エビス大黒ノ頭
えびすだいこくのあたま
1888m
みなかみ町
平標山乃家近くから望むエビス大黒ノ頭
登山日 2007年5月14日(晴れ) しんぷる
行 程 元橋P(6:32)…鉄塔(7:27-35)…松手山(8:05)…平標山(9:30-50)…仙ノ倉山(10:30-45)…エビス大黒ノ頭(11:25-12:30)…仙ノ倉山(13:30)…平標山(14:05)…平標山乃家(14:25-30)…岩魚沢林道出合(15:00)…元橋P(15:50)
 残雪の平標山から仙ノ倉山の稜線はどんな感じだろうか。笹と雪のコントラストは大変に美しい。花畑には雪解けの花があるのだろうか。立夏を過ぎ暦の上では初夏ということになるが、この時期としてはまずまずの天気に恵まれた。谷川連峰主稜線西側を歩いてみることにしよう。
 例によって松手山経由で平標山を目指す。登山口から巨大鉄塔までの標高差約400M、更に200Mを稼いで松手山となる。目指す鉄塔は元橋町営駐車場からよく見える。丸太階段が急登の始まりだ。周りの木々は若葉が萌えだしたばかりだ。足元にはスミレが花を咲かせているところをみると花はあまり期待できそうもない。送電鉄塔までは我慢して歩くしかない。歩き出しは肌寒さを覚えたが樹林帯を抜け鉄塔にたどり着く頃には汗ばんできた。長袖のシャツ一枚になる。再び樹林帯に入り松手山を目指す。すぐに稜線へと出ると陽射しが強い。傾斜も緩やかになると道標の立つ山頂に着く。振り返れば残雪の苗場山が見事だ。ここまで来ればしめたものだ。あとは楽しい稜線歩きが待っているだけだから。

松手山から望む苗場山

平標山への稜線

松手山を振り返る
 松手山を越えると登山道には時折残雪が見られる。朝早いせいか硬くしまっている雪だ。しかし平標山へと続く稜線歩きは実に楽しいものだ。急登のガレ場を前に高山植物や昆虫保護の看板があるがここで小休止。浅間山、榛名山、近くには稲包山が墨絵のように姿を見せている。この時期としてはまあまあの遠望だろうか。ハイマツのトンネルを潜ると日陰には霜柱が立ち、岩には氷柱が付いている。ようやく春を迎えたばかりの谷川山塊なのだろう。ガレ場を延々と階段が続いている。多くのハイカーが歩くことを考えるとこれもやむを得ないのだろうなあ。階段が終われば斜面も緩やかになり平標山の頂上は近い。初めて山頂を一人占めだ。登山道には新しい踏み跡が残されていたが姿は見えない。北東に目をやれば雪渓を残した谷川連峰の山々が美しい。さらに遠く巻機山、平ヶ岳、越後三山中ノ岳が白く見える。至仏山、燧ヶ岳をはじめとする尾瀬の山々、特に景鶴山の美しい三角形が象徴的だ。普段見慣れない形に見える武尊山、皇海山が面白い。

平標山を振り返る

エビス大黒ノ頭が見えてくる

エビス大黒ノ頭
 平標山から仙ノ倉に向けて下る。この斜面は花畑となるが今はその影すら見せない。平標山と仙ノ倉のたおやかな鞍部に吹く風は冷たい。仙ノ倉へと続く道を急ぐ。振り返ればいつもながら平標山は同じ姿を見せてくれる。しかし鞍部の裸地部分が広がっているように感じる。そう感じるのは草が萌える前だからだろうか。前衛峰に立つと仙ノ倉山頂に人影が見えた。どうやら踏み跡の主らしい。長岡から来た単独行者と会話を交わした。谷川連峰を讃えこれからも色々なルートを歩いてみたいと話してくれた。話しの合間にこれからどうするかを思案していた。時間は早くもう少し先まで足を伸ばせそうだ。縦走をしたときにガスの中で視界もなかったエビス大黒ノ頭までなら往復できそうだ。もう少し先まで言ってみますと残して雪の残る縦走路を下り始める。

エビス大黒避難小屋

ピークは近い

仙ノ倉を振り返る
 仙ノ倉山頂でゆっくりとした時間を過ごした方が良かったかなあ、との思いもあったが歩き始めてしまった。往復2時間程度の行程だ。時折振り返ると仙ノ倉の東面が壁のように見える。やはり急峻な斜面には間違いない。以前はガスの中で視界なしに歩いていたから気が付かなかったのだろう。しかし見えないというのも時には好都合のこともあるものだ。避難小屋の中を覗いてみる。定員5人と山と高原地図には記されているがとても無理であろう。内部は7平米と標柱に記されている。それは今はみなかみ町となった新治村が立てた標柱だ。更に下って鞍部になる。今までにない岩場の登りとなるが登山道にはわずかの雪を残すのみで緊張を要することはなかった。そして山頂標識のないエビス大黒ノ頭に立つ。展望は仙ノ倉とほぼ変わりはない。とにもかくも昼食とした。
 さて帰りはどうしようか再び思案に暮れた。万太郎まで足を伸ばして吾策新道を下るか、それとも仙ノ倉へ戻り山の家を見て下るかどうかだ。何故こんな事を思ったか、仙ノ倉の壁があまりにも急峻に見えたからだ。しかし目視では明らかに戻った方が近そうだし、山と高原地図のコースタイムからしても短い。それに土樽での電車時刻を調べてきていない。仕方なく戻ることにした。

小出俣山方面を望む

万太郎山を望む

万太郎尾根と遠景・茂倉岳さらに巻機山
 赤谷川を挟んで小出俣山が近い。いつかは踏みたいピークである。多少の未練を残しながら仙ノ倉へと下っていく。東面の登りにはいると足が重く浅間山の草スベリを思い出してしまった。それでも徐々に高度を稼いでいけば仙ノ倉山頂だ。歩き続けてさえいれば何とかなるものだ。人間の力は素晴らしいと思った。
 再び平標山の山頂を踏み山の小屋へ下っていく。時間に追われるように降りていく。階段に残雪があり踏み抜かないか心配だ。一度踏み抜いただけで無事に小屋まで到着。新しく生まれ変わった小屋を覗いてみる。さすがに綺麗で利用してみたくなった。しかし裏に引いていた水は無くなっていた。エビス大黒ノ頭が形の良い姿を見せてくれている。小屋の鐘を一つ鳴らして下山した。
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