七ッ小屋山・大源太山
ななつごややま・だいげんたやま
1674m・1598m
みなかみ町・新潟県
謙信ゆかりの道から望む七ツ小屋山
登山日 2005年9月26日(晴れ) しんぷる
行 程 大源太山登山口(9:08)…丸木橋(9:18)…分岐(9:22)…渡渉点(9:35)…尾根(10:10)…大源太山頂(11:15-11:25)…清水峠分岐(12:15)…七ツ小屋山(12:15-12:35)…シシゴヤノ頭分岐(13:05)…シシゴヤノ頭(13:45-13:55)…水場(14:35-14:42)…分岐(14:55)…大源太山登山口(15:05)

大源太山登山口
 大源太橋を過ぎて間もなく林道終点に着いた。ここまでは簡易舗装がされなかなか快適な林道だ。およそ10台くらいは止められそうな駐車余地がある。登山口入口には立派な看板が立てられ、登山届けも置かれていた。車が2台置かれているところを見ると先行者がいるようだ。
 足下がぬかっているようなのでスパッツを着けることにした。先ずは平坦な杉の植林帯を行く。ヒロクボ沢の渓流の音を聞きながらの歩きだ。天気は雲がたれ込め決して良いとはいえないが、昼頃から晴れてくるとの予報を信じて歩く。下草は刈られよく整備されているようだ。

渡渉点
 沢に差し掛かると丸木橋が設置されていた。その橋の木ははまだ新しく、最近取り付けられたような印象を受けた。豪雪地帯でもあることから、毎年流されてしまうのだろうか。難なく橋を渡り、山道にはいると「謙信ゆかりの道入口」の道標が現れた。ここを右折しシシゴヤノ頭を目指すものだ。今日は先ず大源太山を登頂した後、帰路にこの謙信ゆかりの道を下りてくるコース取りなので直進する。小さな2つの沢を渡り、双子のブナの巨木を見上げて進めば渡渉点に出た。ここはロープが対岸まで渡されている。それに掴まって飛び石で渡るらしい。見た目ほど難しいものではなく、ここも難なく通過した。

弥助尾根を振り返る
 いよいよ本格的な登りとなってくる。虎縄が登山道に横たわっている。木の根の露出した急登で、ほとんど直登に近いものがある。ブナの樹林帯を息を切らせながら登っていく。途中で先行していた男3人のパーティーに追いついた。ザックの中身はポカリ500mL、稲荷寿司3個、ウインドヤッケくらいのものなのでいたって軽い。自ずと足も速くなるのだろうか、あっさりと道を譲ってくれた。追い抜きざまにどちらまでと聞くと「大源太ピストンです。」こちらも一緒ですと答えて先行した。しばらくすると森林限界を超えたのか尾根に出た。尾根に出ると傾斜も緩んできた。途中から弥助尾根になるらしい。気になる山頂はガスがかかっているが、いずれは晴れるだろう。一寸した岩場で小休止とした。右手には帰路に使う謙信ゆかりの道の稜線とシシゴヤノ頭が一望だ。眼下に大源太湖を中心とした大源太グランドキャニオンを、さらに湯沢の街並みを見下ろす。

大源太山頂
 さあ先を急ごう。尾根は痩せたところがあり多少緊張する。道にはミヤマアキノキリンソウやコゴメグサなどが静かに咲いている。山頂前のピークまでの登りは岩場が断続的に続くが大したことはない。ガスの切れ間に山頂を見上げれば標柱と2人のハイカーの姿が見えた。そして呼吸を整えながら山頂に立った。細長い山頂である。東側の谷は濃いガスに覆われ展望はない。とりあえずザックをおろし石の上に腰を掛けた。七ツ小屋方面も稜線から東半分はガスの中だ。西側から薄いガスが上がってくるが展望をはしっかりと確保されている。北には巻機山が見えるはずだが、全く期待できそうにない。しかし反対側は蓬峠方面と武能岳が見えるのと時間的に余裕がありそうなので、予定通り七ツ小屋山に向かうことにした。

山頂直下の鎖場
 先ずは鞍部に下りなくてはならない。山頂直下には真新しい鎖が付いている。1本目は痩せた尾根に付いているので緊張する。2本目の鎖はそれほどでもないが、その下のロープが険悪な感じがした。岩が濡れて足場が滑るのと、ロープの長さが足りないと感じる所もあったからだ。それでも慎重に下れば、直ぐに笹刈りのされた道となる。振り返れば大源太山の鎖場が威圧してくる。足下にはウメバチソウが咲いている。
 何度かアップダウンを繰り返して七ツ小屋山への急な上りに入る。振り返れば大源太山の山頂標柱と人影が見える。まだ追い越した3人は姿を見せない。
 振り返りながら笹の急登を登っていく。人らしきものが大源太山頂へ向かって動いている。どうやら引き返さずに登りきりそうだ。ゆっくりとした歩みだなあ。急登を過ぎると傾斜が緩やかになってきた。1本の道標が道に立てられている。清水峠への分岐だ。それと同時に流れていたガスの塊が一気に姿を消していく。白毛門、笠ヶ岳、大烏帽子から朝日岳への稜線が一望だ。朝日岳の北には巻機山への長い稜線が続いている。右に目をやれば蓬峠から続く武能岳や谷川岳もはっきりと見えてきた。それも束の間で雲が低くたれ込めてきた。分岐からわずかで三角点のある七ツ小屋山の山頂に着いた。その山頂は登山道の一部のようではっきりとしたピークとは認められない。標柱がなければ通り過ぎてしまいそうな山頂だ。腰を下ろし昼食とした。蓬峠や清水峠に続く笹を刈った道が素敵だ。こんなたおやかな風景が好きだ。じっとしていると肌寒ささえ感じるが、秋と言うにはまだ早い気がする。晩夏、そんな言葉がお似合いの一日。

七ツ小屋山頂

七ツ小屋山へ続く登山道を振り返る

シシゴヤノ頭を望む
 山頂からは快適な道を下る。振り返るたびに七ツ小屋山は高く聳えるようになる。いつの間にか高度を下げているのだなあ。小走りするように登山道を行く。歩いているのは私1人のようだ。木道が敷かれているちょっとした湿原を抜ける。この湿原だけは草紅葉が始まり、少しだけ秋の気配を感じさせる。大源太山と七ツ小屋山が並んで見えるようになると標高1544mの分岐だ。右に行けばシシゴヤノ頭から旭原、直進すれば蓬峠だ。ここまで来れば蓬ヒュッテが見えるのかと思っていたが黄色い建物は見ることができない。謙信ゆかりの道を見れば気持ちよさそうな道が稜線上に付いている。足下はふわふわした感じの道で気持ちがよい。

大源太山

シシゴヤノ頭
 大源太山が照らされた。まさに岩の山といった感じで荒々しさを感じる。対照的に七ツ小屋山は笹に覆われ女性的な山容である。ゆかりの道も整備され歩きやすいし、高山植物が豊富なようだ。数度のアップダウンを繰り返しシシゴヤノ頭に着いた。再びガスが綺麗に消え、七ツ小屋山から蓬峠へと続く稜線の上に笠ヶ岳、大烏帽子、朝日岳が顔を出している。しかしながら巻機山はご機嫌が悪いらしい。終日姿を現すことはなかった。土樽PAが眼下に、そして蓬ヒュッテが半分ほど見えている。万太郎尾根をはじめ幾つもの尾根が重なり合っている。シシゴヤノ頭からは尾根をはずれ、大きな九十九折れの道を下る。のんびりと登って来るにはこちらの道が良いかもしれない。一部悪場もあるがよく歩かれている印象だ。小走り状態でどんどん下っていく。汗をかいた頃、水場が現れた。水量も豊富で冷たくおいしい水だった。それから間もなく最初の分岐に出た。丸木橋を渡り登山口に戻ると、例の3人組のものと思われる自動車はまだそこにあった。
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