金洞山
こんどうさん
1080m
妙義町
紅葉ラインから望む金鶏山
登山日 2006年11月17日(曇り) しんぷる
行 程 中之岳駐車場(11:15)…登山口(11:20)…第四石門(11:40)…金洞山分岐(11:50)…西岳との鞍部(12:10)…中之岳(12:10-45)…東岳(13:00)…石門分岐(13:15)…鷹戻し(13:40)…堀切(14:25)…中間道(14:35)…第四石門(15:00)…中之岳神社(15:25)

第4石門
 白雲山、金洞山、金鶏山を妙義三山と呼ぶ。表妙義の山塊である。そのうち白雲山と金洞山は主稜線をなしていて縦走の対象となるが、道は困難で一般道としては上級者のみ日帰り縦走を許される登山道となっている。難所に必ずしも鎖が付いているとは限らず思わず躊躇したくなる箇所も所々にある。
 石門巡りをして金洞山に登り中之岳神社へ下りるコースで歩き始めた。妙義高原管理事務所前の登山道入口から第一石門を目指す。紅葉最盛期のモミジと岩の美しさはそれは見事である。第一石門のモミジはまだ紅葉せずに緑色をしていた。果たしてこれから色づくのであろうか今年は確信が持てない。平日であるせいか写真家の姿はなかった。かにの小手調べから始まる鎖場は閑散として往く人もすれ違う人もいない。こんなに急な登りだったかなと思いながら第四石門に出た。

登山口から入ったところ
 さてここから中之岳神社に向けてふれあいの道を歩き出す。ようやく色付きだした紅葉の中、整備された階段を上っていくとわずかで金洞山への分岐に出る。登山者向けの注意書きがある。ここからは尾根伝いに歩く感じになる。特に岩場があるわけでもなくごくありふれた道である。それでも注意を促す立て札が所々に置かれている。まあ、金洞山直下の鎖までは問題ないだろうと足を進める。時々鮮やかな紅葉に目を楽しませてもらいながら高度を稼げば、ルンゼに取り付けられた鎖場に着いた。ここを登り上げれば主稜線だ。この鎖は特に危険でもなく難なく通過。西岳と中之岳との鞍部に出た。鞍部から左手は通行禁止のロープが張られている。西岳へ通じるルートである。右に折れ中之岳へと向かう。鞍部からわずかで中之岳直下の鎖場に着いた。

主稜線への鎖場

中ノ岳

山頂の石祠と裏妙義の稜線 
鎖は2段、ほぼ垂直だがスタンスは確保できそうだ。足元が谷底へ落ち込んでいるわけではないので強い恐怖感はない。腕に力を入れ注意深く上っていく。1段目の鎖が終わったところで小休止。気合を入れ直して再び上っていくと待望の金洞山中之岳の頂上に着いた。山頂には比較的新しい白色の石祠が置かれ、その背景には裏妙義の稜線がくっきりと見えていた。雲が垂れ込めて遠望が効かないのが残念だが快晴時ならば、見事なまでの大展望を堪能することが出来るだろう。しばしの休憩の後下山に入る。単独行者が鞍部から登ってきているのが見えた。鎖を降り切ったところで話を交わした。「時間も早いしもう少し先まで歩いてみたらどうですか。鷹戻しも核心部には鉄梯子が付けられたし、下りでも大丈夫でしょう。いくつかピークを超えたら中間道へ降りる道があるから、大して時間は掛かりませんよ。途中石門への分岐があるがそちらには降りないように、道なき道になりますから。」それでは行ってみるかと思ったのが軽率だった。苦難の道が待ち受けていたのである。
 彼が中之岳に登るのを見届けてから、再び鎖に取り付いた。2回目ともなると慣れたものである。楽々と山頂に立った。「西岳も禁止にはなっていますが、山頂までなら行けますよ。危険なのはその先なんです。」挨拶を交わして東岳へと向かった。

金鶏山を見下ろす
 痩せた稜線だ。左右が切れ落ちていて足を滑らせたら命はないだろう。そう思うと腹のあたりがムズムズしてきた。中之岳から下り東岳へ登り返す。やがてちょっとした岩に行く手を阻まれた。右にも左にも道はなく、どうやらこれを乗り越していくよりほかはないようだ。落ちたらアウトじゃん。思わず引き返したくなった。指先くらいの突起を頼りにずり上がっていくと縦走路が確認できた。わずかでも鎖が欲しいところだ。この縦走路で最も危険を感じたところだ。同じ様な所がもう一箇所あったが懸命にクリア。ようやく東岳の頂上に着くことが出来た。これから鷹戻しの難所もあるしこの先が思いやられた。縦走路を振り返れば中之岳と西岳が並び立ち、右手には星穴岳も見えるようになっていた。
 相変わらず不愉快な稜線が続く。これは一種恐れの感情なんだろうか。おそらく再び歩きたくはないという記憶として残るのだろう。東岳を下ると第四石門への分岐があった。もうここから降りてしまいたい衝動に駆られたが彼の話を信じて中間道へ降りる道を選んだ。さらに下っていくと再び上りに入る。ルンゼに付いた2段25mの鎖場だ。下部は太い鎖が2本平行して下がっている。両方を掴んで上っていく。太いがゆえに握力がつかない。細すぎても駄目だし、やはりちょうどよい太さというものがあるのだろう。上りきって少しいくと何となく写真で見た記憶のある景色である。前方には相馬岳が紅葉の中に岩壁を曝している。ついに鷹戻しに到着した。

鷹戻しへの25m2段の鎖場

鷹戻しのピークから金洞山を振り返る

いよいよ鷹戻し
 ここさえ無事に降りることが出来ればあとは楽しい山歩きになるだろう。斜め前方に「スリップ注意 クサリを放すな」との札が下げられている。札に向かって鎖が付いている。一気に岩壁の蝉と化した。鎖を伝わってソロソロと降りていく。縦3段の鎖を降りると手すりが白くスプレーされた鉄梯子が待っていた。その下の鎖を降りると高度感たっぷりの鷹戻しも終わった。彼の言ったとおりどうにもならない難所ではなかった。信頼できる鎖が付いていれば何とかなるものだ。むしろ妙義では鎖のないちょっとした岩場にこそ危険が潜んでいると思った。

垂直ではない鎖場

鉄梯子に一安心

堀切

中間道から鷹戻しを見上げる
あとは中間道への分岐までの道だ。道は紅葉した広葉樹林帯となり快適な気分になってきた。やっぱり山歩きはこうでなければいけない。女坂への分岐を左に分け笹の斜面を登っていく。やがてこの縦走路最低鞍部である堀切に出た。立派な道標が立ち、中間道まで15分とある。急斜面を一気に降りていくと直ぐに中間道に出た。右に進路を取る。鉄階段を上り、岩壁の下部を通り抜けると目の前に見事な紅葉が広がった。第四石門を抜け金洞山分岐まで戻り中之岳神社への道を降りていった。 
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