大源太山
だいげんたさん
1764m
みなかみ町
三国山から望む大源太山(後ろは仙ノ倉山)
登山日 2003年5月24日(曇り) しんぷる
行 程 上越大橋(06:10)…三国峠(06:37)…三国山頂分岐(07:03)…三国山頂上(07:13)…三角山頂上(08:25-35)…平標山分岐(08:42)…大源太山頂(08:55-09:10)…三角山(09:25-30)…三国山分岐(10:37)…三国峠(11:13)…上越大橋(11:36)
 谷川連峰には2座の大源太山がある。新潟県にあって上越のマッターホルンと呼ばれるものと、群馬県にあって三国山の北に位置するものだ。群馬県の側の大源太山は、著名な山が連なる中に位置するためか地味な存在である。山頂からの展望はなかなか優れると言われており、谷川連峰の主稜線の西のはずれの平標山と仙ノ倉山の南に位置する事から、連峰の状態を見るには良い場所かもしれない。気になる花と残雪の状態を見に来てみた。
三国峠
 天気がはっきりせず展望が得られるか不安な出足となる。上越大橋から登山道に入るとオドリコソウと新緑の出迎えだ。昨年6月の最初に来た時には時間帯も遅かったせいか山蝉がうるさい程だったのだが、今日は静まりかえっていて渓流の音が良く聞こえる。車を駐車し準備をしていると「釣りですか?」と若者の二人組が尋ねてきた。「いや、山だよ」と三国山方面を指し示す。後からペアが山支度をして追いかけてくる。ちょうど上越大橋の距離差だ。さすがに1年前に歩いた道だけに結構記憶にある。確かこの辺りで山ウサギに出会い気持ちを踊らせたことなどが脳裏をよぎる。足下には紫色をしたタチツボスミレが延々と咲いている。

登山道入口

山頂へ続く階段

傾いた階段
 程なく三国峠に到着だ。休憩を取る程でもないので、ここから山頂下まで続く階段を歩く事にする。まだ花の時期には早いようだ。日当たりの良い場所にはキジムシロが鮮やかな黄色の花を咲かせている。しっかりと整備された階段は快適なき事この上ない(^^;)  一歩一歩足元を見ながら我慢の上りが続く。この辺りには見るべき植物も少ないので自ずと足は速くなる。
 お花畑と呼ばれるベンチの置かれた場所に着くが、当然ながら誰もいない。キスゲの咲く頃には大勢のハイカーで賑わうのだろう。そんな様子を思い浮かべながら延々と続く階段を上る。 お花畑からようやく三国山山頂が見えてくる。山頂に近づくに連れガレ場になる。相変わらず階段は続いているのだが、深い積雪のためか階段は完全に崩れ落ちていたり、傾斜に沿って傾いていたりする。やがて使い物にならなくなってしまうのだろう。無理に敷設することもないと思うのだが・・・。途中に山頂を迂回して平標山に続く分岐点があるが、一瞬ためらった後三国山山頂に行ってみる事にする。ためらいの理由は階段が続く事だ。迂回路を行けば階段からは解放される。気になる後続者は途中お花畑で休んでいる。

三国山頂上

大源太山へ続く稜線

明るい登山道
一歩一歩踏みしめるように階段を登り切ると平坦な笹原を横切って三国山頂上に着く。頂上は昨年と代わり映えのしないものだった。少し戻って大源太山へ向かう事にする。 山頂からの道にはツツジとアズマシャクナゲの木がある。ちょうど咲き始めたばかりで鮮やかな色彩を放っている。そこからわずかに下ると先の分岐からの道に合流する。さあ、これからは未知の道になる(^^;)
 大源太山まで続く稜線がガスでやや霞んではいるがハッキリと見て取れる。さて道は一旦大きく高度を下げてから幾つかの小さなピークを越えていく。登山道の脇には残雪も見える。スパッツは用意してきたのだがアイゼンは用意していない。すこし軽率だったかなと思いながらも心配はいらない感じだ。
 足下にはイワナシの木が目立つ。そして白く小さな花を付けているヒメイチゲも数多く咲いている。おお、ショウジョウバカマも咲いているではないか。これは目を離せなくなってきたぞ。とたんに歩くペースが落ちてきた。まだ蕾状態のイワカガミを見て写真に撮ろうかと思っていると気になる後続者が直ぐ側に迫っている。時間から見て三国山山頂はパスして来たみたいだ。先に行ってもらおうかと考えたが直ぐに歩いてくる様子もなかったのでそのまま先行した。シラネアオイが咲いている。ようやく春が訪れたばかりなのだなあとしばし感慨。小さなアップダウンを3度4度と繰り返し、まだ雪が所々消えずに残る登山道をキョロキョロしながら歩いていく。遠景は霞んでいてハッキリとしないが、それでも目指す大源太山はしっかりと見えている。時々周りに目をやれば白樺の木が多い事に気が付く。

残雪が

白樺

三角山
登山道はずっと稜線歩きで大変に気持ちがよい。これで天気がもっと優れて遠望が利けば最高であろう。雪田を歩き、ちょっとした傾斜をキックステップで上る。気温が上がってきたせいか雪解け水が登山道を流れている場所もある。両側が笹の稜線を延々と歩き続けるとようやく手前のピークである三角山の頂上に出る。ここからの展望はなんと素晴らしいのだろう。360°隔てるものはなく周辺の山並みが見渡せる。苗場山から白砂山への展望、そして平標山から仙ノ倉山への稜線の展望が見事だ。ところが目指す大源太山方面にガスが掛かってきた。ここまで特に休む事もなかったのでちょうどいいから一休みする事にした。すると後続のペアが現れた。「早いですね。」と一言残し休むことなく通過していった。人に早いと言って抜かしていくあなた方はいったい何なのよ(苦笑)。
 ペットボトルに詰めてきた水を飲みながら待つ事10分程でガスが消えてきた。さあ目指す山は目の前だ。緩やかな傾斜が続く登山道を行くと大源太・川古への分岐道標が現れた。

大源太山への分岐

珍しい白樺

大源太山頂上
 さあ、先行者はどちらへ行ったのだろうか?この時間だから平標山まで足を伸ばしたのだろうか。その方がいいんだけど・・・。雪田に出ると踏み跡がしっかり残されていた。先行してきた間、雪の上には踏み跡がなかった事から明らかに大源太山に向かったわけだな。ここからは木の根が出ていたりしてやや歩きにくい。それもわずかでアカミノイヌツゲの木がある平坦な笹原に出ると直に山頂に着く。先行者は腰掛けて何やら話している。「残念ながらガスっちゃいましたね。」前橋からのハイカーだ。間近に見える仙ノ倉が好きで、昨年は5回も登ったという。川古方面への道が気になって様子を見に行っている間に彼らは下山していった。静かになった山頂にはウグイスの鳴き声が気持ちよい。

ナエバキスミレ(苗場黄菫)

タチツボスミレ(立坪菫)

エチゴキジムシロ(越後雉子筵)
 気になる万太郎山がガスの切れ間から顔を出す。果たしてたどり着けるのだろうか。いやそれよりも下りてこれるだろうか?それから先の谷川岳方面は残念ながら見えない。
 下山もやはり足下をキョロキョロしながらの歩きだ。おかげで往路では見落としていた花を幾つか発見出来た。歩くにはちょうど良い時間帯になったのか数多くのハイカーとすれ違う。腰を降ろして何かを見ているハイカーにすれ違うと、その目線にはシラネアオイが。そして私の方を見て「このあたりはようやく春が来たんですねえ。」と一言。その言葉がやけに心にしみた。「この先にも2、3カ所咲いていますよ。」
 三国山からの階段の下りは左膝に応えた。三国峠まで戻ると団体が休憩していた。旧三国街道を歩く旅なのだろうか。三国峠から国道に向かって下りて行くと、やけに暑く初夏を思わせるような陽気となっていた。

アズマシャクナゲ(東石楠花)

イワナシ(岩梨)

ショウジョウバカマ(猩々袴)

イワカガミ(岩鏡)

ヒメイチゲ(姫一華)

タケシマラン(竹縞蘭)

シラネアオイ(白根葵)

ツバメオモト(燕万年青)

ウスバサイシン(薄葉細辛)
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