帳付山
ちょうつけやま
1619m
上野村
天丸山から望む帳付山
登山日 2005年11月9日(晴れ) しんぷる
行 程 登山口(8:33)…社檀乗越(8:39)…馬道のコル(9:32-9:38)…帳付山(10:40-11:30)…馬道のコル(12:18)…天丸山・大山分岐(12:30)…天丸山(12:36-13:08)…馬道合流(13:22)…社檀乗越(14:02)…登山口(14:14)
 朝6時、車のフロントガラスは凍っていた。もう秋なんて言ってもいられない季節のようだ。昨年、湯の沢トンネルが南牧村から上野村に抜け、奥多野に行くのに神流町経由で行くかどうか迷ってしまうことが多い。今回は藤岡ICから一般道を通り、向屋より野栗沢そして奥名郷へと入った。奥名郷まで来ると西上州の山村風景を目の当たりにすることができる。山腹に家を構え急斜面での生活をしている。それなりの風情があって旅人にとっては妙に郷愁をそそるものがあるが、そこで生活をしている人にとっては結構大変なのではないだろうか。

天丸山・帳付山登山口

映える紅葉
 この林道は以前天丸山に登った際に通ったことがある。道幅こそ狭いがそれなりに快適な道である。天丸橋にさしかかると、以前建っていたプレハブはなく、その先は新しい舗装路となっていた。ここで右へ大きく曲がりダートの道へと入っていく。天丸橋付近にも登山道標があり、かつての山行を思い出した。道はススキなどの枯葉が路上に迫り出してはいるものの、車の通行には特別支障を来さない。それでもゆっくりと走らせていくと道標が左手に見えた。そこから僅かで林道終点である。ここに車を止めて登山口までの僅かな道を戻り、赤く塗られた道標に従って登山道に入る。

社檀の乗越

馬道のコル
 明るい雑木林の中、紅葉は見頃といったところだろうか。すぐに薄暗いヒノキ林となるがそれも僅かで抜けると社壇の乗越にでた。右手の尾根は社壇の頭から川和スカイブリッジへと続く尾根だ。左手は尾根沿いに続く登山道と尾根の山腹を行く馬道と呼ばれるかつての峠道が通っている。道標は馬道を指し示している。道標に従って馬道を行くことにした。かつては笹に覆われはっきりとしない道だったようだが、上野村で整備したらしい。馬道は広く快適な道である。うねうねと緩やかなアップダウンを重ねながら徐々に高度を稼いでいるようだ。紅葉は見頃を過ぎ枯葉も目立つ。朝日を浴びることのない西側の木々の紅葉は湿って見える。やがて馬道も道幅を狭め傾斜も急になってきた。そして風の通り道とも思われる馬道のコルに出た。ここは帳付山と天丸山・大山との分岐になっている。一息入れて帳付山を目指すこととする。

天丸山
「山と高原地図 2000年版」によると、帳付山までここから2時間のルート設定だ。このため以前天丸山に登った時に歩を進めるのを断念した覚えがある。しかしネット上の記録を見ると実際は1時間程度で帳付山頂上に到達できたとの記録も多々見られる。どうやらそんなに時間はかからないようだ。分岐からはいきなりの急登だ。それも僅かで天丸山が見事な稜線に出る。しかしこのときになってストックを持ってくれば良かったと思った。稜線上からは時折立木の隙間から北方面に西上州の山並みが姿を現す。

社檀の乗越

馬道のコル
 破線の道は明瞭な踏み跡がありテープの類も頻繁にある。迷いそうになったら立ち止まり周囲を見回せば大丈夫だろう。しかし西上州の山、すぐに岩稜が現れ出すと、その岩稜を巻いて進むことが多くなる。小さなアップダウンが続き、時には張り出した木の根や立木に掴まり、あるいは四つんばいになって登ることも頻繁になった。
 上武国境の稜線は群馬県側は切れ落ち、埼玉県側は岩稜を巻いていくだけの余裕がある。山頂が近付くと一気の急登となる。やが手傾斜が緩むと立木の中の山頂に着いた。山頂を通り越し西側の岩の上に腰を下ろし展望を楽しんだ。近くには諏訪山、さらに御座山や八ヶ岳・蓼科山が、さらに西上州の山並みの向こうには浅間山が大きい。南方に見えるのは甲武信岳だろうか。東には天丸山が白い山肌をさらしている。山と言うよりは天丸岩と呼ぶ方がお似合いだと思うのだがどうだろうか。コメツガやマツなどに囲まれた静かな山頂でのんびりと昼食にした。今日は誰とも会うことのない山歩きになるだろう。そんな山行は好きだ。

大ナゲシと赤岩尾根
 馬道のコルに戻り天丸山に向かう。道標に従って尾根を行くと天丸山と大山との分岐に出た。以前は生い茂った笹を掻き分けながら天丸山(岩)の基部まで下っていったのだが、すっかり笹は刈られていて歩きやすい道となっていた。基部には相変わらず朽ちた大木が横たわっていたが、取っ付きには太いロープが付けられていた。もはやルートを探しながら登る必要もなくなっていた。数本のロープを利用して簡単に山頂に着くことができた。P3へは虎縄が横に張られ立ち入りできないようになっていた。ここをくぐっていけば行けるらしいが下りに使うのは難しいらしい。
 基部まで戻り笹の中の僅かの踏み跡を辿り進んでみる。踏み跡は消えるがこのまま西側に下りていけば馬道に出るはずである。苔生すガレ場を下っていくと予想通り馬道に出た。そこには「No109」と赤い杭が打たれていた。
 くねくねと続く馬道を登山口まで戻った。登山口からは赤岩や大ナゲシをはっきりと見ることができた。上野村は馬道と天丸沢コースを天丸山の一般登山道として定着させたいようだ。そのためにかつては笹に覆われた馬道も整備したようだ。家への帰り道に立ち寄った書店で「山と高原地図 2005年版」を見たところ、帳付山への道は破線から実線となっていた。しかしコースタイムは相変わらずのままだった。
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