槍ヶ岳
やりがたけ
3180m
北アルプス
槍の穂先
登山日 2008年8月10日〜12日(晴れ) しんぷるライフ、IT、SN
行 程 <1日目>
大正池(8:00)…河童橋(9:05-15)…明神(10:00-15)…徳沢(11:05-35)…横尾(12:35-45)…一ノ俣(13:40)…槍沢ロッジ(14:20)
<2日目>
槍沢ロッジ(5:30)…槍沢大曲り・水俣乗越分岐(6:25)…天狗原分岐(7:15)…坊主岩屋下・ヒュッテ大槍分岐(8:25)…殺生分岐(9:00)…槍ヶ岳山荘(9:43)…槍ヶ岳頂上(10:20-50)…槍ヶ岳山荘(11:10-12:50)…天狗原分岐(14:10)…槍沢ロッジ(15:30)
<3日目>
槍沢ロッジ(5:50)…一ノ俣(6:20)…横尾(7:05)…徳沢(8:10)…明神(9:20)…河童橋(10:20)
 早朝4時過ぎに自宅を出発です。ガソリン代高騰のため高速道路は使わず最短距離で沢渡を目指します。1日500円の市営第2駐車場に止めて準備をしているとタクシードライバーから声がかかりました。大正池まで3200円、バスターミナルまでは4000円の定額料金です。4人で乗り込めばバス料金と変わりません。さすがに観光地の運転手は黙っていません。付近の道路事情や上高地、釜トンネルのことなど途切れることなく話し続けます。でも接客態度は気持ちのいいもので耳障りではありませんでした。初日は槍沢ロッジ泊まりでゆっくりできるため、大正池で下車して歩くことにします。
 冬季には釜トンネルは閉鎖になりますが、歩いて登ってくる写真家?のために大正池ホテルは営業しているそうです。新しい釜トンネルは大型のバスの通行が可能になったり、登山者や写真家にとっても優しいトンネルになったようです。梓川の河原へ下りてみると北アルプス唯一の活火山焼岳が迎えてくれます。

大正池ホテル前

大正池に浮かぶ焼岳

槍沢ロッジ
 上高地の象徴である河童橋はさすがの賑わいです。ここからほぼ1時間間隔で明神、徳沢、横尾と歩かなければなりません。槍沢ロッジまでの標高差は300mほどなので平坦な道が延々と続きます。十分な休憩をとりながら歩いていきます。横尾を過ぎて一ノ俣に近づくと槍見河原に出ます。登山道から一歩河原に入ると樹間から槍の穂先が姿を見せてくれます。あそこに登るのかと思うと気持ちが高ぶりますねえ。二ノ俣を過ぎるとようやく登山道らしくなります。程なく本日の宿泊地である槍沢ロッジに着きました。沢の中にあるため展望はありません。小屋から一段高い広場から槍の穂先だけが見えます。
 ここには男女別の風呂があり15時〜19時まで入浴が可能です。石けん類は使えませんが汗を流すには十分です。1泊2食で9000円、生ビール500mL未満1000円は高いかな。自販機500mL750円、350mL500円でした。部屋は"こけもも"6人部屋です。混雑の場合は最大8人でお願いすることになると言われましたが、それくらいならへっちゃらです。しかしお盆直前で空いているのか定員6人で収まりました。談話室で天気予報を見れば翌日も快晴が期待できます。

ババ平キャンプ場(槍沢小屋跡)

天狗平分岐

トリカブト…秋の気配が
 朝4時半に起床して5時からの朝食に望みました。十分に腹ごしらえをして槍ヶ岳の頂上を目指します。沢沿いの道は天気がはっきりわからず少々不安ですがババ平キャンプ場まで来ると上空には青空が広がっています。本日の登山の成功は約束されました。
キャンプ場にはホースから出る水場と一基の仮設トイレが置かれていました。槍沢の左岸を歩いていきます。道にはソバナやセンジュガンピなどが延々と咲いています。種類は少ないが数が多いと言ったところでしょうか。沢沿いを行くと槍沢大曲りです。ここは水俣乗越への分岐となっています。ここを一気に登れば東釜尾根の喜作新道へとでます。それも魅力的ですが沢コースを歩くことにしました。天狗原に近づくにつれ沢が大きく広がってきます。まだまだ槍の穂先は見えません。

ハクサンイチゲと穂先

坊主岩屋下

山頂はこの上
 天狗原は晴天下の急登となります。高山植物が足下を飾りアルペン気分を味わいながらの登りです。振り返れば常念岳や蝶ヶ岳がシルエットに見えます。ジグザグと徐々に高度を稼いでいけばグリーンバンドと呼ばれるハイマツ帯に入ってきます。ガレ場の脇には沢が流れ、冷たい水を味わうことができます。さらに高度を上げて、槍ヶ岳を開山した播隆上人の坊主岩屋下近くまで来ると、ついに槍の穂先が青空の下にくっきりと姿を現しました。やったぁ〜、疲れが一気に吹っ飛ぶぜい!!
 殺生分岐からがますます急登の度合いを増します。稜線上の槍ヶ岳山荘や穂先を仰ぎ見ながらヨタヨタと登っていきます。穂先にとりつく登山者がはっきりと見えてくるようになると槍ヶ岳分岐です。右に行けば穂先の下を通って東鎌尾根、西岳へと続きます。わずかで山荘へと到着しました。穂先が見えてからが案外と長く大変です。早速ザックを置いて一休み。稜線の反対側を見に行きます。そこには予想通りの景色が広がっていました。まだ踏み込んだことがない稜線は何がなにやらさっぱりわかりません。でもいつか歩く機会に恵まれるでしょう。そのときを楽しみにとっておきましょう。

槍ヶ岳山荘

西鎌尾根から裏銀座

山頂への登り
 いよいよ槍ヶ岳山頂へ向かいます。憧れだった山頂はすぐ目の前です。岩の登りは油断ができません。白線に従ってルートをとっていきます。何カ所か交互通行になり気持ちがはやりますがじっと我慢です。振り返えれば赤屋根の槍ヶ岳山荘を見下ろします。そのまま南に目をやれば南陵の向こうに穂高連峰が荒々しい姿を現します。

南尾根から続く穂高岳

山頂はこの上

到着です
 時折岩肌に咲く花を楽しみながら三点確保で登っていけば山頂は間近です。垂直のハシゴを慎重に上れば待望の槍ヶ岳山頂に出ました。遠景には雲が出ていますがまずまずの展望です。燕岳から大天井岳さらに常念岳・蝶ヶ岳へと続く稜線が目に入ります。他はほとんどわかりませんが、特に山座同定はしません。自分の足で歩きながら覚えていくつもりなのです。広いとは言えない山頂は満足そうな登山者の顔で一杯です。まさに全方位の大展望で隔てるものがありません。

山頂で記念の一枚

大満足の後で下ります

キャンプ場から
 さすがに記念写真を撮ります。名残惜しい山頂ですがお腹も減ってきたので下ることにします。西の谷からガスが出てきました。軽く一杯と食事を楽しんだ後でキャンプ場へと足を伸ばしてみました。稜線の強風を避けられる位置にあるようです。槍ヶ岳山荘に一泊の予定でいましたが時刻が早くもあり、最終日の長距離の歩きを考えるとこのまま下った方が得策のようです。山頂での夕焼けや満天の星、夜明けの絶景を楽しめないことに大いなる未練は残りますが又の機会もあるでしょう。次の楽しみを残しておくこともいいかもしれません。

殺生ヒュッテを見下ろす

山荘の前で一枚

穂高岳と梓川
 長く感じた下りも女性陣は元気、大満足の山行で足取りも軽いのでしょう。槍沢ロッジに再び宿泊です。部屋は同じ"こけもも"でした。風呂に入り汗を流します。同室の夫婦は翌日に山頂を目指すそうです。天気に恵まれますように。
 翌日も朝からいい天気、山頂で迎えたかったとの思いが残りましたが、元気に上高地に向かいます。明神岳を眺めながら梓川を下り河童橋へと歩きました。穂高連峰もくっきりです。まずは槍沢コースでの槍ヶ岳登山は成功裏に終わりました。

【参考資料】
槍沢ロッジ
宿泊:1泊2食付き9000円、素泊まり6000円、弁当1300円
売店:15時まで 生ビール1000円、おでん600円、カップラーメン400円等あまり種類はない
   Tシャツ、バンダナや山バッジなど
自販機:缶ビール500mL750円、350mL500円ほか各種
設備:食堂(開放されない)、談話室、乾燥室、簡易水洗トイレ、浴室(男女別、各2つある浴槽は3人ずつゆったりと入れる)
   トイレは混雑時は隣接する外トイレを利用するといいだろう

初日の夕食

朝食

2日目の夕食(メニューが変わっていた)
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