万太郎山
まんたろうやま
1954m
みなかみ町
登山日 2009年9月27日(曇りのち晴れ) しんぷる、tomo、まきまき
行 程 川古温泉(5:00)…赤谷川林道分岐(6:10)…林道終点(6:35)…渡渉点(7:30)…毛渡乗越(9:15)…越路避難小屋(9:50-10:15)…万太郎山(10:55-11:30)…井戸小屋沢ノ頭(12:00)…大ベタテノ頭(12:45)…杉林…林道(13:55)…土樽駅(14:45)
 毛渡乗越(けとのこし)・・・谷川主稜線縦走路の一鞍部。川古温泉から赤谷林道を進み、赤谷川本谷(阿弥陀沢)を渡渉したのち標高差約660mを上りあげた地点であり倒れた道標が置かれている。そこから仙ノ倉までは2時間30分、万太郎山まで1時間30分とある。かつては群馬県側から万太郎山へ登る重要な登山道であったようだが、今は「山と高原地図」では破線となっているようだ。それでも最近のwebでは毛渡乗越から仙ノ倉・大源太山を巡るロングコースを日帰りで歩いた記録が散見される。この鞍部を踏むのであれば主稜線縦走しか頭になかったものだから、川古温泉から歩いてみようなんてことは思いもよらなかった。紅葉が良いからとtomoさんに誘われて歩いてみる気になった。万太郎の山頂を踏んだ後に吾策新道を土樽に下る予定だ。吾策新道は2度下っているが急斜面が長く続きとても登る気にはならない。もう2度と歩かないだろうと思っていた道だ。およそ9〜10時間のコースタイムを予定した。
赤谷林道終点に着くと毛渡乗越線へと続く
そして本格的な登山道となる

対岸の滝だ
赤谷川には滝が多い

渡渉点が見えてきた
 川古温泉からはヘッドランプを点灯しての歩き出しとなった。標高約660mの川古温泉から毛渡乗越まで標高差約900m、コースタイムは5時間20分となっている。いかに林道歩きが長いかわかるというものだ。天気の方は猫の目のように日替わりでころころ変わっている。全く星の見られない林道をのんびりと歩いていく。辺りは徐々に明るくなり5:30消灯。やがて赤谷川橋手前の分岐に出る。左は渋沢に沿って渋沢林道が大源太山登山口へと延びている。林道は多少荒れているところもあるが概して快適だ。右に進路を取ると程なく赤谷林道終点に着いた。そこからは毛渡乗越線となり本格的な山道となる。川の真横を歩いていくのかと予想していたのだがそれは違っていて、左岸の高いところに道は付いている。景色に気を取られてうっかり足でも滑らせたら大変だ。危険箇所にはロープが設置されているので問題はないと思うが。
 対岸の紅葉はまだ始まったばかりで緑の中に時折混じっているくらいだ。やがて滝が見えてくるからと言われて気を付けながら歩いていく。うっすらとしたガスがかかり幻想的でもある。いくつかの名のある滝を見ながら進めば渡渉点へと降り立つ。そこは名のない滝の下であり赤ペンキが派手に付けられている。水量は少なくて難なく対岸へと渡ることが出来た。

水量が少ない
難なく対岸へ渡ることが出来た

更に奥の滝も見えた

渡渉点を過ぎると樹林帯が続く
 いよいよ毛渡乗越への急登の始まりだ。滝の脇を一気に上がる。樹林帯の歩きが続くが順調に高度は稼いでいるようだ。いくつかの沢を渡っていくとやがて笹原となる。急登なのでジグザグに登っていくことを想像していたがこれも見事にはずれで直登に近いものだ。すっかり樹林帯は抜けたのだが一面ガスの中で視界は狭い。笹道が小刻みにジグザグとなってくると間もなく毛渡乗越に着いた。稜線を南から吹き抜ける風は冷たい。全く展望がないので足下の草モミジを慰めに撮る。なんでこんな稜線を歩かないかんの。眼下に赤谷川本谷を見下ろし、稜線上には紅葉に染まる谷川連峰を眺めながらの歩きが出来ると思っていたのに…。曇る眼鏡を拭き拭き万太郎を目指して歩くと、肩の小屋から歩いてきたという女性の単独行とすれ違った。すぐ先の越路避難小屋を覗くと大障子避難小屋に宿泊した青年が休憩しているところだった。傍には大きく重そうなザックが置かれていた。我々も中で休息を取った。

樹林帯を抜け良く整備された笹道となる

毛渡乗越の道標は倒れたままだ

越路避難小屋はなかなか快適
 ガスが吹き抜ける稜線を歩けばツツジやカエデが色付いている。身近な木々の紅葉や草モミジに慰められながら歩いていく。痩せ尾根を抜けると誰もいない万太郎の頂上に出る。間もなく高齢の男3人連れが登ってきた。

鮮やかな紅葉が迎えてくれる

足下の草モミジの中を行く

赤に彩られた痩せ尾根へ突入
 新潟からの3人は年長者が昭和5年と言うから今で言うところの後期高齢者である。吾策新道をピストンだそうだ。山頂は寒いので少し戻ったところで休もうと先に下っていった。結果、彼らとは抜きつ抜かれつしながら吾策新道を下りることとなったが、その健脚には驚かされてしまった。気力・体力ともに素晴らしいものだ。私はとてもあの年まで歩いていられるとは思えないし、山に関しては早期定年を考えているくらいだから…。少しは延長するかも(^^;)

見事な紅葉

万太郎の山頂

ガスに煙り幻想的な風景が広がる
 分岐道標を過ぎ吾策新道を下り始めると薄日が差し込んできた。高度を下げるにつれガスが晴れ展望が開けてきた。そこには紅葉に彩られた万太郎尾根が眼下に延びていた。

うっすらと山頂が姿を現す

目に鮮やかなドウダンツツジの紅葉だ

同じく紅葉

晴れ間の中に井戸小屋沢ノ頭

山頂方面を振り返る

万太郎尾根を見下ろす

ナナカマドも誇らしげだ

万太郎尾根に登山道が続く

井戸小屋沢ノ頭

逆光の中山頂方面を振り返る

これは何色?

何と形容したらいいのか

カエデの紅葉

大ベタテノ頭が近くなってきた

本当に良い色だ

大ベタテノ頭から振り返る

万太郎の山頂はガスの中だが

ブナの林を抜け杉林、そして林道へ
 万太郎尾根は急斜面の連続だが紅葉を楽しみながらの楽しい下山道だった。二度と歩くこともないだろうと思っていたが、訪れる時期によって変わるものだと思った。
inserted by FC2 system