鬼怒沼山
きぬぬまやま
2141m
片品村・栃木県
鬼怒沼湿原
登山日 2003年7月27日(曇り) しんぷる
行 程 大清水駐車場(05:00)…湯沢(05:44)…岩と倒木(07:25)…物見山(08:00-08:05)…鬼怒沼分岐(08:22)…鬼怒沼山(09:00-09:05)…鬼怒沼分岐(09:30)…鬼怒沼散策(09:30-10:20)…物見山(10:47)…湯沢(12:16)…大清水橋(12:58)
 鬼怒沼山自体はたいして面白い山ではない。今回の山行でも興味はなかったかと訊かれれば嘘になるが、実質的な目的は鬼怒沼湿原にあったと思う。標高2000mの高層湿原で栃木県の名勝地にも指定されているようだ。鬼怒沼までは誰にも会うこともない静かな山歩きだったが、湿原には栃木県側からのハイカーがー多く入り込んでいた。のんびりと散策するには手頃な湿原と言えよう。 鬼怒沼案内板
 大清水休憩所の前の駐車場はほぼ満車状態だ。それでも何とか駐車できた。皿伏山の時とは違ってハイカーの数も多い。私以外は例外なく尾瀬沼を目指しているようだ。大清水から鬼怒沼に歩くのはきっと変わり者なのに違いない(苦笑)。
 準備を整え5時ちょうどに歩き出す。道標には「鬼怒沼6.0Km」とある。大清水橋は残念ながら鎖が架けられ一般車両は進入できない。歩くにはもったいない程の林道が羽根沢に沿って続いている。断続的に降った雨が林道の轍に沢のように流れ出しているが、足は快適に進む。

大清水

大清水橋

分岐
 物見橋を過ぎると間もなく林道にはバリケードが設置され、そこの立看板には「この道は登山道ではないから…」と書かれていた。左手の分岐を見ると三つの石が並んでいる。あたかも通行禁止を意図している感じではあるが、その脇には道標が置かれていた。「←鬼怒沼4.8Km 大清水1.2Km→」とある。三石を通過して進む。草原を抜けると明るいカラマツ林で、そして道は沢に下りていく。湯沢だ。そこには丸太橋が架けられていたが、ヌルヌルと滑って危ないことこの上ない。上流には巨大な倒木があたかも橋の如く架かっていたがこれも使えそうにない。結局やや水量の多めな沢を飛び石伝いに渡る他なかった。

三石を行く

湯沢を渡って

四郎岳
 湯沢を渡るとうっそうとした樹林帯に入っていく。丸太の階段が断続的に設置されていて急登を歩くのには助かる。樹林もカラマツからヒノキの類に変わっている。そしてどうやら尾根端に取り付いたようだ。ここからは木の根が張りだした急登が続く。しかも下が抜かっているため歩きにくい。時折立木に掴まるのだが、濡れていてヌルッとした感覚が何とも言えず気持ちが悪い。手までヌルヌルしそうだ。時折展望が開け、三角定規に例えられる四郎岳がガスの掛かった姿を現す。薄日は差しているのだが上部はガスが掛かっている。果たして晴れてくれるのだろうか気になるところだ。

岩と倒木

物見山頂上

鬼怒沼山へ
 時折急登から解放されるのだがそれもわずかで急登に喘ぐ。2本足だけではとても登り切れそうもない。1時間半ほどして立ち眩みがしてきた。そこで最近朝の定番にしているいなりずしを食することにした。あまり落ち着ける場所ではなかったが展望はそこそこだ。腰を降ろし矢継ぎ早に口に放り込む。さあ、歩こう。相変わらずの急登は続くが時折下りが入る。歩幅が要求されるためなかなか進まないような感じである。いい加減うんざりしながらダラダラ登っていくとちょっとした岩場に出た。振り返って見れば大清水の駐車場が小さく見える。露岩を上り続いて倒木を越えて進む。
 我慢がまんの登りである。花はゴゼンタチバナとギンリョウソウばかりである。キノコが多く生えているが知識のない悲しさかな見るばかりである。そしてとうとう物見山の頂上に着いた。やれやれ、これからはこんなきつい登りはあるまい。頂上には例のブリキの標識と落書きがやたらと施された青い標識があった。山名に反して展望はなく残念だ。ここから湿原に降りていく。途中で湿原が姿を現すがそれもわずかだ。小さな沢を2つ渡ると分岐に出る。

鬼怒沼山頂上
 右は鬼怒沼湿原だ。木道が続いている。左は鬼怒沼山に続くようだが道標はない。しかし道は他にないし立派な道が続いているので進むことにした。緩やかで気持ちの良い登り道だ。快適に足は進む。2つのピークを縫うように道は続く。一旦下り、なおも行くと鬼怒沼山を指し示す道標が現れた。裏を見ると「不惑の会」とある。道標に従い右に折れ鬼怒沼山に取り付くが、ここからは登山道といった感じではなく踏み跡と呼んだ方が相応しいようだ。テープを参考に木の根の張りだした急登を行くと山頂らしきところに出た。わずかに笹をかき分けるとそこが鬼怒沼山の狭い山頂だった。展望はまるでなく、がっかりするような所だった。のんびりする雰囲気ではなく直ぐに山頂を後にした。

鬼怒沼

鬼怒沼湿原

湿原から鬼怒沼山
 再び湿原への分岐に来る。木道を少し歩くが周辺の山は生憎ガスの中だ。しかし湿原の周囲は薄日の中明るく輝いている。湿原内には大小数多くの池塘が点在している。鬼怒沼山へ登る前には露ですっかり濡れていたワタスゲの穂も、乾いてきたせいか風に揺れている。更に歩くとキンコウカ、タテヤマリンドウ、サワランなどが咲き乱れていた。湿原に入って漸くハイカーの姿を目にすることができた。日光沢方面から来たようだ。木道脇に設置されたベンチに腰を降ろしのんびりと過ごしていた。
 湿原内の木道を巡り「鬼怒沼巡視小屋」へ寄ってみた。大変しっかりとした作りで、内部中央には炉が、そしてベンチが壁に沿って設置されておりきれいに清掃されていた。壁にノートがあるのが見えたがそのまま鉄製の扉を閉めた。物見山まで戻ると僅かに雨が降ってきた。濡れるほどではないが急いで下山することにした。木の根や露岩の急斜面の下りに両膝の周辺が痛くなってしまった。数回休憩を取りながらゆっくりと湯沢まで降りていった。
巡視小屋
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