夏の朝は早い。歩きだしてもいないのに朝日が眩しい。こんなにゆっくりで良いのだろうかと思ってしまう。1時間余りかけて菅沼登山口に着くと、既に多くの登山者の車で道は埋まっている。奥に進んで縦列駐車だ。百名山は本当に人気の山。水は500mL×3本(うち冷凍スポーツドリンク2本)、キュウリの浅漬け、おにぎり2個、スナック菓子1袋をザックに入れ、日焼け止めを塗って、帽子を被ってから歩き出す。ストックは持たない。水は足りなくなれば水場に寄ることにする。
コースは弥陀ヶ池からのザレ場往復ではつまらないので、弥陀ヶ池→五色山→前白根山→白根山→弥陀ヶ池の周回コースとする。ゴンドラ利用を初級コースとすれば、菅沼コースは中級だろう。案内板から右に折れ、登山道へと入っていく。駐車位置の標高が約1750mだから、山頂(2578m)まで標高差800m余り。道はアスナロとシラビソの展望のない樹林帯が続く。露岩が多く、歩きにくいが悪い道ではない。 |
アスナロとシラビソの樹林帯を歩く |
樹林帯を抜けると弥陀ヶ池、白根山が正面に |
五色山への分岐道標 |
やがて平らな所も多くなると弥陀ヶ池に着く。今日は水面が波立ち、水面に白根山は見られない。池の周りでは登山者が一息ついている。横目で見ながら五色沼への道を採る。間もなく五色山への道標が出てくる。五色山への上りにはシロバナヘビイチゴが群生している。白根山は8月になると、地味なカニコウモリや黄色のハンゴンソウで覆われるが、今はまだ咲いていない。上り始めにゴゼンタチバナの白い花が見られたくらいだ。 |
五色沼を囲む外輪山(左が五色山、中央の五色沼の上が前白根山、右が白根山)
今回はこれを巡る |
シラネアオイ保護のため電線が張られている |
ダケカンバの明るい稜線 |
五色山の頂上部 |
やがてハクサンシャクナゲの白花も見られるようになる。上り始めてすぐに平原に出る。少し寄り道をすると五色沼が眼下に姿を現す。道に戻り一旦ザレ場を下り、上り返すと五色沼からの道と合わせる。目指す五色山は穏やかな山容をしている。樹林帯から解放され展望が効くようになると五色山の頂上に着く。左手には男体山や女峰山など、右手には五色沼を挟んで白根山が見事だ。展望を楽しみながら快適な稜線歩きとなる。 |
五色山から五色沼と白根山 |
逆光の東には男体山、そして遠くは女峰山 |
快適な稜線歩きだ |
鞍部から再び上りあげるとコケモモが群生している。やがて前白根山だ。湯本からも登山者が上って来る。山頂標識の近くに腰をおろし、五色沼や錫ヶ岳に続く稜線を眺めながら一息つく。遠くには富士山が見て取れる。ここで500mL1本が終了。水場での補給は必要ないだろう。五色沼を見下ろしながら、ザレ場を下り避難小屋を目指そう。やはりストックは必要だな。 |
白山シャクナゲが盛りだ |
前白根山から奥白根山を望む |
緑の中に登山道がくっきりと見える |
五色沼への分岐を通り過ぎ稜線を行く。やがて稜線は行き止りとなり、避難小屋へと下りなくてはならない。この行き止まりの稜線を進むと、白根隠山、白檜山などを経由して錫ヶ岳へと続くのだ。小屋の裏手は、まるでトイレのようだ。いよいよ白根山の登りへと入る。ダケカンバの樹林帯を抜けると白根隠山から錫ヶ岳への稜線が見える。思い出すなあ。シロバナヘビイチゴ、ヤマオダマキ、コケモモなどが山腹を飾る。マルバダケブキはまだ蕾を付け始めたばかりだ。下山者が続々と下りてくる。上っているのは私一人みたい。 |
右は避難小屋へ下る・直進すれば錫ヶ岳へ |
避難小屋を過ぎると火口原へ |
ザレ場から辿ってきた稜線を望む |
やがてザレ場となり火口原に出ると山頂が見えてくる。さすがに登山者が多いな。混雑に紛れて山名板を探したが見当たらなかった。風に吹き飛ばされたか、誰かに蹴飛ばされたかわからないけど、残念な気持ちには変わりない。少し下って一息入れよう。 |
武尊山はすっかり雪を落とした |
わずかな隙を狙って一枚 |
燧ケ岳も雲が取れた |
北向きに腰を下ろす。日光白根山は、男体山などの奥日光の山々の印象が強くて、つい他方面の展望を忘れがちだけれど、本当は尾瀬周辺、谷川連峰、袈裟丸連峰、越後、福島の山々など360°の大展望が楽しめる山なのだ。なんたって、これより高い山は北にはないのだから。
ガレ場を下る。どんどん下る。こちらを上る登山者が多いね。浮き石が多いので細心の注意を払おう。山腹にはハクサンシャクナゲが見ごろだ。コケモモも多い。座禅山との鞍部から弥陀ヶ池へと出る。あとは菅沼への道を戻るだけだ。加羅倉温泉で汗を流して帰ろう。 |