武尊山
ほたかやま
2158m
みなかみ町・川場村・片品村
剣ヶ峰から望む 手前から家の串・中の岳・沖武尊
登山日 2008年6月11日(晴れ) しんぷる
行 程 登山口(8:00)…15…スキー場分岐(8:15)…35…前武尊山(8:50)…20…剣ヶ峰岩峰群の鞍部(9:10)…30…家の串(9:40)…20…中の岳南の分岐(10:00)…25…武尊山頂上(10:25−10:35)…25…中の岳分岐(11:00)…25…家の串(11:25-40)…30…剣ヶ峰北峰(12:10-30)…20…前武尊山(12:50)…25…スキー場分岐(13:15)…10…登山口(13:25)
 オグナほたかスキー場から短時間で前武尊山に登れるコースがあることは知っていたが、どこからなのかはっきりとしなくて利用できないでいた。昨年武尊牧場の夏山リフトを楽しんだ後にオグナに移動し道を確かめに行った折り、ゲレンデの中に続く砂利道を登り切れずに引き返したが、この先が登山口となっているに違いないと確信した。今日は四駆の軽自動車でその道を行く。ロッジアザリアの脇を通りさらに進むと左への分岐があるが、そのまま直進するとスノーシーズンには林間コースになっている道が続いている。やがて道は舗装路となり直線的にゲレンデを上っていくが、あまりにも急な坂で止まってしまうのではないかと思うほどだ。Lレンジに切り替えて何とか舗装路の終点まで着くことができた。終点に駐車しゲレンデを歩き出す。

登山口となるオグナ第6ペアリフト脇

川場方面からの道と合わせる

上ってきたゲレンデを見下ろす
 ゲレンデの左側には丸太が埋め込まれ階段状になっている。上級者コースでもあるので傾斜はそれなりにきついが、それもわずかで脇の登山道に入ると川場方面から上ってきている天狗尾根に道を合わせる。そこには見慣れない新しい道標が立っている。県内高等学校の山岳部が立てたもので距離と標高差が記されている。ただ打ち込みが不完全で触ってみるとグラグラと揺れてしまい、そのうち倒れてしまいそうである。前日の雨もあるだろうが登山道は水がでている。ただでさえこの武尊山は道がぬかるんでいて、ズボンを汚すこと必ずとしたものだ。そんなものだから今日は歩き始めからスパッツをつけている。まずは燧ヶ岳が顔を出す。まもなくリフト最上部の上にでると、ゲレンデの下に駐車した車が小さく見える。ここからちょっとした岩場を越えると、あまり展望のないコメツガ林の急登に入っていく。

シャクナゲの蕾、まだこれからだ

笹と白樺

前武尊山頂上の日本武尊像
 シャクナゲが多い林ではあるが、蕾がようやくほころび始めたばかりだ。ショウジョウバカマも姿を見せる。呼吸を調節しながらのんびり登っていくと足下には大好きなイワナシが咲いている。踏みつけないように気をつけて歩こう。まだまだ雪が融けたばかりの武尊山登山道だ。しかしわずかの残雪もなく前武尊山の頂上に着く。ここまでの所要時間は約50分であり、川場野営場からのコースと比べて1時間半近くも短い。南に赤城山を見るが逆光で陰影となっている。しかし空には雲一つない絶好の登山日和だ。三角点に腰を下ろし軽く水分補給だ。

崩壊して通行できない剣ヶ峰南峰

南峰は東側を巻いていく

雪が残る家の串東尾根と至仏山・燧ヶ岳
 北に踏み込んでみれば山肌が崩落し岩がむき出しとなった剣ヶ峰と、その先に家の串・中の岳が見えている。これから越えていく峰々だ。前武尊からは道を下っていく。その途中からは西武尊山(剣ヶ峰山)があまり形のよくない姿を見せている。その西武尊山は沖武尊の山頂から見ると素晴らしい頂に見えてくるから不思議なものだ。剣ヶ峰の南峰は東側の笹刈りの道を巻いていく。刈られた道は斜めの傾斜が残り、笹の根元と相まって滑りやすく歩きにくい。一部登山道を残雪が覆い緊張を強いられる。しかし東側には尾瀬を代表する至仏山と燧ヶ岳が姿を見せていて展望は悪くない。ちょっとした岩場を過ぎれば剣ヶ峰岩峰群の鞍部に着く。北峰を見上げれば垂直に近い岩場に鎖が付いているのが見える。かつては登山道だった南峰も崩落により立ち入り禁止となっている。実際は見た目ほどの危険もなく歩けるようだが止めておこう。

剣ヶ峰北峰から家の串・中の岳・沖武尊

剣ヶ峰と前武尊山(奥)を振り返る

中の岳と沖武尊
 鞍部から北峰に登ることにする。素晴らしい展望が広がっているのだ。一段上ると岩の割れ目に5mほどの鎖が付いているのが見える。これを簡単に上りあげると修験道の石祠が置かれた頂に立つ。武尊谷を挟んで馬蹄形に連なる武尊の主要な峰々がまさに一望である。灰色をした岩肌と笹の緑、そして山肌の残雪が見事なコントラストで広がっている。そしてこれから歩いていく道がはっきりと見えている。先行者の姿も見えるぞ。天気に恵まれて最高だ。大展望を味わいつつ痩せた岩稜を注意深く下っていけば巻き道と道を合わせる。そこには赤ペンキで矢印が記されているだけで道標は置かれていない。
 家の串への上りは夏道と冬道が交錯している。基本的に稜線に開かれている夏道が一部残雪に覆われている。残雪の上には明瞭な踏み跡はないが、雪は夏道の直ぐ東側に残っているのみなので、うまく利用して歩けば心地よい。振り返れば剣ヶ峰は馬の背のように見える。笹と白樺の疎林帯を抜けると登山道の一部のような家の串頂上に出る。道標と丸太が一本置かれている。

中の岳南の分岐

笹が崩落した斜面を横切る
11
三ツ池あたりは雪田になっている
 中の岳ジャンクションを目指そう。家の串からは岩稜と木の根が張り出した痩せた尾根を下っていく。ロープがつけられているところもある。痩せた岩稜の尾根の下りが終わり鞍部から上りあげると中の岳南の分岐に出る。武尊牧場からのコースに踏み込んでみると雪田が広がり夏道が全く消されている。ルート探しは難しいものがありそうだ。家の串方面も雪田が続きある程度まではこの上を戻れそうだ。道標に従い武尊山の頂上を目指すと間もなく笹清水と呼ばれる水場に着く。菩薩界の水とある。その先の笹の崩落斜面を足を滑らせないように注意しながら横切っていくと雪田が広がっている。ちょうど三ツ池あたりだろう。しばらく平坦な雪の上を歩き夏道を追いかけるようにキックステップで斜面を登っていく。アイゼンがあれば安全だろうが危険を感じるほどではない。一応用意はしてきたが使うことはなかった。

中の岳・家の串・剣ヶ峰と続く稜線

沖武尊から剣ヶ峰山(西武尊)への稜線

沖武尊(武尊山)の山頂風景
 日本武尊の像の前を通り、川場スキー場方面からの道を合わせると待望の山頂に着いた。約2時間半の行程である。昨年川場スキー場からは3時間ほど掛かっていることを考えれば、沖武尊までの最短コースとなるだろう。登山道も変化があり展望に優れるとなれば、これからはメインルートになってくるのではないだろうか。ザックを置き展望を確かめる。草津白根までは何とか見える。雪解けが早そうな谷川連峰から巻機山をはじめ、群馬県境の山々が北方面はほぼ一望である。冬の澄んだ空気の中での展望とはいかないが、まあ許容できる範囲ではある。いつもならこの山頂でお弁当というところだが、中の岳に登れたら上ってみようと思っていたので早々に山頂を後にする。
 キックステップで上ってきた斜面を、靴をそろえて滑り降りる。雪田と笹の斜面を歩きながら取り付きを探すが踏み跡が見つからない。わずかな距離なのでどこからでもいけるのだろうが今日は諦めることにした。笹清水で冷たい水を補給し分岐まで戻り、雪田を家の串方面に下っていく。残雪が途切れたところから夏道を進んで家の串の頂上に着いた。丸太に腰を下ろし一休みする。さあ、剣ヶ峰の北峰でもう一度大展望を楽しみながら昼食にしようと決めた。上空にはぽっかりと雲が浮かぶようになっていたが天気の崩れはない。赤ペンキから北峰に上り石祠の傍に腰を下ろした。
 オグナほたかスキー場には大勢の山菜採りが車で訪れていた。          上の写真は剣ヶ峰北峰
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