白馬岳 しろうまだけ 2932m 北アルプス |
登山日 | 2005年8月7〜8日(曇りのち晴れ) | しんぷるライフ息子、他4名 |
行 程 | 白馬第5駐車場(7:30)+++猿倉荘(7:45-7:50)…白馬尻(8:50-9:00)…葱平(11:00-11:30)…お花畑避難小屋(12:15)…白馬岳頂上宿舎(13:35-5:50)…白馬山荘(6:05-6:15)…白馬岳頂上(6:40-7:05)…三国境(7:50)…小蓮華山(8:40-8:50)…白馬大池(10:15-10:50)…乗鞍岳頂上(11:25)…天狗平(12:15-12:25)…栂池山荘(13:15-14:10)+++栂池高原(14:40)・ |
白馬尻小屋 |
3時間ちょっとかけて白馬第5駐車場に着くとタクシーが待機していた。駐車場の清潔なトイレには猿倉まで約2890円、栂池約2530円、黒菱約3340円、バス1人900円と案内表示がされている。4人集まればバスよりも安くなる計算だ。 7名の登山隊は用意を整えた後、2台のタクシーに分乗して登山口の猿倉へ向かった。運転手が言うことには、「土曜日は一杯だからねぇ。山荘には泊まりたくはないねぇ。山頂直下に建つ某山小屋では空いていても順番に部屋に詰め込むとか、詰め込まないとか…。これはタブーなんだけどね…」と一言(苦笑)。タクシーは15分足らずで猿倉荘前(標高1250m)に到着。バス停のある駐車場は狭く、駐車台数も限られている。一般的に利用するのは避けた方が良いだろう。 |
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ザックを担いで山荘脇から登山道に入る。直ぐに林道に出ると数台の車が追い越していく。一体どうしてなの?途中で鑓温泉登山道を左に分ける。白馬三山周遊コースだとここを下りてくることになるのだ。まあ、初めての白馬岳。比較的歩きやすいと思われた小蓮華山経由で栂池までのコースを選択した。林道終点地点には、「トイレは御済みですか?」の立て看板が現れ、その先から登山道らしくなる。ここが御殿場だ。白馬尻を目指して歩けば、花が姿を見せ始めた。タマガワホトトギスやイワオウギ、ウバユリや盛りを過ぎたキヌガサソウなどだ。樹林帯の鬱蒼とした道を行く。 白馬尻山荘(標高1550m)が見えてきた。ようやく白馬尻に到着だ。小屋の前には白馬村の中学生が描いたと思われる白馬岳周辺の大きなイラストマップが置かれていた。直ぐ先には白馬尻小屋がある。その右手後方には白馬大雪渓が姿を現した。大雪渓はもう少し先だ。しばらく沢と雪渓の間の林を進む。するとケルンが設置された台地に着いた。 |
大雪渓取り付き |
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大雪渓を行く |
いよいよ大雪渓の登りだ。奥の方はガスっていて上部は見えない。パトロール員が「今日は昼過ぎから雨になるから、アイゼンに30分もかけていないでサッサと登らなくてはだめだぞ。」みたいなことを言っている。おいおい、雨かよ〜。 全員アイゼンを装着し白馬大雪渓を登り始めた。先行するハイカー達はアリの行列のように一列で登っている。さすがに吹く風はヒンヤリとして気持ちが良い。いや、むしろ寒いくらいだ。 |
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最初のうちは緩やかだった斜面も徐々に傾斜を増してくる。三合雪渓、四合雪渓と過ぎていく。時折ガスが切れて稜線らしきものが見えるがはっきりとはしない。雪渓に入って直ぐはニッコウキスゲが咲いていたが、いつの間にかミヤマキンポウゲが雪渓脇を飾っている。下山者にも大分すれ違った。やっぱり下りの方が楽そうだ(苦笑) 途中雪渓に突き出たガレ場で休憩。ようやく大雪渓も終わりに近付いてきたぞ。クレバスが口を開けている場所をトラバースしながら歩くと葱平だ。どうやら雪渓の登りから解放されるときが来た。ここでアイゼンを外す。ここにもパトロール員が駐留していて交通整理をしている。平とは名ばかりで、落石の危険にさらされそうな急斜面の場所である。イワギキョウやクルマユリの咲く急斜面をひたすら登り、安全そうな場所に腰を下ろし昼食とした。歩いてきた大雪渓がガスの切れ間に姿を現す。感動の一時だ。そして近くには渓流の音が耳に気持ちいい。渓流の水がが大雪渓の下に飲み込まれていく。 |
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村営白馬岳頂上宿舎 |
さらに小雪渓をトラバースして岩の急斜面を登りきると、お花畑の避難小屋に出た。ここにもパトロール員。10分ほど行けばおいしい水場があるよと教えている。さあ、急ごう。 避難小屋は普段は使わないようにとのこと。途中に岩室跡があるはずだが、わからなかった。相変わらず急な岩場が続く。水場に着くと頂上宿舎が見えてきた。後わずかの行程だ。徐々に傾斜が緩み、道が広がってくると、そこがお花畑と呼ばれている場所だ。両側にはロープの保護柵があり、グリーンパトロールのオジサンが花や氷河の爪痕について説明をしていた。お花畑と言うけれど、花はここばかりではなく、来る道すがらずっと見ることができた。 | |
白馬岳は本当に花の名山である。正直に言って驚いてしまった。種類も多いがとにかくその数に驚かされる。あとは、花々花で白馬岳頂上宿舎まで。しかしながら、晴れてくれとの期待も空しく生憎のガスが展望を隠す。 荷物を置いて周辺を散策してみた。小屋の周辺にはウルップソウ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウなどが数多く見られた。稜線まで出ると雨がポツポツ落ち始めた。もう、明日に期待するしかなさそうだ。宿泊料は一泊二食で8700円。30食限定のディナーコース750円増しで宿泊とした。なんかなぁ(苦笑) しかし、部屋は上等で宿泊客が少なかったせいか、我が一行は通常16人(混雑時は48人か?)泊まれる部屋を7人で貸し切り。まあ、どのハイカーもそうだったみたいだけど。やっぱり土曜日は避けた方が良いみたいですな。 |
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一瞬の杓子岳、鑓ヶ岳 |
夜半に目を覚ますが、天気は良くないみたいだ。4時半にみんなで起床。バイキング形式の朝食をとり6時前に山小屋を後にした。その前に白馬岳の花の本を物色。 雨の心配はなさそうだがガスの中の出発。稜線に出て花を愛でながら、のんびりと歩けば白馬山荘だ。山荘の間を抜けるとガスの切れ間に白馬岳山頂が姿を現す。やったぁ。一瞬、一瞬だが白馬岳山頂を目に出来た。誰ともなく雷鳥を発見。しばし全員でその姿を追っていた。初めて雷鳥を目にして一寸だけ感激だ。何となく時間を費やした後に山頂に向けて歩き出す。風が強く、ガスが勢いよく流れていく。 |
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白馬岳山頂南端 |
そして遂に白馬岳の頂上に着いた。山頂標柱の前は記念写真の順番を待つハイカーで一杯だ。しかしちょうど逆光。わずかガスの切れ間に杓子岳や大雪渓の全貌が姿を現す。 雲海の上には槍ヶ岳や剣岳などが見え隠れする。すっきりとした快晴なら、能登半島や日本海が本当に近くに見えるという。まして北アルプス全てが見て取れると言うではないか…。今日は残念ながら見ることは叶わないようだ。しかし、そのガスのせいでブロッケン現象が現れ、皆面白がっていた。そして北側は比較的ガスが少なく、旭岳方面は夏の北アルプスの風景をしっかりと楽しませてくれていた。南北に長細い山頂から眼下に見下ろす大雪渓も見事だ。雪渓側は切れ落ちており、安全のためロープが張られていた。 |
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山頂を振り返る |
さあ名残惜しい山頂だが先に進まなければなるまい。白馬三山の杓子岳や鑓ヶ岳、さらに唐松岳から鹿島槍岳方面の展望が見れなかったのは残念だったが、幸運にも次なるピークの小蓮華山までの稜線はしっかりと見て取れる。まあ、良しとしよう。 そこには雪渓と緑そして灰色の岩肌に彩られた北アルプスの風景がある。そして、気持ちよさそうな登山道が小蓮華山まで続いている。痩せた岩稜の馬ノ背を下る。眼下に見える二重山稜の舟窪地形の中には水たまりのように雪田が残っている。切れることのない花を見続けながら、本当に気持ちの良い道を行く。充実感を感じる一時だ。 |
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小蓮華山 |
コイワカガミや、まさかのコマクサなど本当に花々花の白馬岳だ。高山植物の宝庫なんだなあ…。あっという間に三国境。ここで雪倉岳への道を分ける。雪倉岳方面はガスもなく晴れている。砂礫の道を楽しく歩いていけば、やがて大きな剣が安置されている小蓮華山に到着。ここにも多くのハイカーが休憩をしていた。 ここから白馬三山の眺めが見事だと言うことだが、ガスで全く見えない。やはり大雪渓から吹き上げるガスが白馬岳を隠してしまうのだなあ。本当に残念だ。行く手には白馬大池が姿を見せている。船越ノ頭を過ぎ雷鳥坂に入るとハイマツが登山道に迫ってくる。近くに見えた白馬大池も案外遠く感じた。 |
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船越ノ頭と白馬大池 |
白馬大池周辺も遅くまで雪田が残るのだろうか、チングルマやハクサンコザクラなどが群生していて、それは見事なものだ。昼食は栂池山荘でとることにして、ここでザックの軽量化を図った。白馬大池山荘では高価なビール(500mL800円、頂上小屋より100円高かった)を入手して一杯ずつ回し飲みをした。 山荘の間を抜け乗鞍岳の上りに入る。大池を周遊するように進んでいくが、途中の雪田に雷鳥の親子が散歩していた。2度も見られるなんて幸運だ。しかし、ここからが辛かった。八ヶ岳の編笠山を思わせるような岩伝いの道を進む。ガスが巻いて周辺が見えなくなったと思ったら雨が降ってきた。全員雨具を着込む。それでも大きなケルンの立つ乗鞍岳山頂に着く頃には雨も止んでいた。しばらくはハイマツが生えた比較的平坦な道を行く。 |
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天狗原の木道 |
やがて下りにはいると幅50m程の雪田が現れる。注意して歩くが、滑り落ちる心配はなさそうだ。雪田を過ぎてからは岩場の急斜面を下りる。この二日間で一番の難所かもしれない。我慢して下りれば天狗原と呼ばれる湿原に出る。ここは風吹大池への分岐になっている。天狗原を過ぎるとコメツガやオオシラビソの樹林帯に入る。ぬかるんだ道を惰性で歩いて行くと、とうとう栂池山荘に着いた。そして2日間に渡る白馬岳山行きはほぼ終了した。体は汗びっしょりになっていた。 1760円で栂池ロープウェイ、ゴンドラリフトイヴを乗り継いで栂池高原まで下りた。そしてタクシーに分乗し駐車場まで戻った。 |