武尊山
ほたかさん
2158m
みなかみ町・川場村・片品村
昭和村から望む
登山日 2007年11月3日(晴れ) しんぷる
行 程 上ノ原登山口(7:43)…大幽洞窟分岐(7:58)…名(奈)倉沢出合(8:14)…名(奈)倉ノオキ(9:09)…手小屋沢避難小屋(9:34)…藤原武尊峰(10:42)…武尊山頂上(11:02-12:00)…手小屋沢避難小屋(12:51)…名倉ノオキ(13:12-17)…大幽洞窟分岐(14:01)…上ノ原登山口(14:14)
 上ノ原登山口にはハイカーのものと思われる車が2台止められていた。武尊山頂上までの道のりは6q。藤原湖周辺の紅葉は終盤ながら充分に美しいものだ。特に大平山は山全体が錦秋に染まっていた。駐車場から振り返れば朝日岳が見事だ。11月に入り冷え込むとの予想だったがさほどでもない。手小屋沢避難小屋あたりまでは初めてのルートだけに期待に胸が躍る。林道はまだ先まで続くようだが正式な登山口に置くことにした。左側がススキの原となっている広く刈られた登山道を行くと程なく林道と合流する。林道に沿って右にコースを取り歩いていく。雑木林の中の道を行くとやがてカラマツの林となる。黄金色の黄葉が素晴らしい。時折キノコが顔を出しているが見て見ぬふりをして歩いていくと大幽沢・大幽洞窟分岐に着いた。ここまで来るまで乗り入れられそうだ。空を見上げれば鱗雲がゆっくりと流れていく。武尊山の上には雲がかかっていたが徐々に晴れるとの予報である。

上ノ原登山口

紅葉のカラマツが美しい

ジメジメした沢登り
 しばらくは名倉沢の右岸を進むが林道も徐々に狭くなり、カラマツ林を抜けると名倉沢と出会う。左岸に渡りいよいよ細くなった登山道を行く。須原尾根と宝台樹尾根に南北に挟まれた名倉沢はジメジメとしている。陽の光もまともに当たらないのであろう。やがて登山道は沢の中に入り込み沢歩きの様相を呈してくる。岩や石は苔生していてなかなか良い雰囲気ではある。徐々に高度を上げるに連れ沢も先細りとなり枯れてきた。濡れ落葉の急登となる。ここで左手の手袋をしていないことに気が付いた。沢との出合で落としたものと思われる。鎖場が待ち受けることを考えると不安になったが仕方がない。帰りに拾うしかないか。雑木の急登を汗をにじませながら登ると名倉ノオキに出た。ここは須原尾根の一角である。道標の左手笹刈りには通行止めの札がロープに掛けられていた。どうやら奈倉ノ頭へと通じる道らしい。

須原尾根に上がると名倉ノオキ

明るい須原尾根を行く

武尊山と西武尊が見えてくる
 尾根に出ると堆積した落葉は乾いておりサクサクと音を立てての歩きだ。平坦で明るい尾根だ。展望は立木が邪魔をして優れないが周囲の山々は枝間から望むことは出来る。東側は尾瀬笠ヶ岳と燧ヶ岳などの尾瀬の山々だ。西には谷川連峰が広がっている。立木はブナとダケカンバが多いようだ。少し歩くと正面に武尊山が見えてくるが逆光で黒の山塊である。やがて尾根は下りに入り裏見の滝から歩き始める武尊沢コースと道を合わせた。そこには2組が休憩をとっていた。挨拶を交わして通り過ぎる。沢の音が聞こえるようになると程なく手小屋沢避難小屋だ。分岐道標から見下ろすとカマボコ型のドームを見ることができる。2001年に歩いたことを思い出していた。その時はうっすらと積もった雪の上にキツネの足跡がずっと付いていた。それを追うように歩いていたっけ。
 やがて平坦な道も木の根が張りだした道となり傾斜も増してくる。先行者に追いついた。今そこで熊を見たと言う。登山道から笹の中に姿を消したそうだ。前にも数組歩いているようだしそんなに心配はなさそうだ。立ち止まって水を一口飲んだ。そしてザックの底から熊よけの鈴を取り出してこれでもかとばかり振り鳴らして歩き出した。出来るだけ登山道の先を先を見ながら歩いていく。しばらくすると下山者に会った。緊張が解けた。熊を見かけたそうですから気を付けて行って下さいと声を掛けてから、鈴をストックに付け直して再び歩き出した。

群馬修験胎内潜り岩最初の鎖場

展望の岩から谷川連峰

いよいよ山頂は近い
最後の鎖付き梯子第2の梯子第1の梯子 傾斜が緩むと群馬修験の「愚痴尾根」と書かれた札が置かれていた。尾根はシラビソなどの常緑針葉樹が多くなっていた。しかし武尊山の泥道には少々閉口である。ついに岩峰群への登りとなった。先ずは岩場を階段で上る。前回の写真を見るとその時の上半分くらいが朽ちてなくなっている。立てかけてあるだけで固定はされていないようなので不安ではあるが、ロープもあり特別危険というほどではない。それからしばらく行くと再び梯子だ。前回雪の中での上りと違い全く問題はない。さらに急登を行くと修験「胎内潜り岩」の岩場だ。ここは鎖だけである。雪の中から掘り起こして苦労して登った記憶が蘇る。登り上げたところでかじかんだ手を温めたことも蘇る。鎖を上りきると道は右に折れ再び梯子付きの鎖場となるが左手に岩場がある。景色が良さそうなので上ってみた。するとどうだ。岩場の枝は霧氷で輝き谷川連峰から尾瀬の山々まで県境の山が一望ではないか。武尊山の北面の木々は霧氷で白くなっている。充分に展望を楽しんだ後梯子を登り上げると、熊騒動の組が上ってきた。展望岩(勝手に命名)に上って景色を楽しんで下さいと言い残して先に進んだ。すると修験「大日如来」とある藤原武尊峰である。そこからは目指す武尊山が間近に迫っていた。

武尊山山頂

西武尊(剣ヶ峰山)

中ノ岳・家の串・剣が峰
 登山道は急に明るくなり西武尊や獅子ヶ鼻山などが大きく見えてくる。掻き分けるように歩いていったハイマツの道も幾分広げられたのか苦にならずに歩くことが出来る。そして待望の山頂に着いた。休日の武尊山頂上には多くのハイカーが展望や食事を楽しんでいた。山頂標識の数も随分と増えている。賑やかな山頂からは360度の大展望が広がっていた。しかし南側がパットしない。目を凝らすと富士山が見える。雲海の上に四阿山・浅間山、八ヶ岳、奥秩父の山々が頭を出していた。武尊山馬蹄形の中心に位置する沖武尊からは前武尊から西武尊まで鮮やかに姿を見せ、その遠景には栃木県境の山々がくっきりだ。さらには赤城山・榛名山から谷川連峰が馬蹄形から主稜線までくっきりと見ることができた。山頂の一角に腰を下ろし昼食だ。風も少なく暖かいくらいの陽気だ。雲はすっかり秋の雲。一面笹に覆われた武尊の峰々は青々としている。もうすぐ雪に閉ざされてしまうのだろうなあ。カラマツの林を通って戻るときに風に吹かれて針葉がハラハラと落ちていた。
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