金城山
きんじょうさん
1369m
新潟県
五十沢から

 金城山は、地元で裏巻機山とも呼ばれているようだ。登山道は何本もあり山への愛着がうかがえる。登山シーズンとしては、新緑と花が楽しめ、また、残雪の上越の山々の展望が素晴らしい5月下旬ごろがよい。また、秋には山頂から巻機山の錦秋を楽しめるという。
 最も歩かれているコースは、五十沢登山口から滝入コースと水無コースを周回するルートのようだ。大月コースが最も緩やかな道との情報もある。
登山日 2010年5月15日(晴れ) しんぷる
行 程 沼田IC(6:30)=五十沢登山口(8:20)…水無コース…二合目(8:42)…四合目(9:24)…五合目(9:50)…七合目(11:05)…最高地点(12:20)…金城山頂上(12:43-46)…北之入コース分岐(13:15)…高棚コース分岐()…下長崎登山口(14:42)
 五十沢登山口の案内板は倒れていた。ガイドブックの紹介通り滝入から水無を周回するつもりだ。赤い鉄骨橋を渡り沢沿いを行くとやがて雪渓に阻まれて進めなくなってしまった。雪解け水がゴーゴーと音を立てて流れていく。これは危険だ。それではと尾根コースである水無コースを上って行くことにした。登山口まで戻り左の道を直進する。同じように赤い鉄骨橋を渡る。前方にはイワキ頭から派生する支尾根が見えている。やがて細い沢となり、その入口には尾根に取りつく鎖が付けられていた。そこではサンカヨウがもう少しで白い花を咲かせるところだった。胸突きを上ると二合目に出た。山頂まで2,666mとある。雪はないし快適に上って行けそうだ。

倒れている登山道案内板

二合目・炭釜

金城山を見ながら上っていく
 登山道にはミツバツツジが咲いている。沢筋には雪渓が残り、新緑とのコントラストが見事だ。尾根道は急登で、低木が主で日当たりが良い。足元には時折イワカガミが咲いている。この山域ではイワウチワが多かったのでイワカガミに新鮮さを覚える。右手には反射板らしきものが見える。大月コースはあそこを通るようだ。高度を上げて振り返ると高倉山、その後ろには八海山が大きく聳える。山頂上空を覆っていた雲はどんどん晴れてくる。心も晴れやかになってくる。

登山道は急な登りだ

タムシバと水田地帯

五合目・水無沢
 足元の花は多いとは言えないがハルリンドウなども顔を出す。高度を上げるにつれタムシバが元気だ。色濃いミツバツツジも点々と咲き続けている。そして四合目を過ぎるとブナの木陰に入っていく。イワウチワやムシカリなどが咲く。やがて残雪が現れると、間もなく人の声が聞こえた。出会ったのは地元の中学生3人組。五合目まで行ったが雪があるので引き返してきたという。行ける所まで行ってみよう。少年たちの残した踏み跡を追って五合目に着いた。正面には大岩が立ちはだかりどちらを巻いていくのかはっきりしない。行ったり来たりしながら登山道を探し左へ進むと登山道の道標があった。すぐに鎖があり大岩の上に出る。

中ノ岳

鎖つきのバンド

越後三山から丹後山への稜線
 振り返る展望は相変わらずよいが、登山道には徐々に雪が残るようになってきた。辺りにはマンサクの花が目立つようになる。下山してから聞いた話では一昨日から昨日にかけて積雪があったとのことだった。確かに雪は新雪である。今年は半月くらい遅いのではないかとも聞いた。雪山は想定していなかったので装備はない。岩稜帯のバンドを抜けるといよいよ雪山の様相を示してきた。困ったものだが久しぶりで気分も盛り上がってくる。いやらしい個所も何とか抜け、再び尾根筋に出ると快適な歩きが待っていた。

トレースを振り返る

越後三山

最高地点から避難小屋を見る
 しかし下りには自信が持てない。西側のコースを下るほかなさそうだ。やがて金城山最高地点1369mに立つ。県境の山々が一望である。巻機山は近いなあ。適当に締まった雪の上を避難小屋目指して歩いていく。その先には金城山の岩峰が見えている。すっかりと時間を食ってしまった。すでにコースタイムを1時間以上超えている。金城山の南斜面にも雪が残り、この先が不安になる。もう戻るわけにはいかないし。

越後駒ケ岳

金城山の岩峰を望む

山頂から岩峰帯を振り返る
 雪の付いた岩峰は緊張する。しかし凍結はしていないので比較的安心はできる。鎖を便りに岩と岩の間を抜けて行き、山頂標識の立つ金城山頂上に立った。やれやれ1時間20分超過だ。思い切り展望を楽しむ。谷川連峰が一望だ。苗場山、火打・妙高。素晴らしい展望台だ。
 さて、この先の雪はどうなのだろうと、足元を見ると雪の上に足跡がある。しかもアイゼンは付けていない。雪も少ない。ほっと一安心だ。しかし緊張を強いられていたせいか腹がすいていない。このまま下山だ。
新しい山頂道標
タムシバと谷川連峰・苗場山
分岐
 珍しく記念写真を撮り、一人の往復の踏み跡を追う。急な斜面だが樹林帯のため危険性は感じない。雪が腐ってきているので滑ってこけないように注意だ。九合目の道標は見逃した。やがて道からも雪が消えると図根点?のある分岐点に出た。道標はない。踏み跡は南に下っていく。私の持つ「山と高原地図15、2001年版」には、この分岐から南へのルート名は記載されていなかった。最近のものだと赤線で北之入コースと記載されている。ここで握り飯を頬張った。
ミツバツツジと登山道
巻機山

金城山と下りの尾根(左)を振り返る
 道はとにかく急斜面で直線的に下りていく。長いロープが所々に設置され、それにつかまらないと滑り落ちてしまうようだ。道は乾き、茶色の落葉がカサカサと音を立てる。前方には谷川連峰と苗場山が美しい。見下ろせば六日町の街並み。そして下っていく尾根が見える。振り返れば今登ってきたばかりの金城山が姿が立派だ。登山道をタムシバやミツバツツジが飾る。この山域では必ずタムシバを見る。嫌になるほど単調な下りが続くが、一か所分岐らしい地点があった。高棚コースと下長崎との分岐だったようだ。赤線は右の高棚コースであるが、踏み跡を探すと左に付いている。右は雪田となり道がはっきりしない。踏み跡を追うと、やがて杉林を抜け林道へと出た。地図を出してどうもおかしいと気付いた。家に戻って調べてみると下長崎へのルートとわかったのである。情けなや(泣)。
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