皿伏山
さらぶせやま
1916m
片品村
景鶴山から望む皿伏山
登山日 2003年6月28日(雨) しんぷる
行 程 大清水駐車場(05:51)…一ノ瀬休憩所(06:39)…三平峠(07:28)…三平峠下(07:40)…大清水平分岐(08:10)…大清水平(08:30)…皿伏山(09:30-09:40)…白尾山(10:58)…マイクロウェーブ電波塔(11:24)…富士見峠(11:45)…馬洗淵(12:37)…富士見下バス停(13:32)
 景鶴山から見た皿伏山はその名の通り薄い皿を伏せたような平らな山であった。夏になったら白尾山と合わせて登ろうと思っていた。尾瀬の遅い雪解けもどうやら終わった頃だ。天気はあいにくで日程を延期しようかと考えていたが、雨の尾瀬もなかなか情緒があって良いよと誰かが言ってた。もっともそれは尾瀬ヶ原だったのだけれど…。大清水から富士見下へバスを使っての移動になるため常に時間を気にしながらの山行だ。 富士見下バス停

大清水
 シーズンならば既に遅い時間と思われるが、大清水の駐車場には数台の車が駐車しているだけだった。天気予報では雨ということも影響しているのだろうか。車道を歩き出す。緩やかな登りである。今日は14:10までに富士見下のバス停に間に合わせなければならない。計画では6:00に大清水を出発すればよい事になっている。早朝の国道を飛ばしてきたせいか予定時間前に着いたので心なしか余裕がある。前方には二人のハイカーが歩いている。距離を測るわけではないが歩く速度が同じなのだろうか一定の距離を置いて歩いていく。

登山道に入る
 やがて一ノ瀬休憩所に着くと先行者は一息つくようだ。こちらは特別疲れてもいないので休むことなく歩く事にした。直ぐに車道の幅には不釣り合いな三平橋を渡り、沢沿いの登山道に入っていく。雨は降ってはいるが体感はほとんどない。
 尾瀬に特徴的な木道歩きが始まる。傾斜は緩やかで直ぐ脇を流れる沢の音を聞きながらの歩きだ。それでもいつの間にかうっすらと汗をかいているので長袖のシャツを脱いでリュックにしまった。

三平峠
 三平峠にさしかかると傾斜がきつくなるとともに雨脚も気になりだしてきた。このまま引き返そうかとも思うようになった。それでも進むと先行者が目にとまった。山慣れしていなそうなグループがゆっくり歩いている。それを見て気を取り直し先に進む事にした。道を譲ってもらい一気に歩き出す。汗をたっぷりかいたところで道は平坦となり、また雨も小降りになった。三平峠に着くと親子連れが楽しそうに写真を撮っていた。最近の山行では見慣れないシーンなので思わず微笑ましく思えてならなかった。

三平峠下

沼尻に向かう
 雨に濡れても滑る事のない木道を下ると三平峠下に出た。ここからの尾瀬沼と燧ヶ岳の姿を期待しての山行だったが今日は何ともしようがない。朝を迎えた山小屋はまだ賑わいの前なのか静かに湖畔にたたずんでいた。尾瀬沼に沿って歩く。木道は所々浮いていてシーソーのようになっている箇所が幾つかあった。程なく大清水平への分岐にさしかかる。

大清水平・皿伏山分岐

大清水平・皿伏山分岐
 皿伏山へはここから分岐しなければならない。木道からはずれ露岩の急登となる。ようやく本格的な登山道になった感じだ。ホッホッと呼吸を整えながら上っていく。傘を差しているが雨はまだ小降りだ。傾斜がゆるんでくる。オオシラビソの林の中を気持ち良く歩いていく。この一帯はオオシラビソの樹林帯で、所々ダケカンバが混ざっている。足下にはマイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、ミツバオウレン、エンレイソウが非常に多い。

オオシラビソの森

大清水平
 急に先が開け湿原が現れた。樹林帯から抜け出したせいだろうか風が強く雨が吹き付けてくる。湿原の中を木道が延び霧の中に溶け込んでいる。ワタスゲ、イワカガミ、ミズバショウ、チングルマなどが咲き誇るこの湿原が大清水平だった。晴れていれば見通しが利いて気持ちの良い湿原が広がっているのを見られただろうに残念だ。
 オオシラビソの森を行く。相変わらず傾斜は緩やかである。足下がぬかっているのが少し気になる。何度か小さな湿原に出るが、その度にイワカガミ等に迎えられる。やがて皿伏山の頂上に着いた。ここまで登山道には赤ペンキやテープが切れることなく付けられていて安心して歩く事が出来た。山頂は目立ったピークではなく登山道の一部といった感じだ。当然ながら展望はない。通り過ぎてしまいたいような場所ではあるが今日の主目的地だ。標柱にリュックと傘を掛け、早い昼食とした。しかし雨が気になりのんびりとは出来ない。リュックの濡れも気になるので、何かないかと中を探すとポンチョが出てきた。それをかぶり傘を差して出発だ。

時折現れる湿原

オオシラビソ

皿伏山頂上
 下る。以前より樹林帯が幾分薄く明るい感じがする。一気に下るとどうやらコルのようで平坦になる。時々現れる木道は滑ること著しく何度か転びそうになった。努めて木道を歩かないようにした。徐々に傾斜のきつい上りになってくる。それと同時に雨脚も強くなってきた。道には徐々に水が流れ出し、ついには完全に沢状態になってしまった。右に左にと流れを避けながら笹が若干張り出した道を上っていく。

登山道
 やがて山頂が近い事を暗示すように登山道の水量が少なくなってきた。ヌルヌル滑る木道が現れしばらくすると白尾山の頂上にでた。やはりこの山頂も皿伏山と同じように登山道の一部と言った感じだ。ただ南側が開けていて明るい。近くには古びたベンチが置かれていた。コースタイムは順調だ、先を急ごう。足下にはイワナシやアカモノなど今まで見られなかった植物が姿を見せてくれた。

木道を行く

白尾山頂上

マイクロウェーブ反射塔
 時折現れる木道は以前ほど滑らなくなってきた。雪田が無くなったばかりと思われる草原を何ヶ所か横切るとマイクロウェーブ電波塔のある高台に着いた。雨は小降りだ。そこからは思いもかけず林道が続いていた。道の脇には相変わらずゴゼンタチバナやミツバオウレンなどが多い。ミズバショウも姿を見せる。歩いていてなかなか気分の良い道だ。

林道

富士見峠

富士見小屋
 やがて道標のある富士見峠に着く。わずかで富士見小屋だ。小屋は霧に煙っていた。中から数組のハイカーが出てくる。昼食を終え、これから歩き出すのだろう。皿伏山方面に足を踏み入れてから誰にも合わなかったが、ようやく人の姿を見る事が出来た。小屋の近くには太陽光発電施設があった。富士見下までの時間はたっぷりとあるし、のんびりと車道を歩こう。所々に小さな道標があり初めて歩く身としては大いに助かる。2組のハイカーにすれ違い一言二言、言葉を交わす。富士見下にはバスの時間の40分も前に着いてしまった。全てが濡れていて腰掛けるところもなく弱ったなあ。と思っていると発車時間の30分前にバスが入ってきた。これは幸運だ。この頃には雨はすっかり上がり晴れ間すら覗いてきた。明日はいい天気になりそうだなあ。20分程バスに揺られ大清水に着く。朝には気がつかなかったニッコウキスゲが今が盛りの満開状態だった。
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