至仏山
しぶつさん
2228m
片品村・みなかみ町
小至仏山から望む至仏山
登山日 2005年7月20日(曇り一時晴れ) しんぷるライフ、KM
行 程 鳩待峠(8:50)…原見ヶ岩(9:50-10:00)…尾瀬笠ヶ岳分岐(10:25)…小至仏山(11:10)…至仏山(12:00-13:10)…小至仏山(14:05)…オヤマ沢水場(14:50)…鳩待峠(16:00)

鳩待峠登山口
 戸倉から乗合タクシーで鳩待峠に向かう。時折車の窓を雨粒が濡らす。あ〜ぁ、このところ天気には恵まれないなあと、暗澹たる気持ちになってしまう。天気予報では晴れ時々曇りなのに…。
 無雪期の至仏山は実に23年ぶりだ。就職したての独身の頃に登って以来である。山登りなんて考えてもみなかったが、妻とその友人に誘われたこともあって、友人を伴って仕方なく付き合った山行だった。それでも小至仏付近の歩きからは心が躍っていたことを思い出す。
 戸倉並木の駐車場がほぼ満車だったこともあって、多くのハイカーが入っているようだ。ほとんどは尾瀬ヶ原に向かって降りていく。ニッコウキスゲが最盛期を迎えているはずである。わたし達は至仏山へと続く登山道の花を楽しみに歩き出す。雨は心配ないようだが、青空が見えないのが不満だ。

原見ヶ岩
 歩き始めはほとんど花らしい花はない。開花を終えたエンレイソウやマイヅルソウが足下にチラホラあるくらいだ。ひたすら展望のない湿った道を歩いていく。時折、樹林の間から至仏山が顔を出す。どうやら山頂付近は晴れているらしい。ご機嫌は悪くないようだぞ。やがて南側の展望が開け尾瀬笠ヶ岳が姿を見せる。うっすらと青空が覗いてきた。期待が持てそうだ。
 眼に鮮やかなベニサラサドウダンが姿を見せると間もなくと原見ヶ岩だ。この付近はちょっとした湿地帯になっていて高山植物が目を楽しませてくれる。ミヤマダイモンジソウ、タテヤマリンドウ、イワウチワ、コバイケイソウ、ミヤマキンポウゲなどだ。尾瀬ヶ原はすっきりとは見えないが、まあよしとしよう。燧ヶ岳は山頂付近にガスが巻いている。さあ、ここで一息つこう。

コバイケイソウとオヤマ沢田代
 階段を上り歩き出す。登山道には水が流れている。オヤマ沢田代まではずっとこんな感じだろう。水場をチョロッと眺めて先を急ぐ。小湿原ではワタスゲの穂が風に揺れている。木道付近にはタテヤマリンドウとヒメシャクナゲが存在を主張している。湿原を抜けると程なく笠ヶ岳への分岐だ。何度も言うがここは至仏山のトイレではない。案の定、巻き巻きが置かれていた(怒)。そうなればその下にある水場もハテナ?と考えてしまう…。シラビソの林を抜けると小至仏への蛇紋岩が露出した登りとなる。森林限界を抜けたここからが高山植物の宝庫となる。張られたロープから出ることが出来ないのが残念だ。

登山道を振り返る(小至仏、尾瀬笠、武尊)
 ハクサンイチゲ、チングルマ、ハクサンコザクラ、オゼソウ、シナノキンバイなどがまた来てねと歓迎してくれる。振り返れば笠ヶ岳や武尊山が間近だ。登山道は蛇紋岩に遮られ歩きにくい。今日は濡れてはいないため滑ることは少ないが、それでも十分な注意が必要だ。
日本のエーデルワイス、ホソバヒナウスユキソウが岩場に生えている。同じに歩いていても、植物の名を知っているだけで心豊かに歩けるに違いない。尾瀬ヶ原を見下ろせばニッコウキスゲの黄色だろう、川に沿って湿原が花の色に染まっている。う〜ん、見事なものだなあ。燧ヶ岳はご機嫌斜めなのかすっきりとした山頂を見せてくれない。イワカガミ、ウラジロヨウラク、イブキジャコウソウなど赤系の花々もしっかりと自己主張している。タカネバラは盛りを過ぎやや枯れ気味、逆にタカネナデシコはまだ蕾でこれからといったところだ。
尾瀬ヶ原と燧ヶ岳

山頂への登山道
 至仏山への登りは急登もなくペースさえ間違えなければ比較的楽な登りだろう。下山してくるハイカーと何度もすれ違う。岩場では何故か待たされることもしばしばだ。確か上り優先だったはずなんだけどなあ(苦笑)。
 西方を見れば奈良俣ダムが眼下に光っている。谷川はガスに隠れはっきりとは見えない。それでも朝日岳や巻機山、越後三山などは確認できる。小至仏山頂付近になるとすっかり青空になっていた。さて、帰路はどうしようかと言うことになったが、無難に往路を戻ることにした。至仏山は本当に高山植物の豊富な山である。何度でも訪れたくなる気持ちが本当に良くわかる。

至仏山頂上
 小至仏山からの登山道はどうやら風の通り道になっているようだ。奈良俣ダム方面からの風が吹き上げてくる。目の前に巨大な蛇紋岩の塊が見えると至仏山の頂上は近い。乾いていても気を許すことの出来ない蛇紋岩帯の登山道もようやく終わりを告げ、平日のためか余り混雑していない山頂に着いた。腰を下ろせば風を受けることのない穏やかな山頂だ。遠望はさえない。東は男体、西は谷川、南は赤城、北は越後三山といったところが墨絵のように望まれる。のんびりと昼食を楽しんでいたら、周りにはいつの間にか人気がなくなった。山ノ鼻に降りることはなく、鳩待峠まで往路をのんびりと戻った。
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