火打山
ひうちやま
2462m
新潟県
登山日 2008年9月17日〜28(曇り) しんぷるライフ、SN
行 程 <1日目>
笹ヶ峰登山口(8:50)…50…黒沢橋(9:40)…40…十二曲標柱(10:20)…50…黒沢池分岐(11:10)…55…高谷池ヒュッテ(12:05-13:50)…55…ライチョウ平(14:45)…30…火打山頂上(15:15-25)…1:30…高谷池ヒュッテ(16:55)
<2日目>
高谷池ヒュッテ(9:35)…55…黒沢池ヒュッテ(10:30-11:20)…52…高谷池分岐(12:00)…1:50…笹ヶ峰登山口(13:50)
 車窓から見える妙高山は雪化粧をしていた。しかも空はどんよりと重そうな雲に覆われ、これからの山行を暗示しているようだ。
 群馬・長野県境の一連のトンネルを抜けると青空が広がっていた。八ヶ岳がくっきりと見え新潟へ足を伸ばすより、この山に変更した方が現実的だと思ったが、それとは裏腹に車は新潟に向け走っていく。妙高地方は明け方まで雨で、その後は曇りの予報となっていた。長野市を過ぎて宿泊予定の高谷池ヒュッテ連絡所に電話を入れると、徐々に晴れてきているとの答えが返ってきた。翌日は晴れ間が見えるわけだが、山の天気に関してはあまり当てにならない。それでも期待を持って登山口へと向かった。
 車窓から見える妙高山は雪化粧をしていた。妙高高原ICで下り、およそ17qあまりの県道を笹ヶ峰キャンプ場へと向かう。杉野沢を過ぎると道は狭くカーブの多い道となる。やがて立派な大駐車場のあるキャンプ村に着いた。登山口駐車場には案内図と登山届けが置かれ、登山者は準備に予断がないようだ。周辺はまだ緑が深く紅葉にはまだ早いようだ。

笹ヶ峰登山口

広葉樹林帯の登山道

黒沢橋
 登山届けを出し平坦な木道の道を歩き出す。ぬかるんだ道が有名な登山道なのでスパッツは必須であろう。笹ヶ峰からの登山道は広葉樹林帯であり、紅葉の素晴らしさは折り紙付きである。ところどころ木道が切れる道を少しずつ高度を稼ぎ、体が温まった頃に黒沢橋で最初の休憩を取る。橋を渡るとジグザグと急な登りが始まった。樹間からは近くの山が見えるが天気は相変わらずだ。「十二曲り」道標を過ぎるとさらに登りが少しきつくなり、登山道はいつの間にか雪景色に変わっていた。頭上の樹林からは雨が降り出したと間違えるほどの滴が落ちるので雨具を着ることにした。

雪が融けて滴となる

黒沢池との分岐・富士見平

雪の木道を行く
 一斗缶に荷物を背負い、我々を追い抜いていく人に声をかけると、高谷地ヒュッテので働いている従業員だった。四人で予約しておいたところ一人キャンセルになったことを伝えた。なにせ携帯電話が圏外なのである。ひどい泥濘が続き足下はドロドロだが、辺りは紅葉が始まっていて雪とのコントラストがなかなか美しい。ようやく傾斜もゆるみ富士見平へと出る。黒沢池への分岐を右に分け黒沢岳の山腹を通る登山道が完全に雪道に変わると、今度は滑らないように気をつけて歩かねばならなかった。登山道にはオオシラビソの枝が低く垂れ下がり、その枝をくぐるように進んだ。

高谷池ヒュッテ

雪と草紅葉の高谷池

天狗の庭
 あたりが晴れてくる気配もないまま高谷池ヒュッテに到着した。火打山は完全に雲の中でどこに位置するのかもわからない。しかし湿原と紅葉と三角屋根のヒュッテの景色は何ともメルヘンチィックでいい。数枚写真を撮ってヒュッテに入ったら、途中でキャンセルをお願いした青年が迎えてくれた。ついでに今後の行程の相談やアドバイスを受けることにした。入口の右は濡れ物入れとなっているが乾燥室ではない。入口を入ると談話室兼食堂となっている。その奥が自炊室でガスコンロ、鍋などの炊事道具や食器などが用意されている。自炊室は食堂兼用でもあるので混雑時の食事時間における利用は部屋制限されている。部屋は2階となり一人ずつ布団が用意されていてなかなか快適だ。

ナナカマドの実も凍てつく

ガスの火打山頂上

高谷池方面を見下ろす
 さて、宿泊予定の高谷池ヒュッテに着いたのはいいが天気はさっぱりだ。翌日の妙高山は諦めて今日はゆっくりとしようか思案にふける。昼食をとり休んでいたが時間が余りすぎるし、昼から飲んでいるわけにも行かないので山頂まで行ってみることにした。高谷池を半周してから一段高い湿原を抜け「天狗の庭」へと出る。紅葉と雪の湿原の景色を見ながら積雪のある木道を調子良く歩いていく。木道の周りはナナカマドが多くしっかりと色付いている。同じように天狗の庭を半周してから尾根に取り付く。高度を上げるにつれ積雪が多くなるが、多くのハイカーが踏んでいたためすっかりと固められている。アイゼンがあれば安全かなといったところだ。当然ガスも深くなり山頂を目前にホワイトアウト状態となってきた。最後の急登を一踏ん張りで展望のない、三角点と1本の山頂標柱があるだけの地味な山頂に着いた。

奥は妙高山

二日目の火打山

天狗の庭から
 快晴であれば富士山は勿論のこと、日本海に浮かぶ佐渡島まで見渡せるという山頂だが、ガスの中で展望はまるでなしだ。記念写真だけ撮って早々に山頂を後にした。下る途中に少しずつガスが晴れていき目の前の妙高山が姿を現した。火打山方面からの姿はあまりさえないものだったが、ようやくの展望が嬉しくて少し気分も晴れた気がした。夜はカレーライスの夕食を横目に見ながら自炊室でささやかな宴会だ。ヒュッテに対抗してレトルトのカレーライスだ(^^;)  久ぶりに飲むウイスキーの味も格別だった。翌3時頃は満天の星、天気が期待できると思ったのだが…。
 2日目はの朝はなんとか晴れて、ヒュッテ周辺からは北アルプスが一望だ。昨日見えなかった火打山もはっきり見えた。3時頃からゴソゴソと準備をするハイカーはいったいどこへ行くのだろうと思っていたが、妙高山往復は意外と時間がかかる。それに雪が降った後の妙高山は登山対象ではなくなるとのアドバイスを受け、妙高山は断念することして、再度火打山に出発した。妻は天狗に庭の景色で満足とのことでヒュッテに引き返し待つことになった。男二人で大展望の頂上を目指すことになった。

高谷池

北アルプスを一望する

ライチョウ平
 尾根に出ると北アルプスが一望だ。さらに八ヶ岳、南アルプスが頭を出している。さあ、急いで山頂を目指そう。しかしである、山頂までわずか30分足らずといったところでガスが湧き出した。あっという間に山頂はガスの中に隠れ前日と同じ状態に。まあ山頂からの展望は尾根と変わらないだろうということになり引き返すことにした。
 高谷池ヒュッテで待つ妻と合流し、黒沢池へ向かって出発だ。黒沢池周辺の景色も一見に値するとのことだ。ヒュッテを出るとすぐに分岐がある。あまり整備されているとはいえない登山道をいく。30分足らずで立木に文字が消えそうな山頂標識がつけられている茶臼山に着いた。登山道の一部といった感じだ。地味な山頂を過ぎると一気に展望が開け、黒沢池、三田原山とその後に妙高山が頭だけ出している。池の左手に天体観測ドームのような黒沢ヒュッテが小さく見えていた。よく手入れがされている笹刈りの道をヒュッテ目指して下っていく。わずかで宿泊客の去った静かな黒沢ヒュッテ前に着いた。前のテーブルを借りて昼食とした。

ナナカマドが多い

妙高山と黒沢池

黒沢ヒュッテ
 妙高山は近くに見えるのだが案外と時間がかかる。ざっと見積もっても往復する時間はないので、このまま笹ヶ峰へ下りることにした。湿原脇の平坦な木道を歩き、黒沢を渡り少しの坂を登っていくと富士見平の分岐に着いた。前日の積雪はなくなっていた。ぬかるんだ道を下っていけば徐々に気温が上がっていくのがわかる。珍しく予定とは全く違った山歩きとなってしまった。紅葉にはまだ早く10月に入ってからだろう。湿原に恵まれた夏の火打山も見事に違いない。高山植物が咲き誇る夏にもう一度訪れたい山になってしまった。
inserted by FC2 system