阿能川岳
あのうがわだけ
1611m
みなかみ町
沼田公園から望む阿能川岳と谷川連峰
登山日 2004年4月3日(晴れ)
行 程 仏岩登山口(07:30)…赤谷越(07:55-08:00)…ヨシガ沢山(08:30)…三岩山(11:00)…阿能川岳(11:30-12:30)…三岩山(13:00)…赤谷越(14:45)…登山口(15:00)
 先日ぐんま百名山の残り20座が選定された。その中にこの阿能川岳が入っていた。もう谷川山系のなかで選ばれる山はあるまいと思っていたのでびっくりだ。早速調べてみると、どうやら残雪期向きの山らしい。今年は雪が少なく既に山肌を黒く見せ始めている。息子の予定を見れば空白だ。これはしめたと友人からピッケルを借りて久しぶりの山行とした。息子にとっては初めての雪山だ。展望や残雪期の山歩きを楽しんでくれればいいが…。 小出俣山

仏岩登山口
 県道相俣水上線を阿能川に沿って仏岩トンネルを目指す。トンネル手前の仏岩ポケットパークは立派な駐車場、トイレと今時珍しい公衆電話ボックスが置かれていた。ここは吾妻耶山・仏岩の登山口になっている。指導標は残雪に埋もれ頭を10p程出しているだけだ。東屋の脇を通り残雪の杉林の中を上っていく。この分ならば十分な残雪がありシャクナゲの藪歩きは避けられそうだ。ひとしきり上ると赤谷越に出た。そこには川古温泉や吾妻耶山などへの道標が立てられていた。 それと注目すべきは「阿能川岳歩道 水上営林署/延長7201メートル 新設年度昭和36〜37年」との標柱があったことである。

赤谷越

赤谷越
阿能川岳へは唯一案内のない北への尾根道を行く。そこには明瞭な道があり当初の心配はなくなった。さてここで地形図を確認しようとザックを探すがどこにもない。どうやら車中に置き忘れたようだ。弱ったが取りに戻る時間はない。ガイドブックにないルートなので前日までじっくりと地形図は見ておいた。ここからの尾根をはずさずまっすぐ北へ進めば目的地に着くはずである。踏み跡を歩き出す。

ヨシガ沢山(背景は吾妻耶山)

小出俣山
 尾根道は残雪が消え茶色の落葉に敷き詰められている。時々現れるシャクナゲの緑が目にとまる。サクサクと落葉を踏みしめながら行くとヨシガ沢山に出た。この頂上はちょっとした広場になっていて十分な残雪があった。振り返れば吾妻耶山がきれいな台形の山容を見せている。西方に目をやれば小出俣山が見事だ。残雪は頂上だけで再び落葉の上を歩くようになった。

ブナ林

残雪の尾根を行く
 送電鉄塔の分岐を右に取り気持ちのよいブナ林を行く。適当に赤ペンキやテープが付けられ迷うことはない。とにかく尾根を外さずに行くことだ。やがて20号鉄塔の下に出る。まだ吾妻耶山は大きい。鉄塔を過ぎるといよいよ程よく締まった残雪が現れた。しばらくは快適なブナ林尾根歩きだ。鍋クウシ山付近で小休止後尾根の東側の残雪上を行く。

険しい岩峰
 やがて目の前に岩峰が現れた。東側の雪庇は切れており踏み込めない。西側も巻道はなく、木の根や枝を頼りに上りあげるしかない。それでも夏道はかなり明瞭に残っている。以後かなり痩せた尾根を灌木などを頼りに進むこととなる。このルート一番の難所だろう。岩場の氷に手を焼かされることもしばしばだ。しかし身の危険を感じることはなく用意していたアイゼンもザイルも必要はなかった。苦労の末痩せ尾根を越えると三岩山が見えてきた。眼下には関越道谷川岳PAが一望である。隣の小出俣山が大きく聳える。

山頂までの平原

山頂は近い
 三岩山には山頂標識が見あたらなかった。しかし三岩山の頂上から阿能川岳までは雪原が続きこのルートで最も快適な歩きが約束されていた。東には霞んではいるが武尊山が本当に大きい。三峰山はまるで寝そべっているようだ。谷川連峰主稜線は残念ながらガスの中ではっきりとしない。山頂の雪原の上に立つと、G氏と達筆の2つの山頂標識が木に付けられていた。

ついに山頂に立つ
 今日は息子と二人なので記念撮影だ。しかし息子は景色や山頂などはどうでもいいようで早く食事にしようと言う。時折吹く風が冷たいので、適当な場所を確保するように指示し一通り景色を楽しんだ。おにぎりとカップ麺の昼食だ。登山口に水があるとのことで容器だけ用意したのだが、蛇口からの水はトンネル排水で飲料不可と書かれていたため持ち上げていない。雪を融かして用いることにした。食事を楽しんでいる最中、轟音とともに2機の戦闘機が頭上を旋回していった。おそらくこちらを目視出来たのではないかと思われるほどの距離だ。思わず息子と顔を見合わせニンマリとしてしまった。

雲の中の谷川岳

三岩山と吾妻耶山
 青空が広がっていれば素晴らしい景色だろうに、少し残念だ。北側はやはり谷川連峰の展望に尽きるのだろう。南はと言うと吾妻耶山から遠く子持山、小野子三山が霞んでいる。東は武尊山、西は小出俣山が大きい。帰路3組に遇った。残雪期に集中する山なのだろうか、案外人気があるのか。痩せ尾根の難所はやはり大変だったが尻セードを楽しみながら愉快に降りた。
inserted by FC2 system