尾瀬笠ヶ岳(小笠)
おぜかさがたけ(こがさ)
1960m
片品村
笠ヶ岳と小笠
登山日 2004年7月14日(曇り) しんぷるライフ
行 程 鳩待峠(9:30)…原見岩(10:40-45)…分岐(11:05)…小笠(12:20-13:05)…分岐(14:15)…鳩待峠(15:25)
 梅雨は例年より一週間早く明けたが、そもそも今年は梅雨そのものがなかったような感じだ。高山植物の開花もそれなりに早かったと思われる。それでもまだ7月半ば、まだ十分に花を楽しめるだろう。しかし尾瀬笠ヶ岳まではそれなりに時間を要する。膝や腰に不安を感じる妻が言い出したことだからどうなるかは彼女次第といったところだ。
 平日、中学校に通う息子と一緒に家を出る。尾瀬を目指すなら当然出遅れだ(苦笑)。戸倉の並木駐車場では既に鳩待峠駐車場満車と書かれた看板が立っているが、無視して峠を目指す。津奈木沢を走る県道は鳩待峠が近づいても路上駐車をしている車がない。結局峠は一杯で路上駐車を強いられる羽目になった。

オヤマ沢田代
 至仏山登山道に入っていくが、もう誰も登っていく人はいない。さすがに時刻が遅いせいだろうなあ。対照的に山ノ鼻には大勢の人が入っていくようだ。道は前日に降ったと思われる雨のせいでしっかりとぬかるんでいる。30分ほど歩いて小休止、スパッツを付けた。曇り空だが気温が高いせいか暑い。最初に出迎えてくれたマイヅルソウやエンレイソウは、とっくに花を終え実を付けている。ユキザサもすでに花はない。樹林帯の笹道は比較的地味な花が多いので、原見岩あたりを期待して歩いていこう。
 しばらく樹林帯を行けば、ナナカマドの一枝が赤く紅葉している。一体どうしたんだろう、猛暑に冒されたのだろうか。やがて道は1866ピークを南側から巻いて続く。樹林帯から解放され、武尊山の右手に目指す笠ヶ岳が見えてくる。木道脇にはシシウドが大きな白い花を開き始めたところだ。樹林帯に入りさらに行けば最初の休憩予定地の原見岩だ。一昨年の夏は確かハルリンドウが咲いていた記憶がある。高山植物に興味を持ち始めたばかりで、デジカメでやたらと写真を撮りまくっていた時期でもある。ところが全く見あたらない。一体どうしたんだろうか。それでもダイモンジソウ、イワイチョウ、ウスユキソウ、コバギボウシなどが咲いている。この原見岩周囲はちょっとした湿原になっていて、岩に腰を下ろして眺める尾瀬ヶ原はなかなかのものだ。しばし休憩。

小笠から望む小至仏、至仏山、悪沢岳
 原見岩からは傾斜がきつくなる。樹林帯に入りわずかでオヤマ沢の水場だ。しばらく我慢していけば開放感あふれるオヤマ沢田代の湿原に着く。ワタスゲの穂は水を含んでいるのか重そうにその穂を垂れている。ヨツバシオガマ、ハルリンドウが咲き乱れている。顔を上げれば小至仏の登山道を多くのハイカーが列をなして歩いていく様子が見える。さすがに至仏山は人気があるなあ。湿原の木道を花を愛でながら歩き終えれば、いよいよ笠ヶ岳への分岐だ。湯ノ小屋まで道が続くようだ。左に道をとれば長く続いていた木道ともお別れである。これから先の樹林帯は泥でぬかるんだ道が続くはずだ。この地点と笠ヶ岳の標高差はほとんどないはずで、このまま平坦な道が続けばよいのだがそうはいかないらしい。小笠までは徐々に標高を下げなければならない。樹林帯を行けば直ぐに悪沢岳だ。以前と同じ山頂標識が付けられている。

小笠から望む笠ヶ岳
 樹林帯は案の定抜かっていて足場を選びながらの歩きとなる。樹林帯を抜けると一気に開放的な景色が広がる。笹道から解放された足下はニガナやハルリンドウ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、アカモノなどで賑わっている。前方には笠ヶ岳と小笠が並びなかなか絵になる景色だ。すぐにロープが付けられたちょっとした岩場に出る。そこには一輪のクルマユリと数輪のハクサンフウロが咲いていた。再び樹林帯に入り徐々に高度を稼いでいくと小笠の直下に出る。その斜面は花畑になっている。楽しみにしていたチングルマはすでに咲き終わり穂になっていた。トキソウ、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、ウラジロヨウラクなどが咲いていた。妻が頂上へと続く道に置かれた丸太に腰掛けて膝をさすっている。限界のようだ。それなりに花と展望も得られたことで良しとしよう。小笠頂上で昼食にして戻ることにした。

小笠頂上
 わずかで登るといきなり風が強い。眼下には奈良俣ダムが見えるが谷川方面は雲で展望はなし。頂上の岩陰に腰をかければ風にも吹かれず快適だ。東側は尾瀬、日光の山々が霞んでこそいるが見ることができた。四郎岳の長い尾根は菅峰のカヤ尾根を思わせる。アヤメ平への道も歩いてみたい。北へ目をやれば小至仏・至仏山が見事だ。笠ヶ岳直下の花畑は小笠とはまた少し植生が違うので、もう少し楽しめるのだが今日はこれでおしまい。妻は持参した鎮痛剤を食後に1錠飲んだ。さあ、そんなにのんびりもできない。帰路の方が時間がかかりそうな状態だからだ。
 ゆっくりと歩いていこう。様子を見ていれば耐え難いほどの苦痛はないようだ。やがて薬が効いてきたのか足取りは快調になってきた。元気に分岐まで戻ってくると、至仏山から降りてきたと思われる団体が笠ヶ岳側に入り込んで、集団で小用を足している。中には木道上で用足しをしている男性もいる。さすがにひんしゅくものだろう。ここは山のトイレではないぞ!顔をしかめながらその脇を通り過ぎれば直ぐにオヤマ沢田代だ。ワタスゲの穂が風に揺られ、遠くには午前中には見ることの出来なかった燧ヶ岳が姿を現している。さらに原見岩まで戻ると尾瀬ヶ原が日光を浴び光り輝いていた。残念ながら笠ヶ岳までは行けなかったが、5〜6時間コースなら一緒に歩けそうな手応えを得られた大変充実した山行になった。
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