岩菅山
いわすげやま
2295m
長野県
寺子屋山を過ぎて望む岩菅山
登山日 2005年6月19日(薄曇り) しんぷるライフ
行 程 東館山(08:45)…登山道入口(9:15)…寺子屋山(9:25)…金山沢ノ頭(9:35)…ノッキリ(10:50)…岩菅山頂上(11:20-12:25)…ノッキリ(12:50)…金山沢ノ頭(14:07)…寺子屋山(14:17)…東館山(14:50)
 天気予報では関東地方は曇り模様だった。晴れマークは新潟と長野だ。渋峠を過ぎ長野県側へと下っていく。アライタ沢を登るか、東館山経由で登るか決めかねていたが、発哺から東館山ゴンドラリフトで高度を稼ぎ尾根コースを歩くことにした。ゴンドラは客が乗れば稼働するという経済効率の良いものだ。東館山まで片道670円、往復1120円。乗車券を買うとトレッキングツアーコースのパンフレットを手渡してくれた。

東館山ゴンドラリフト駅を降りる
 ゴンドラはゆったりの2人乗りだ。6分あまりで山頂駅に着く。従業員のありがとうございましたの一言が気持ちいい。草津白根山から渋峠までバスを利用して芳ヶ平を歩いたときは運転手の名ガイドに楽しませてもらったものだ。先日尾瀬ヶ原に行ったとき、乗合タクシーを尾瀬戸倉から鳩待峠まで利用したが定員になるまで待たせたあげく、何の話をすることもなく義務的に運ばれた。降車した後、4人なら4千円出せば待たずに乗れるから、帰りに縁があったら利用してくれとのお言葉。尾瀬もかつての賑わいは失せ、集客の必要すらあると地元の観光業者は危機感を募らせているらしい。まあ、身近なサービスからして頂ければいいのではないだろうか。

高山植物園を過ぎる
 ゴンドラ駅を下りると正面に岩菅山が見える。そして縦走路が走る稜線が一望だ。約500種もの高山植物が保護されているという東館山高山植物園を通り抜け岩菅山を目指す。開花しているのはシラネアオイ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ミズバショウ、ツガザクラ、イワショウブなどだ。天気は思ったほどよくはなく、曇り空模様で遠望は利きそうもない。ミズバショウの咲くブエモン池と呼ばれる湿地帯を抜け木道を歩いていけば、やがてスキー場への作業道となる。両脇はネマガリダケが自生している。作業道を抜け寺子屋スキー場のゲレンデに出ると一筋の踏み跡がリフト終点駅に向かって続いている。

寺子屋スキー場ゲレンデ
 柔らかな足下は膝に優しく快適だ。岩菅山が左手に見えてくるが、リフトケーブルが邪魔で撮影には適さない。ゲレンデを上り詰めると丸太階段が現れ、ここが登山道入口となっている。丸太と丸太の間がえぐれていて歩きにくい。道脇にはミヤマカタバミやミツバオウレン、イワカガミなどが咲いている。
登山道入口

寺子屋山頂上

金山沢の頭
 丸太の階段が切れると間もなく寺子屋山頂上に着いた。ここは山と高原地図によると2125mの三角点がある寺子屋峰となっている。緩やかなアップダウンで直ぐに金山沢ノ頭に着いた。ここには赤石山への分岐があり野反湖方面へと続く県境の稜線が延びている。いつか歩いてみたいコースである。ここからノッキリまではアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を下げる道となる。足下にはミヤマカタバミとミツバオウレンが多い。時折ヒメイチゲやツバメオモトなども目を楽しませてくれる。まあ、今日は快晴と展望を期待してきたが、期待はずれに終わりそうだ。花でも愛でながら歩くことにしよう。

登山道から岩菅山

岩菅山が近付く
 金山沢ノ頭を過ぎると展望が開けてくる。タケシマランが慎ましやかに葉の下に花をさげている。対照的にミツバオウレンが思いっきり花を開き自己主張をしているようだ。小さなピークを越えるたび目指す岩菅山が大きくなってくる。途中20人ほどの団体にすれ違った。最後の男性がネマガリタケを採取しながら歩いていたので、どうやって食べるのか訊くてみた。すると味噌汁や焼いて食べても良いと言うので、昼食にラーメンに入れて食べてみることにして5,6本ザックに入れた。アップダウンを繰り返しながら徐々に高度を下げると、快適だった道はノッキリと呼ばれるアライタ沢コースへの分岐に出た。

ノッキリ

ガレ場の急登
 ノッキリは鞍部となっている。ここから岩菅山へはノボリッキリのコースとなる。道標には35分で山頂とある。急登だからゆっくりと歩いていく事にしよう。最初はシラビソの中の緩やかな登りだが、そこを抜けると展望が開けやがてガレてくる。登山道脇はハイマツと笹。丸太の階段が再び現れ、歩きやすいコースを選択しながらの登りだ。足下にはツガザクラ、ハクサンイチゲ、タテヤマリンドウ、ナエバキスミレなどが目を楽しませてくれる。イラネアオイも二輪だけ咲いていた。頭上に大きな石碑が見えてくると、岩がゴロゴロとした岩菅山の山頂に着いた。

岩菅山頂上

避難小屋(以前は岩室だったとか)
 山頂は広く展望がいいようだが、残念ながら霞んでいて遠望は利かない。歩いてきた稜線がゴンドラ山頂駅からつながっている。リフトを降りた東館山の標高が1990m余りだから標高差はおよそ300mだ。アップダウンを考えても楽な歩きには違いない。南西方向に見えるのは大高山だろうか。気になる山でもある。山頂には皇族の登山記念碑と岩菅神社の大きくりっぱな石祠、そして目立たない所に一等三角点が置かれていた。さらに避難小屋があり、中を覗いてみた。石室の避難小屋の中は立派で十分に利用が可能だ。ストーブと薪も用意されていた。岩に腰掛けて霞んだ山々を眺めながらの昼食とした。早速採ってきたネマガリダケを湯の中につっこむ。ラーメンの具にしたわけだ。あっさりとしてシャキシャキとした食感が良い。
 裏岩菅山には35分(?)とあったが、今回は見送りだ。この稜線を辿ると切明温泉に出る。裏岩菅山から400分との道標があるようだ。帰路は往路を忠実に戻る。ノッキリまでのガレの下山道で45人の団体とすれ違った。それと山と高原地図のコースタイムが一部逆に書かれているように思われる。それは寺子屋山からノッキリまでの時間である。山頂で味をしめたネマガリダケを採取しながらの帰路となった。2組の団体以外は女性の単独行が目立った岩菅山だ。高山植物園を簡単に散策してゴンドラで駐車場に戻った。
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