茂倉岳
しげくらだけ
1978m
みなかみ町・新潟県
一ノ倉岳と茂倉岳(左)
登山日 2003年10月11日(薄曇り) しんぷる
行 程 ロープウェイ天神平駅(07:07)…熊穴沢避難小屋(07:34)…肩の小屋(08:30)…・・・オキノ耳(08:52)…一ノ倉岳(09:40)…茂倉岳(10:00)…武能岳(11:15)…蓬峠(11:53-11:58)…最初の水場(12:10-12:30)…白樺小屋(13:00)…JR見張小屋(14:30)…林道(15:17)…土合駐車場(15:40)
 谷川連峰の中でまだ歩いていない稜線がある。オキノ耳から蓬峠へと続く稜線だ。いつかゆっくりと馬蹄形縦走をやってみたいと思っているのでその下見を兼ねて歩いてみる事にした。オキノ耳までは多くのハイカーが登ってくるが、その先となると歩く人も少なく静かな山旅が楽しめる。高山植物の谷川連峰ばかり考えていたが錦秋の谷川もそれなりに素晴らしいものだ。今までに登った周辺の山々が一度に見渡す事ができ大展望を楽しむ山行となった。
黄葉の茂倉岳

白毛門と笠ヶ岳
 土合橋手前の駐車場からロープウェイ土合口駅まで歩いていくと、秋の観光シーズンのためか登山センターが出張して登山カードを記入させていた。順番が来てコースを記入した後下山時刻を書くと「無理ですね。」と言われてしまった(苦笑)。「駄目なら戻ります。」で出発だ。片道乗車券を購入し、黄葉を眺めながら天神平駅までしばしの空中遊泳だ。

雲海に浮かぶ赤城山方面
 天気はまずまず、気温が低く高曇りのためか案外眺望はよい。谷川岳がくっきりと見える。「熊穴沢避難小屋」までは気合を入れてどんどん抜いていく。小屋を横目で眺め「肩の小屋」までは急ぐ。さすがに紅葉の見頃とあってハイカーの数も多いようだ。岩場でも隙を見ては追い抜かしていくが、結局列の中に飲み込まれてしまった。少しハイペースだったのでちょうどよい休憩になったようだ。

黄葉の天神尾根
「天狗の留り場」「天神ザンゲ岩」では素晴らしい景色を眺めながら休憩をしているハイカーが多い。振り返れば富士山まで見えている。近くでは三峰山、子持山、小野子三山や赤城山などが雲海に浮かんでいる。最後のガレ場の木道を一歩一歩上って行くと「肩の広場」だ。今年改築された小屋を覗いてみる。新しく綺麗な内部は右側が休憩室、左側が食堂になっていて冷蔵庫の中にはビールが冷やされていた。また何時か訪れた時にご馳走になるとして先を急ごう。

万太郎山を望む
 トマノ耳は珍しくほんの数人が山頂にいるだけだった。これからきっと大勢のハイカーが登って来るに違いない。西方を見ればオジカ沢ノ頭〜平標山へと続く稜線がくっきりだ。梅雨の暑い日に万太郎山まで歩き「吾策新道」の長く辛い道を下りた記憶が蘇る。

一ノ倉沢
 東方を見れば白毛門・朝日岳から巻機山へと続く稜線が、そしてその後ろには越後駒ヶ岳・中ノ岳が雄姿を見せている。更に平ヶ岳、景鶴山・燧岳・至仏山などの尾瀬の山々、武尊山、日光白根山、皇海山などが連なっている。どれもこれも一度は歩いた山ばかりだ。それぞれの山行が思い出されてくる。やっぱり谷川岳は近くて良い山だなあ。

一ノ倉岳頂上
 これからの進路を見ればオキノ耳から今日の目的のコースである一ノ倉岳と茂倉岳がバッチリだ。オキノ耳から「奥の院」を過ぎたあたりまでは特に岩場で歩き難く注意が必要だ。「ノゾキ」から見る一ノ倉沢には思わず吸いこまれてしまいそうだ。振り返れば荒々しい岩峰が物凄い迫力でその存在を誇示している。

谷川岳を振り返る
 緑の笹と黄葉の対比が鮮やかな山肌を一本の登山道が続いている。一ノ倉岳への急登を一踏ん張りで小さな赤い避難小屋が建つ山頂だ。その山頂からは道標こそなかったが笹が刈られて道となっており、これが「中芝新道」であると確信した。巻機山が大きい。そして大源太山もはっきりしてきた。

笹原の西斜面
 山頂付近から笹を切った道となっていて大変歩き易くなってきた。しかし、朝日岳方面から吹く風がとても強い。先を見ればあまりアップダウンのない道が茂倉岳まで続いている。ここまで来れば茂倉岳までは足を延ばしてみたくなることだろう。

茂倉岳頂上
 広く快適な道をわずかで山頂に立つことができた。万太郎山が近い。その後ろには仙ノ倉〜平標が続く。遠くにまだ富士山が見えている。山肌を被いつくす笹が強風に煽られてさざ波の様だ。途中で脱いだフリースを再び着込んだ。

武能岳
 眼下に見える一段低い山が武能岳だろうか。一ノ倉が白く化粧を始めたばかりの頃、旧道を歩いているときに見えた形の良い三角形の山とはまるで異なり一連のピークを持った山だ。後方には大源太山・七ツ小屋山や巻機山、その後方には越後駒ヶ岳・中ノ岳が見えている。苗場山も平らな山頂を見せている。

武能岳頂上から茂倉岳を望む
先ず「笹原」と呼ばれる鞍部まで400m近く高度を下げる。茂倉岳を振り返れば一面の笹の中に茂倉岳避難小屋が見える。立派そうな小屋だ。ややザレた道だが比較的歩きやすい。小さなアップダウンがあり一気に下がるわけではない。がずいぶんと下がっている。上りは150m程度だからたいしたことはないだろう。ピークが近づくと右下に黄色の「蓬ヒュッテ」が見えてきた。草紅葉の絨毯の中を山頂へと道は続く。そしてついに最後のピークである武能岳の頂上に立った。

眼下に広がる笹原
 蓬ヒュッテが建つ蓬峠までは笹を切った気持ちのよさそうな道が続く。相変わらず笹の海にはさざ波が生じている。ヨモギ沢を下る「蓬新道」やシシゴヤノ頭を経由して大源太キャニオンへと続く稜線の道が見える。そして清水峠へと続く道もはっきりとしている。

蓬峠
 いつかのんびりと馬蹄形縦走をやってみたいものだ。白樺小屋への分岐を過ぎ蓬ヒュッテまで足を延ばす。近くには案外広いテン場がある。1張りのテントが強風に煽られていた。

黄葉
 分岐まで戻り土合に戻ることにしよう。やはり笹を切った道である。水場で風を避け昼食とした。2つ目の沢を過ぎると一部岩場や崩壊地があるが特に問題はない。岩にペンキでマークがしてある。目の前には朝日岳と武能岳が大きい。白樺小屋を過ぎるとブナを中心とした樹林帯となり黄葉が美しい。武能沢、芝倉沢を過ぎると「JR見張小屋」だ。この頃には左膝がだいぶ痛み出していた。もう大きなアップダウンはないはずだ。

マチガ沢に架かる橋
 幽ノ沢、一ノ倉沢そしてマチガ沢をヨタヨタしながら通り過ぎる。最後のマチガ沢には新しく立派な橋が架けられていた。近くに標柱らしきものが立っていたが何も書かれていない。その後何度か何も書かれていない新しい柱が立てられていたが、いずれ道標となるのだろう。そしてついに登山道は終わり車道になった。そこには真新しい東屋と入山者数カウントのためと思われるセンサーが設置されていた。振り返ると武能岳が形の良い三角形を見せていた。駐車場にはまだ多くの車が止められていた。
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