五十嵐登山口を過ぎて200mほど進むと飯士山テニスコート跡地があった。バブル時代に営業していたのだろうが、今は見る影もない。管理棟前に駐車して歩き出した。目指す飯士山の山頂が良く見える。飯士山にはいくつか登山口があるようだが、一般ルートとして紹介されているのは、神弁橋から鋸尾根を登り(下りは危険)、岩原スキー場ゲレンデを下りるコースが一般的のようだ。しかしアップダウンがきつそうでコースタイムも長いことから、ここ五十嵐登山口を選んだ。 |
飯士山テニスコート跡地から望む飯士山 |
五十嵐登山口道標 |
登山口を行く |
登山口を入ると杉林となる。穏やかな道が続く。足元にはショウジョウバカマやカタクリ、そしてまだ花弁を開かないキクザキイチゲが見られる。駐車場から見えた飯士山は一気の急登が待ち受けているはずだ。ほどなく残雪の中に分岐道標が現れた。左が負欠岩コース、右が尾根コースだ。予定通り負欠岩コースを行くが、雪渓が消えたばかりで、うす汚れた下草が生い茂る道となる。しかし足元にはカタクリが数多く登山道に自生し、踏みつけるのを避けながら歩くようだ。カタクリ咲くところにはショウジョウバカマも多い。前方からは朝日が差し込み眩しいばかりだ。 |
負欠岩・尾根コース分岐 |
下草が茂る負欠岩コース |
水場道標 |
最後の水場の道標を過ぎると沢歩きとなってくる。道も傾斜を増す。道型もはっきりしなくなり、道を間違えたかと思われた。急登の中、雪渓も現れて不安になるが間違える所もなかったので先に進む。こんな道を歩いて行くとライフさんの不満声が聞こえてくる(笑)。
まあ下見をしてきたわけでもないので我慢してもらうしかない。まして初めての道だしね…。雪渓の上に赤テープが落ちているのを発見。コース間違いではなさそうだ。ジメジメと湿った道を、雪渓に悩まされながら上っていくと、正面が源頭となった。見れば右手から尾根に上るようになっている。ここにも赤テープが落ちており確信を深めて尾根へと出た。ここからは道がはっきりとついていた。 |
雪渓に悩まされる |
尾根に出ると展望が広がる |
負欠岩基部 |
やれやれ、ようやく尾根筋に出たようだ。わずかで展望が開けてきた。ここで一服入れる。尾根道には数多くのタムシバが今を盛りと咲いている。残雪の山々を背景に見るタムシバはそれは見事なものだ。そしてこのコースの名を持つ負欠岩へと出る。まあ何とも情けない名前の岩だが(その由来は知らない)、なかなか見ごたえのある岩だ。赤ペンキとロープに導かれてその基部を上っていく。 |
ロープを頼りに基部を登る |
826mピークと苗場山 |
スラブ端を四つん這いで登る |
負欠岩の上部に出ると右側はスラブとなっている。赤ペンキに従ってスラブの左端を上っていく。緊張を強いられる道だ。しかしライフはどんどんと先に登っていく。雪渓で愚図愚図言っていたのがうそのようだ。気をつけてくれよ。立ち止まって見渡せば展望も広がってくる。四つん這いになってスラブ端を上りきると、左へと回り込み、急ではあるが安心して歩ける道となる。タムシバ、シャクナゲ、イワナシ、イワカガミ、ミツバツツジなどが目を楽しませてくれる。 |
スラブ 滑ればアウト |
スラブを抜けて一安心 |
シャクナゲの出迎え |
展望を楽しみながら西峰に立った。そこからは正面に八海山。本峰は一旦下って上り返す。眼下には駐車場が見えている。
「もうここでいいけど…。」許しません(笑)。さあ先を急ごう。軽く展望を楽しんで本峰へと続く道を行く。ロープで下る。登山道には乾燥した落葉が堆積してカサカサと滑る。痩せ尾根にも注意が必要だ。上り返した頂には雪が残り道標が立っていた。山頂はそのすぐ南側にあり、山頂標識と三等三角点が置かれていた。誰にも会わない上りだった。 |
西峰はすぐそこだ |
西峰から本峰は近い |
金城山と奥は八海山 |
谷川連峰が一望だ |
飯士山頂上 |
山頂手前の残雪ピークに戻る |
何といっても巻機山が大きい。そして雪を残す越後三山、金城山、谷川連峰がいいなあ。西には妙高山、先日登った坂戸山の小さいこと。いやあ、とにかく急な山だった。しかしこれだけの展望が楽しめるのならば文句は言えないなあ。静かな山頂を独占だ。 |
西峰からの尾根コースは一気の下りだ |
ブナの新緑が美しい |
雪渓を渡るのも慎重に |
西峰まで戻り尾根コースをとる。下りはものすごい急斜面だ。ロープが延々とつながる斜面を一気に高度を下げる。そんな登山道をタムシバやミツバツツジが飾る。右手にはスラブを挟んで、上ってきた負欠岩コースが見てとれる。傾斜が一息つくと負欠岩と標高を並べる。更に急斜面が続いた。さすがの急斜面も緩やかになるとブナの林だ。その新緑が美しい。雪渓を二つ程越えて最初の分岐に戻った。往路には下を向いていたキクザキイチゲが元気よく花を広げ「お帰りなさい。」と迎えてくれた。 |