鳳凰山
ほうおうさん
2764m
南アルプス
地蔵岳オベリスク
登山日 2006年7月16〜17日(小雨のち雨) しんぷるライフ、他11名
行 程 御座石鉱泉登山口(08:40)…西ノ平(09:30)…旭嶽7合目(10:40)…旭嶽(11:15)…燕頭山(12:00-12:35)…鳳凰小屋(14:10-06:45)…稜線(07:20)…地蔵岳(8:25-8:35)…鳳凰小屋(8:55-9:25)…燕頭山(10:30)…旭嶽(10:55)…西ノ平(11:55)…御座石登山口(12:40)

御座石登山口
 御座石鉱泉に着いても小雨は降り止まなかった。しかし最悪の条件ではないこともあり、皆必然のように支度を済ませて歩き出した。鉱泉手前の無料市営駐車場に登山口はある。道は鉱泉の裏の深い雑木林の中を登っていく。登山道に入ると小雨はあまり気にならなくなった。
 足下には白花のセンジュガンピが目に付く。湿度が高いせいでたっぷりと汗をかいた頃、石空川渓谷への分岐道標が立つ西ノ平に着いた。ここは窪地になっていて若干高度を下げている。ここから燕頭山(つばくろあたまやま、えんとうさん)までが最も標高差があり時間もたっぷりとかかるところだ。

旭岳から望む富士山
 窪地を抜けると一気に急登となる。燕頭山まで標高差千メートル近い登りとなるのでゆっくりと足を運んだ。段差のある場所では丸太梯子が設置されているが、既に朽ちていて使い物にならない。脇をヨッコラショと踏ん張れば登れるのでなくてもかまわないが、あれば整備されていればやはりありがたい気がする。
 小休止を繰り返しながら徐々に高度を上げていくと七合目の丁目石が置かれていた。燕頭山までかと思っていたが途中に旭嶽頂上の石柱があり猿田彦大神が祀られているようだった。しかしここは展望が開け、中道コースの尾根上に富士山を望むことが出来た。見納めかもしれないよ、と冗談交じりに話したが現実となってしまった。
 旭嶽を過ぎても急登は続く。危険箇所と思われるところは整備されていて、注意して歩けば問題はない。全般的に急登ではあるが歩きやすい登山道であることは確かなようだ。ほぼコースタイムに近い時間でベンチの置かれた燕頭山に着いた。展望には優れないようだが、なるほどここには宴会をするには十分な広さがある。ここで昼食をとることにした。標高は2105mで、谷川連峰ではとっくに森林限界を超えているところだがツガの木を中心とした雑木帯となっている。止まっていると肌寒く感じてくる。30分ほどの休憩で再び歩き出すと、途端に雨が降ってきた。鳳凰小屋は標高2380mあまりで、残り300m足らずの標高差となるわけだ。
燕頭山

鳳凰小屋
 燕頭山からはアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を稼ぐようになる。白砂に覆われた階段を注意深く上っていく。間もなく駒見平だ。歩きやすくなった道をさらに行くと「八ヶ岳と夜景のポイント」との看板がある。山小屋が近いことを感じさせられる。すぐに富士見岩、そしてドンドコ沢コースからの道と合流すると鳳凰小屋に着いた。
 我々13人は新館に案内された。居室での飲食は禁止、食堂で先ずは一杯となった。そこは50人ほどが入れる広さである。電気は食事の時だけ点されるので、天候は悪い日は薄暗くて不便だ。宿泊客は50人ほどで、十分な空間での睡眠が約束されたのである。

アカヌケ沢の頭と地蔵岳
 夜半を過ぎると期待に反して雨となった。暗澹たる気持ちで朝を迎えた。雨は止む気配もなく梅雨前線が停滞しているようだ。どうしようかと相談したが、結局地蔵岳まで往復する組と小屋から下山する組とに分かれることとなった。
 ジャガイモカレーの夕食の後で小屋のスタッフが話してくれたところによると、直接地蔵岳に登るコースは途中から砂地の急登で3歩進んで2歩下がる状態で意外と時間がかかると言うことだった。お勧めコースとして小屋の前の沢を渡り、梯子を登ってシラビソ林の中を観音岳とアカヌケ沢の頭の中間地点の鞍部に出るコースを紹介してくれた。あまり歩かれていないコースなのか若干迷うような所もあるが問題なく鞍部に出ることが出来た。鞍部に出るとかろうじて稜線は視界が開けていた。しかし広河原から吹き上げてくる風が強く、思わず身の危険を感じる場所もあった。

観音岳を振り返る
 観音岳から薬師岳への往復は諦めて地蔵岳に向かった。花崗岩と白砂の道は気持ちのいいものだ。時には北側の樹林帯の中を通り、絶好の展望が得られるというアカヌケ沢の頭から地蔵が立ち並ぶ賽の河原に下りた。本来なら地蔵の背後に甲斐駒ヶ岳が姿を見せているはずだが、目の前には灰色のガスが流れているだけの空しい景色だ。砂地には山梨百名山の標柱が立っていた。そして鳳凰三山の象徴である地蔵岳オベリスクが目に前に姿をさらしていた。とにかくホッとした。雨と風の中歩いてきた甲斐があったと思った。岩のオブジェに近づくこともなく眺めるだけで十分だった。またいつの日か訪れることがあるかもしれない。

鳳凰山の象徴オベリスク

鳳凰小屋への下り
 地蔵岳からの下りは小屋での話しの通り、砂地の下りで傾斜もきつく登るのには大変だと思った。下りに使うコースであろう。すぐに何とも言えないダケカンバの美しい樹林帯が目の前に迫り、その脇をずんずんと高度を下げる。やがて樹林帯の中に道は続き間もなく鳳凰小屋に着いた。預けておいたザックを担ぎ、小屋のスタッフに見送られながら御座石鉱泉への道を急いだ。燕頭山からは急斜面の下りが続き、つくづく急登が続いていたのだと思った。鉱泉で汗を流し、鳳凰山に関する主の話を聞いて帰路についた。
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