余裕だな。梓川やその支流(沢)の清らかな流れが心を洗う。 |
上高地バスターミナル
沢渡温泉からタクシーで4000円 |
梓川を挟んで西穂・奥穂・前穂 |
梓川の流れは美しい |
河童橋からは、ほぼ1時間の間隔で休憩地点があるので歩き易い。道は横尾までは遊歩道となっている。我々に合わせてゆっくり歩くと疲れるという息子はマイペースで先に行く。まずは明神で一休みだ。すると、「あおちゅうさん?」。今年の春に三重に引っ越したsachiさんご夫婦ではないですか。まさか同じ時と空間を共有するなんて、何という偶然だろう。しばし歓談して、もう二度と会うことはないのだろうなあ、と思いながら別れを惜しむ。 |
涸沢へは横尾大橋を渡っていく |
本谷橋は良く揺れる |
涸沢に入るがテントの数は少ない |
徳沢、横尾と順調に足は進む。しかし一抹の不安が芽を出している。さあ、昼食予定地の本谷橋まで頑張ろう。屏風岩を眺めながら歩けば間もなくだ。沢の水は冷たく、喉を潤すのに十分だ。さあ、ここからがつらい上りになる。以前も涸沢に着いたころは足が上がらなかった記憶があるのだ。元気な息子はあっという間に姿が見えなくなった。急登は30分ほどで終わる。しばらくは緩やかな上りが続くが、Sガレを過ぎたあたりから再びきつくなる。冷たい沢水で汗を拭おう。 |
石畳の道の向こうに涸沢小屋 |
涸沢小屋のテラスで |
山小屋の夜を楽しむ |
ほぼ予定通りに涸沢に着く。涸沢ヒュッテでは「涸沢音楽祭」が催されている。フェスタとは別です。まずは冷えた生ビールで乾杯!気になる天気は、前穂がガスに覆われたり晴れたり。とにかく明日の午前中だけ晴れてくれたら何にも言いません。小屋のテラスで山の夜を楽しむ。空には月と満天の星だ。部屋に戻り漫画「岳」を読んでいると消灯時間となる。夜中に天気が気になって、窓を開ければ快晴だ。 |
涸沢の雪渓と前穂高岳 |
奥穂高岳の朝焼け |
色とりどりのテント そして涸沢音楽祭 |
1番の朝食を済ませて奥穂へとむかう。雲が出る心配は全くないが暑さが気になる程度だ。今日は暑くなるだろう。吹奏楽の音色に押されるように清々しい空気の中を歩いていく。こんな山歩きができるなんて涸沢ならではなんだろうな。ガレ場を一歩一歩踏みしめるように歩いていく。アキノキリンソウ、ウサギギク、トリカブトなどが咲く。 |
涸沢岳 |
天気に恵まれ大成功 やった~ |
ザイテングラードまでもう少し |
スケールが大きくて、近くに見えるがなかなか着かないなあ。小屋からはずっとガレ場を歩いてきている。涸沢ヒュッテからの登山者は雪渓を上ってくる。道を合わせればザイテングラードだ。ペンキを頼りにコース取りをして急登を上っていく。浮き石もあり落石には注意が必要だ。振り返れば常念岳や蝶ヶ岳は逆光のなか稜線だけを見せている。 |
チングルマの穂と常念岳 |
穂高岳山荘のテラス |
雪渓と前穂高岳の峰々 |
穂高岳山荘に着くころにヘリが上がってきた。子供達は気になるようで動画や連写していた。気持が逸るので休憩なしで岩場に取りつく。下りが心配だなあ、と思いながら高度を稼いでいく。西から吹く風が冷たく重ね着が必要だ。高度があがるにつれ、槍ヶ岳が顔を出す。西には笠ヶ岳が鎮座している。やがて目の前にジャンダルムがドーンと姿を現す。美しいなあ。 |
笠ヶ岳が美しい |
ジャンダルムだ |
道標と北アルプスの峰々 |
思いのほか登山客は少ないか。ゆっくりと山頂での時間を楽しむことができた。もう何を語るでもないだろう。見飽きることのない北アルプスの山々が目の前に広がっているだけだ。もう奥穂に思い残すことはない、至福のひと時。 |
槍ヶ岳へと続く縦走路 |
方位盤とジャンダルム |
ケルンの上に穂高岳宮 |
御嶽山
乗鞍岳
霞沢岳 焼岳 |
下りに奥穂高岳を振り返る |
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涸沢小屋まで戻り、宿泊のキャンセルをして帰ることになった。さすがに長距離の歩きで痛みと疲労が足に来た。いずれにせよ大満足の山旅になったのは疑いのないことだ。 |