烏帽子岳
えぼしだけ
1182m
南牧村
三ツ岩岳からの烏帽子岳とマル
登山日 2002年12月15日(晴れ) しんぷる
行 程 烏帽子岳登山口(09:05)…郡界尾根(10:16)…マル(10:28-30)…コル(10:38)…山頂(10:44-50)…分岐地点(11:08)…登山口(11:33)
 烏帽子と名付けられた山の数は相当多いに違いない。見る角度によって、なるほど良く似ていると思える山は多い。ここ南牧村の烏帽子岳も然り。ここ数年の間、大仁田ダムの工事により林道が通行規制を受け、登山者にとっては不自由であったらしい。その工事もようやく終り、登山口まで車で乗り入れられるようになった。この烏帽子岳と隣の三ツ岩岳は、春になるとアカヤシオでピンク色に染まる山として有名だ。そして山頂からの展望もまた見事な山である。
大仁田ダム
 雨沢から今年出来上がったばかりの大仁田ダムを目指す。大仁田の集落を過ぎ確信の持てぬまま車を走らせるとダムのコンクリート壁が見えてきた。ダム工事によって移されたという「竜王の里宮」が、ダム直下の真新しいトイレがある駐車場の脇に奉られていた。そしてそこには「三ツ岩岳登山口」の道標が立てられていた。目指す烏帽子岳登山口はさらに数分行ったところのはずである。しかしダムの手前を横切った先の林道は積雪があった。残念ながら雪タイヤではない。しかたなく三ツ岩岳登山口前に車を止め林道を歩くことにした。歩くこと数分で林道の右手に烏帽子岳登山口の道標が見えてきた。途中長野ナンバーの車が3台置かれていた。
 登山道に入ると直ぐに10cm程の積雪があった。右手にはシボツ沢が流れている。雪の上には先行者の足跡が残されていた。道は沢に沿って付いており、赤テープと先行者の足跡を頼りに悩むこともなく歩いていった。間もなく先行したパーティーの姿が見えてきた。その歩みは遅く、一歩一歩踏みしめながら歩いているようだった。この調子では直ぐに追いついてしまうと思い、また先行者が滑った跡もあったことから軽アイゼンを装着した。適当に距離を置いて歩いていたが、ザイル場で追い着いた後は最後尾を歩くようなかたちになった。そんな状態でしばらく歩いたが、前を歩いていた方が私に気を遣って先行させてくれた。感謝を述べ先頭に立ったが、その途端足は止まった。コースがわからないのである。赤テープを目印に踏跡のない雪の上から登山道と思われるルートを探す。もはや下ばかりを見て歩くことは出来なくなった。先のパーティーは休憩を取ったのか付いては来なかった。それでも赤テープが途切れることなく付けられていて順調に足は進んだ。

シボツ沢

ロープがある

郡界尾根
 途中、折れた木にブリキ製の道標が見えたが一瞥しただけで通り過ぎてしまったが、実はここで道は分岐していた。左は烏帽子岳と「マル」とのコルに、直進すると郡界尾根を経てマルそして烏帽子岳へ行くものだ。分岐道標と思わずに見過ごしてしまった。とんでもない急斜面に足を取られながら、呼吸を整えつつ休み休み上りきると郡界尾根に出た。ここは左に尾根道を行く。尾根までの急斜面から比べれば楽なものである。マルには天狗岩方面からの道と烏帽子岳からの道が来ていた。山頂は灌木に遮られ展望は良くないが、目指す烏帽子岳は眼下に見えた。一汗かいたので一口水を飲み、フリースを脱いでザックにしまった。

マル頂上

コル

烏帽子岳頂上
 さて展望が良いと言われる烏帽子岳に急ごう。ところがどうだ、コルまではかなりの急傾斜である。立木に掴まり足を滑らせないよう注意して降りていった。コルに着くと分岐道標があり大仁田の文字が目に入った。岩場に付いた道を上り返すと山頂に着いた。あまり広くない山頂には石祠が奉られていた。このところ連続して南牧村に来ていたが残念ながら遠望には恵まれなかった。しかし今日は久し振りの晴天である。遠く冠雪した北アルプスを始め、浅間山から谷川、武尊、日光白根と見渡せぬものはない。西上州の山はこんなにも展望が良かったのかと思ってしまった。そして大岩・碧岩、立岩、毛無岩、鹿岳、稲含山などが近い。

分岐道標
 パーティーがマルを降り、こちらに向かって来るのが見えたので山頂を後にすることにした。コルからは郡界尾根までの登りと同じような急斜面である。一気に分岐地点まで降りた。改めて見回してみると、なるほど赤テープも2方向に付けられていた。分岐地点からは沢沿いに来た道を戻った。ザイル場でこれから烏帽子岳に登るであろうパーティーにも遇った。日曜日のせいもあるのだろうか、久し振りに賑やかな西上州の山歩きになったような気がした。
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