大ナゲシ
おおなげし
1532m
上野村
赤岩岳への登山道から望む大ナゲシ
登山日 2005年11月19日(晴れ) しんぷる
行 程 登山口(10:38)…赤岩峠(11:30)…大ナゲシ基部(11:55)…大ナゲシ山頂(12:08-13:20)…基部(13:33)…赤岩峠(13:53-14:05)…登山口(14:36)

登山口
 志賀坂トンネルを抜けて直ぐに民有林道金山志賀坂線に右折する。すれ違いに気を遣う道ではあるが、なかなか快適な道ではある。もう紅葉も終わった感のある西上州だが、この林道はまさにモミジの回廊だ。道を開いた際に植林をしたかのように道に沿って続いている。しかも今が見頃となれば随分得をしたような気になってしまった。諏訪山へと続く尾根の脇を通り道は続く。八丁トンネルを抜けて小倉沢へと下っていく。やがて赤岩岳・大ナゲシの登山口になる「ニッチツ」の社員寮近くの駐車場に着いた。エンジンをかけたまま、登山口を探すためふらふらと歩いていくと、寮から関係者と思われる人物が出てきた。山に登りたいのでここに車を置かせてもらいたい旨を話すと今日は大丈夫だという。しかも親切に登山口まで教えてくれた。要するに寮の前を進み道なりに右に曲がればよいだけだったのだが…。何組か登っているという。
 準備をしに車まで戻ろうとすると一台の車が入ってきた。窓を開け「大ナゲシ…」と言っているのが聞こえた。関係者は私の方を向き「大ナゲシって知ってるかい?」と訊くので、「途中まで同じ道を行くんです。」と答えた。私が山と言ったのを赤岩岳と取ったようだ。登山口には大ナゲシと赤岩岳へ登るための注意板がそれぞれ別に立てられていたから、これを見ていないのである。あまり山には興味がなさそうである。
 車に戻り準備をしていると、先の車が横に止まった。群馬町のK氏夫妻と同行することとなった。登山口には「右→群馬懸上野村に至る 左←赤岩神社 柳瀬鉱業所」の石柱と、大ナゲシ・赤岩岳の注意板には道は大変であることと遭難事故について書かれていた。
ヒノキの植林帯  先ずはヒノキの植林帯を行く。ヒノキは直径10pほどで5mほどの高さだ。南向きの斜面は明るくて気持ちがよいが傾斜がきつい。ふくらはぎを伸ばして登っていく。しばらく行くと暖かく汗が出てきたのでフリースを脱いだ。K氏の奥さんは少し遅れ気味だ。しかしこれがいつものスタイルだと言う。
くねくねとした植林帯を過ぎると尾根に出た。右手はヒノキの植林帯、左手は落葉した明るい雑木林である。傾斜も緩み広くて快適な尾根を登っていくと下って来る父子に会った。聞けば大ナゲシに行ってきたという。直下の岩場は西側のコースに鎖が付いていて登るのには何の問題もないという。ザックの底に忍ばせておいたザイルは必要ないようだ。尾根上の巨木を過ぎると直ぐに「入林者心得」と書かれた東京営林局の赤いプレートが立木に付けられている。前方には白色の岩峰が尾根を塞いでいて、道は右に巻いていくように付けられている。
尾根を行く

落葉の雑木林

赤岩峠
 落葉した雑木林の中をジグザグと登っていく。うっすらと落葉に覆われた道はその下がザレていて歩きにくい。息を切らせて登っていくと分岐点になる赤岩峠に着いた。倒木の脇に小さな石祠が置かれていた。ようやく大ナゲシが姿を現した。なるほど、見事な岩峰である。このまま峠を越えれば野栗沢へ下り、右の尾根を行けば赤岩岳だ。K氏はここで遅れている奥さんを待つというので、先に大ナゲシへ向かうこととした。

大ナゲシ基部
 峠からは急登を僅かで平坦な稜線となる。振り返れば赤岩の岩壁が大きい。やや痩せたところもあるが、このコース中もっとものんびりと歩ける道だ。1493ピークを目前に右へ巻く。直進しピークを踏めば天丸山方面への道だ。破線は付いているが廃道となっているようだ。北向きの斜面には霜柱が残り、シャクナゲが登山道脇に多く見られる。ヒノキに囲まれた次の小ピークから左手の尾根方面を進むと大ナゲシの基部に着いた。ここまでは踏み跡もしっかりしていて、赤テープの類も頻繁に付けられていて迷うことはないだろう。西上州にある数多くの岩峰は案外とよく歩かれているようだ。 

第一の岩場を左へ行く

山頂直下の岩場
 岩には赤ペンキが付けられている。直ぐ左に鎖が見える。いきなり鎖を頼りに登るのもシャクなので極力鎖には触れずに登っていった。立木もあり想像していたほど難しい岩場ではない。コース取りは鎖を頼りにして進んだ。縦、横、縦と鎖に沿って進むと低木帯に出た。ちょうどここは肩に当たるところのようだ。数十m進むと第二の岩場が現れた。ここにも鎖が付けられてはいるが特に緊張することもなく登りきると、待望の大ナゲシの頂上に出た。

大ナゲシ山頂
 意外と広い頂上は緊張するような頂ではなく、のんびりとお昼寝さえできそうな感じさえする。三等三角点が置かれ、その近くに石には黄色のテープが「大ナ ゛シ」と貼り付けられていた。直ぐに剥がれ落ちてしまうだろう。
 山頂からの展望は抜群だ。西には佐久の山々、その向こうには八ヶ岳、さらに蓼科山が姿を見せる。南には金峰山、国師岳、甲武信岳、雲取山など未踏の山々が連なっている。そして北方には西上州の山々が一望だ。東方彼方には筑波山も見える。
 間もなくしてK氏が姿を現した。奥さんは基部に置いてきたという。30分ほど山の話に花を咲かせた後で、下山して行った。ゆっくりと大展望を楽しんだ後、やや風が出てきたので山頂を後にした。上りと同じルートを辿ったが難なく基部に着くことができた。鎖が付いたことで誰にでも登れるコースになったようだ。登山口の注意板を書き換えなければいけないようだ。
大ナゲシ山頂から南方のパノラマ
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