獅子ヶ鼻山
ししがはなやま
1875m
沼田市
登山日 2009年3月29日(曇りのち晴れ) しんぷる、tomo
行 程 玉原ペンション村(8:20)…第2リフト上部(9:10)…鹿俣山頂上(9:30)…1710m峰(10:30)…獅子ヶ鼻山(11:40-12:35)…鹿俣山(13:50)…玉原P村(14:47)
 tomoさんから獅子ヶ鼻山へ行かないかとのお誘いがあった。玉原高原の鹿俣山から武尊剣ヶ峰山(西武尊)へ続く稜線上にある山である。夏道はなく積雪期に登られる山だ。リフトを乗り継いで行けば鹿俣山までは楽チンだと思っていたら、登山者はリフトに乗せてくれないらしい。仕方なくペンション村の上部に車を置き、ゲレンデの端を上っていくことになった。朝の8時を回ったばかりで営業時間としてはまだ早い時間だ。
 ほとんど客のいないブナ林の中のゲレンデをマナー良く歩いていく。わずかに雪が降っているが服を白くするほどではないし、天気は良くなるとの予報を信じている。高度を上げるにつれ徐々にスキーヤーやボーダーが滑り下りてくる。やがて第2リフト降り場に着いた。するとスキー場係員が近づいてきて、何処まで行くのかと尋ねてきた。鹿俣山の先の獅子ヶ鼻山だと答えると怪訝そうな顔をして、ここから上るとスキーヤーが上りたがるので、少し先の尾根から上ってくれとのことだ。

道標もすっかり雪の中だ

いよいよリフト上部から鹿俣山への上り

鹿俣山頂上から1710m峰
 指示通り少し歩くと、数人のスキーヤーが尾根をを目指して上っていくではないか。指示の場所よりだいぶ手前だが後についていくことにした。ここまで4本アイゼンとWストックで上ってきている。残雪で締まっていることを予想してきたが、ここから先はどうだろうか。シールを付けたスキーは速い。少しづつ距離を離されながらも樹林帯を上って行けば鹿俣山の頂上に立った。相変わらず視界は悪く周りの景色は見ることができない。目指す獅子ヶ鼻山など全くのガスの中だ。山頂でのろのろしているとスキーヤー達は更に進んで一段下った所から樹林帯の中を滑り降りていった。

こんな場所もある

この先には頂上が待つ

青空が顔を出した獅子ヶ鼻山頂
 鹿俣山から先はラッセル模様となってきた。今までこんな経験はしたことがないので不安が頭をよぎる。ハッキリ言ってワカンかスノーシューの世界だ。一旦締まった雪の上を深いところでは50cm程の新雪が乗っている。所々で深さは違うがとても避けられそうにはない。鹿俣山からの下りではズボッと何度か踏み抜いてしまう。しかも踏み抜いた足が宙に浮いている場所もあり前途多難を思わせた。引き返そうかとの気持ちが二人を支配したが、時間が早いこともあり、もう少し先まで行ってみることにした。そう1710mのピークくらいはね。
 稜線の南側は雪庇が張り出しているので、なるべく近寄らないようにして歩く。それでも危なそうなところは北側の樹林帯をトラバース気味に歩いていく。雪が浅く締まっている場所も多く完全なラッセル状態ではないのが救いだ。稜線上は雪の交じった北風が冷たい。夏こそ藪で歩くことはできないが、積雪期は天気に恵まれれば上越国境の山がすべて見えるといわれている稜線である。なんでこんな日に歩いているんだろう。武尊山さえも見えないのだからなあ。急な登りでは軽アイゼンではつらい。ズルズルと滑り落ちることが多く疲労が増すのだ。tomoさんは10爪でズルズルはないようだ。

剣ヶ峰山が近い

山頂の雪庇

幕掛山の先には谷川連峰が見えるはずだが
 そんなこんなで何となく1710mピークに到着だ。振り返れば2人のトレースがしっかりと着いている。時間を見ればまだもう少しいけそうだ。なにせ獅子ヶ鼻山が見えないのだからどうしようもない。景色もないことだしお互い士気が上がらないのだ。11:30までと時間を決めて歩くことにした。ズボっといけばフリースには雪が付きまくりだ。高度計と時間を見ながらの歩きが続く。あれが獅子ヶ鼻かなと思われるピークが徐々に見えてくる。上りが少しきつくなった地点でタイムアップだ。しかし高度計は1875mまであと20mを示している。鹿俣山でセットをしてきたからそんなに誤差はないはずだ。さらにそこから10分をかけて高度を稼ぐと目的の頂に立つことができた。吹く風は冷たいし展望はないので少し下ってから食事にすることにした。ところがどうだ、わずかに青空が覗いたかと思ったら一気にガスが逃げて行ったではないか。さすがに遠望は利かなかったが、沖武尊と剣ヶ峰山が白く輝いている。やや暖かくなった日差しの中で山頂の一角で、景色を楽しみながらの昼食となった。やったね。

歩いてきた稜線を戻る

獅子ヶ鼻山を振り返る

1710m峰
 獅子ヶ鼻からかっこ良く見える剣ヶ峰山へと続く稜線はとても行けそうもない。夏道でも難しそうだ。ゆっくりと時間を取って、さあ下山だ。時間が経つにつれ徐々に視界が開けてくる。北の空は残念ながらはっきりとはしてくれなかったが南や西方面ははっきりしてきた。下りの道は楽チンだ。1710m峰への上りが残っているが、景色はいいし気持は高揚している。しかし二人で深々とつけてきたトレースは徐々になくなってくる。恐るべし風の力。トレースをそのまま戻ればいいなんて安易な考えでいると大変なことになりそうだ。写真を撮りまくりながら稜線を下っていく。しかし寒さと付着した雪のせいか我がコンパクトデジカメはレンズが開かないことがあった。一眼レフには負けるわなぁ。

赤城山遠望

鹿俣山頂から玉原湖

ゲレンデに下りる
 やがて鹿俣山まで戻ると山頂にはスノーシューの跡が無数に残されていた。その跡を辿り、歩いてきたゲレンデに降りた。その頃にはアイゼンの下の雪は緩んできたのか団子状態になることが多かった。青空はどんどんと広がり暑ささえ覚えるほどになってきた。視界はどんどんとクリアになってきて、もう少し稜線上にいれば良かったなあと思ってしまった。途中でアイゼンを外し、上ってきたゲレンデの端を軽快に下っていった。平成の市町村合併前には旧沼田市の最高峰であった獅子ヶ鼻山だが、いつか再び訪れることがあるだろうか?
 
獅子ヶ鼻山頂から武尊山
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