■菅沼登山口から弥陀ヶ池
標高1740mの駐車場は7分くらい埋まっていただろうか。夏の日本百名山はどこも登山者で賑わっている。雲は薄く夏の厚い雲とは違い、また空気も爽やかでどことなく秋の気配が漂う朝だ。菅沼登山口から日光白根山を目指すのは初めてになる。大きな案内板を過ぎると涸れた沢を歩くが、それも間もなく外れてコメツガやシラビソの登山道となる。陽の射さない北斜面の樹林帯のためか肌寒さを覚えるほどの涼しさだ。半袖では持ちそうもない。急登と呼ぶほどの登山道ではないが段差があるところもあり安易な道ではない。足下にはカニコウモリが沢山咲いている。気持ちよく高度を稼いでいくと弥陀ヶ池に着いた。 |
林道奥には日光白根山の案内板がある |
足場が悪いコメツガの多い道を行く |
ハンゴンソウが咲き乱れている |
■弥陀ヶ池から白根山頂
池の手前にはハンゴンソウが辺り一面を黄色に染めていた。風のない早朝には湖面に溶岩ドームが映るのだが、今日はさざ波で見ることが出来ない。木道をわずかに歩けば五色沼への分岐だ。座禅山の山腹には植生保護のために鹿避けの電線が張り巡らされていて、そこにはハンゴンソウ、トリカブト、ハクサンフウロ、シシウドなどが咲いていた。その上部では一等のニホンジカが草を食べていた。 |
弥陀ヶ池に溶岩ドームが映るのだが… |
登山道案内板が所々にある |
阿弥陀ヶ池からの登り |
五色沼と反対側に進路を取り山頂を目指す。ダケカンバの疎林帯を過ぎれば森林限界で登山道はガレ場となってくる。振り返れば徐々に展望が開けてくる。青空は広がってはいないが秋空のように雲は高くそこそこの展望が楽しめる。花の種類は多くはないが数が多い。マルバダケブキやトウヤクリンドウも姿を現す。ガレ場を登り切れば頂上台地の一角に出る。そこからは岩を積み上げたような山頂が見える。 |
高度を上げていくと五色沼が現れる |
北の展望も開けてくる |
こんな所を登っていくのだ |
ここまで来れば山頂とあまり変わらない展望が味わえる。上州武尊山、尾瀬笠ヶ岳、至仏山、燧ヶ岳、会津駒ヶ岳、手前には唐沢山、四郎岳、燕巣山などが近い。砂礫の道を一旦下ってから山頂を形成している岩に取り付くと360度大展望の山頂に立つ事が出来た。谷川岳方面は残念ながら雲と同化している。 |
ハンゴンソウと弥陀ヶ池 |
菅沼を見下ろす 四郎岳・燕巣山、燧ヶ岳 |
山頂は岩場の上だ |
■白根山頂上
ライフが一年ほど前に作っておいた山名板を手に記念写真だ。その山名板はもう一つの山頂標識の下に置いておいた。いったいいつまで残っているだろうか。またいつか登ってこなければならないな。一段下がったところで素麺ンランチだ。真夏では冷たくて生き返るのだが、今日の山頂は涼しくてちょっと失敗したかな。山頂からは西側の男体山、女峰山方面の展望がよい。男体山以外は登っていないなあ。南には皇海山や庚申山さらに袈裟丸連峰と続いている。赤城山の上に見えるのは秩父連山だろうか? |
もうすぐ山頂だが一旦下る |
男体山と中禅寺湖が墨絵のよう |
待望の山頂
山名板を記念に置いてきた |
■山頂から避難小屋
岩場を下り南峰となる白根神社奥社の前を通って火口原へと出る。山頂には蟻のように登山者が群がっている。それもまた良し。白ザレの滑りやすい道を一気に下っていく。この斜面にはマルバダケブキとアザミに覆われているのだが、時期が過ぎて枯れかけたものがほとんどだった。時折オヤマリンドウやヤマハハコ、ヤマトリカブトが目を楽しませてくれる。ハクサンフウロの花弁がやけに細いのは気のせいだろうか。やがて樹林帯に入れば避難小屋は近い。 |
山頂台地から頂上を見上げる |
五色沼まで下ろう |
砂礫の急斜面を一気に下る |
■避難小屋から弥陀ヶ池
避難小屋はなかなか立派なもので毛布や布団が数組置かれていて快適に利用できそうでだ。樹林帯を抜け五色沼へと下りる。沼の湖畔は広く多くの登山者が昼食を摂りながら休憩をしていた。湖畔を歩き弥陀ヶ池への登りへとはいる。今回のコースでは最後の登りとなるが、我慢して歩けば程なく抜ける。 |
樹林帯に入ると避難小屋はもうすぐ |
カニコウモリが群生している |
五色沼に降り立ちました |
今回の白根山はとにかくハンゴンソウ、カニコウモリが最盛期でその数には驚かせられた。また避難小屋付近ではニホンジカの親子にも遭遇した。この山域は本当に鹿が多く、毎回お目にかかっている。 |
山頂ドームが覆い被さるようだ |
ハンゴンソウが斜面を黄色に染める |
弥陀ヶ池に戻ってきた |
■弥陀ヶ池から登山口
太陽も真上に上がってきて気温も上昇してきた。薄く空を覆っていた雲も徐々になくなってきている。登山口への下りも快調だ。入山の時よりも登山者の車は増えて駐車場は満車状態だった。国道に出れば青空が広がってきて、山頂からの展望は大分良くなっているに違いない。秋の気配を感じた山行となった。 |