錫ヶ岳
すずがたけ
2388m
沼田市・片品村
四郎岳から望む錫ヶ岳
登山日 2004年6月16日(晴れ) しんぷる
行 程 菅沼登山口(04:10)…弥陀ヶ池(05:35)…避難小屋(06:25)…白根隠山(07:15-07:40)…白桧岳(08:15)…水場(09:28)…錫ヶ岳(10:20-11:15)…水場(11:55-12:00)…白桧岳(13:20)…第一火口原(31:40)…避難小屋(14:05)…弥陀ヶ池(14:50)…菅沼登山口(16:00)
 袈裟丸山から日光白根山までの縦走コース。一体その縦走コースがどのような状態にあるのかはわからないが、何れにしろその一部に錫ヶ岳はある。一般的な登山道とはなっていないため、錫ヶ岳へはいくつかのルートが試みられているようだ。時間さえ惜しまなければ白錫尾根を辿って縦走コースを行くのが王道であろう。ネットでも情報は数少ないがひどい藪道ではないようだ。梅雨の合間に絶好の登山日和に恵まれた。久しぶりに夜明けを待っての山行である。
白根山登山道案内板

菅沼コース
 菅沼登山口駐車場から歩き出した時はようやく夜が明けたばかりといったところだろうか。登山口までの途中、風が強そうなので心配していたが杞憂に終わったようだ。林道を行けば白根山登山道の立派な案内板がある。一瞥して道なりに右折し登山道に入っていく。早朝のせいだろうか、とても寒く感じ指先がかじかむようだ。道は全体的に荒れていて木の根、露岩が多く歩きにくい。うっそうとした樹林帯はコメツガやシラビソが多く、弥陀ヶ池までの3.3qには途中3カ所に道標が設置されている。今日の長丁場を考えればオーバーペースにならぬよう注意が必要だ。

弥陀ヶ池
 やがて樹林の上に青空が広がってくると弥陀ヶ池は近い。そこにはかつての記憶と違わない池が静かに佇んでいた。さざ波さえない水面には朝日を浴びた白根山ドームが逆さに映し出されている。そして岸の近くには薄氷が張っている。池周囲にあるシラネアオイの保護地には可憐な紫色の花が数輪目に付いたが、復元にはまだ年数がかかるようだ。白根山頂を踏んで避難小屋へと降りて行きたいが、先ずは体力温存を心がけなければいけない。五色沼に降りて避難小屋まで行くとしよう。

錫ヶ岳への道標

中禅寺湖方面を望む
 避難小屋脇の登山道を前白根山と白根隠山を結ぶ尾根に向かって上る。男体山を始めとする日光の山々が一望である。北方面を見れば燧ヶ岳の双耳峰が誠に見事だ。足下には「至錫ヶ岳」と書かれた比較的新しい小さな道標が置かれていた。その道標はここから先は一般登山道ではないよとばかりに道を遮るように置かれた倒木の直ぐ脇に置かれている。しかし踏み跡はしっかりとしており、尾根を辿るルートであることからこの先さほどの心配はなさそうだ。先ずは白根隠山を目指す。

雨量観測所跡

白根隠山へと続く尾根
左右に見渡せる限りの山々を眺めながら快適に歩いていく。直ぐに雨量観測所跡を左に見る。ピークを1つ2つと行けば、いつの間にか森林限界を超え、周囲は草原の様相を呈している。そして積まれた石の上に白根隠山の山頂標識が置かれた広々とした山頂に着いた。山頂からの眺めは見事で県境の山々が見事なまでに見渡せる。

白桧岳と奥に錫ヶ岳

白根隠山頂上と白根山
 更に望めば八ヶ岳、北アルプスの峰々、更に富士山が皇海山の上に頭を出していた。武尊山は剣ヶ峰の崩壊地がはっきりと見て取れ、スキーゲレンデが間近まで迫っているのも確認できる。谷川や上越の山々にはまだ雪が残っている。更に標高があり、全方向の展望が完全に楽しめる日光白根山の人気の程がわかろうというものだ。山頂標識の脇に腰を下ろし朝食を摂りながら地図を確認する。

白根隠山のガレ場

白桧岳
 さて先を急ごう。谷川の朝日岳を右手に、左手に赤城山・皇海山を眺めながらガレ場のルートを下りていく。このガレ場もはっきりと踏み跡が付いていて特に問題なく下りることが出来る。さらにちょっとした岩場を過ぎ上りにはいると笹が現れる。しかしそれは膝下の高さで歩くには支障はない。踏み跡なのか獣道なのか正確なことはわからないが、道筋は比較的はっきりとしている。

白桧岳山頂

尾根に続く道と錫ヶ岳
 やがて広く平らな白桧岳頂上に着いた。周囲はシラビソなどの疎林で展望には優れない。足を進め笹と樹林帯に分かれた比較的急な斜面を、目指す錫ヶ岳を望みながら下りると傾斜は和らぐが笹道も薄くなる。尾根は栃木側が笹原、群馬側がシラビソなどの樹林帯となっている。金属製の赤や黄のマークはほぼ境界に沿って続いている。時々切れるが、そんな時は笹原に入りわずか進めばすぐに目に入る。マークに沿ってしっかりとした踏み跡が残されていてはっきりとした登山道でとなっている。藪で歩けないというのは誤りであろう。尾瀬方面の展望もよい。左手前に四郎岳、右に燕巣山を従えて燧ヶ岳が鎮座、景鶴山の後ろには平ヶ岳さらに至仏山、巻機山等が望まれる。

樹林帯を行く

水場入口の広場
 登山道にはシャクナゲ、そしてシラビソ等の立ち枯れた木々。白根山の中腹にはロープウェイの山頂駅と「おおひろゲレンデ」を見下ろす。マークを指標に快適に歩いて行けば、やがて尾根が広がり樹林帯の歩きとなる。徐々に下っている道ははっきりとしており、マークは相変わらず切れ目なく付けられている。道は左に折れ傾斜を増す。一気に下ると正面の立木にハンガーが数個掛けられたちょっとした広場に出る。周辺の立木には水場を示す道標が幾つも付けられている。水場への入口だ。1分とあるが帰りに立ち寄ることにして先を急ごう。

いよいよ錫ヶ岳へ
 広がっていた尾根はいつの間には細くなり、足下には笹、そして立ち枯れたシラビソの木が目立つようになる。マークを付けられた木が倒れていることも多く、指標が途絶えがちになってくる。すぐに見つかるのだが不安が残るため、所々テープを付けながら歩いた。そしてようやく錫ヶ岳にむかう最後の鞍部に着いた。さて、あと一踏ん張りと笹の急登を眺めていると、単独行者が追い着いてきた。1時間ほど遅れて菅沼を出発、年齢は66とのこと。トホホである。私が前になり笹の急斜面を登っていく。

錫ヶ岳頂上
 笹が切れ傾斜がゆるむと再び樹林帯だ。いよいよ道が平坦に近くなり、ちょっとした窪地の先に目指していた錫ヶ岳のピークがあった。記念写真を撮り合って昼食だ。南側の展望が開け皇海山や鋸山・庚申山などが望まれる。道は更に宿堂坊山方面に続いている。この白錫尾根は藪道ではなく迷うことなく安心して歩ける立派な登山道だ。日光の山に興味を示すと、宇都宮から来た彼が男体山・大真名子・小真名子・太郎山・女峰山などの説明を熱心にしてくれた。後学のためしっかりと聞いておいた。

帰路、白根山と白根隠山を望む
 彼が採ったルートは私のとは一部異なっていた。避難小屋から白根山登りの分岐を直進し火口原を通り抜け白桧岳直下に至った後頂上に向け直登したのである。これが時間の短縮に寄与していることは疑う余地はなさそうである。帰路は白桧岳への登りと、五色沼から弥陀ヶ池への登りが大変なくらいだろうと言う。それではと、結局彼とは菅沼登山口まで同行することとなった。山頂でビデオ撮影をしている彼を残し一足先に帰路につく。笹の斜面を降りわずか待つと追い着いてきた。山の話をしながら足を進める。水場に立ち寄り、短い塩ビ管から流れ出る冷たい水をいただく。しかし夏にはかれてしまいそうな水場である。さてやっとの思いで白桧岳山頂まで戻ると、樹林の間から見える白根山方面を指さし赤テープを付けながら登ってきたんだという。

火口原の雪渓を行く

火口原
 緩やかな傾斜の後、一気の急斜面となった。赤テープの間隔は多少離れ気味で、立ち止まって探すことが度々あった。しかし左側(西)に逸れないようほぼ直線的に降りれば問題はない。そして雪渓の残る白根山の火口原に立った。雪渓を注意深く下り、人にはほとんど踏まれていない柔らかな砂地の上を歩いていく。徐々に草地となり、やがてダケカンバの疎林帯に入ると白根山登りの分岐だ。すぐに避難小屋が見えた。五色沼に降りて小休止。その後、彼の背中を見ながら菅沼登山口までの道を急いだ。
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