御荷鉾山
みかぼやま
1286m
藤岡市・神流町
富岡万場線からの御荷鉾山
登山日 2002年10月27日(晴れ) しんぷる,娘
行 程 法久バス停(7:15)…法久集落(7:50)…御荷鉾スーパー林道(9:15)…東御荷鉾山登山口(9:26)…東御荷鉾山頂(10:21-32)…林道(11:08)…投げ石峠(11:10)…西御荷鉾山頂(11:42-12:40)…林道(13:13)…オドケ山登山口(13:35)…オドケ山頂(13:51)…林道(14:07)…塩沢峠(14:45)…八幡橋(15:30)…万場バス停(15:35)
 御荷鉾山はスーパー林道が稜線の下を通り簡単にピークを踏めるようになっているが、そこから登るのでは面白くないと思っていた。折角の山行なのだから一日たっぷりと使って充実した山歩きを楽しみたい。思い出に残る山歩きにしたい。鬼石町の法久から東御荷鉾山を目指し、西御荷鉾山からオドケ山、そして高岩山と縦走して万場へ下りるコースを歩いてみることにした。最初からコースを外すという始まりで、最後もとんでもないことになったが、それなりに楽しい山歩きを娘と味わうことが出来て充実した一日となった。
御荷鉾スーパー林道
 6:40万場バス停に着いた。7:00始発のバスには余裕がある。町営の無料駐車場が道を挟んで反対側にあったのでそこに車を置くことにした。間もなく小型の路線バスが入ってきた。運転手に法久までの料金を訊いて2人分の硬貨760円を用意した。我々を乗せたバスは15分足らずで目的地の法久に着いた。法久入口の案内板につられて法久林道に入って行ったが、実際の登山道はバス停近くの沢の脇に付いていた。いずれ道を合わせるので娘と二人のんびり歩くことにした。さすがに紅葉には早く樹木はまだ青々としている。そして野鳥のさえずりが耳に心地よい。最初の分岐地点に法久地区の大きな案内板が設置されており、その案内に従って集落の中を通ってみることにした。

法久林道入口

法久地区案内板

山村風景
 山村の風景は好きだ。幼い頃の一時期、稲含山の麓に住んでいた事があり、その時の風景が記憶として残っているからなのだろう。こんな山村にセコムが入っている家屋が何軒かあり、それがなんとも似合わないような気がした。廃屋もあり、またかつて小さな学校だったと思われる建物が集会所になっていた。そうした建物の脇の急登を息を弾ませながら歩いて行く。集落を抜けると畑となり周りには山茶花の白い花が咲いていた。そこで農作業をしていた人と二言三言挨拶を交わして先を急ぐ。畑の周りにはぐるっと柵が巡らされていて、おそらくイノシシを防ぐためと思われた。諏訪神社を過ぎたあたりから登山道らしくなる。
 そして要所にはピンクの道標が立てられていた。道標の立てられている位置と向きを良く考えて歩かなければいけないと実感した。2度ほど読み間違えて時間を30分近くロスしてしまった。最初は畑道に入ってしまい、2度目は林道を逆方向にと…。どうも出足からして林道を歩き出してしまったくらいだからなあ。今日はなんかおかしいぞ。娘と一緒だから緊張しているわけでもあるまいに。登山道はずっと杉の植林帯を進むが、手入れ良く枝打ちされて気持ちがいいほどだ。さほど汗もかかない間に御荷鉾スーパー林道に出た。

山茶花

杉の植林登山道

スーパー林道に出る
 道標に従って先ずは東御荷鉾山に向かって足を進める。ようやく杉林から開放されたようだ。林道を右に分岐し地すべりの補修工事場所を過ぎた所から尾根に取り付く。しばらくは雑木林の遊歩道のような道だ。このまま山頂まで行ければ良いが、見事な三角形の山容からしていずれ傾斜を増してくることだろう。時々木々の間から両神山方面が望まれる。傾斜が増してくると同時に雑木林の中に続く道は落葉に隠れて踏み跡がはっきりしない場所が出てくるが、もはや迷うような場所でもなく頂上を目指していれば問題はない。傾斜が緩むと不動明王が奉られた山頂に出た。その不動明王は関東平野が開ける東を向いていた。展望は樹木が邪魔をして必ずしも良くないが、南方は開けている。娘と二人展望を楽しんでいると例によって団体さんが押し寄せてきた。高齢者の多い団体だ。そんなに広くない山頂はたちまち一杯になってきたので退散することにした。西御荷鉾山には西側の投石峠に下らなければならない。急斜面で露岩が多く意外と歩き難い。「話が違う。」と言いながら登ってきた団体にもうなづけるような気がした。

登山道より父不見山方面

東御荷鉾山頂

丸太階段が続く登山道
 傾斜も直ぐに緩やかになり、いったん林道に出る。直ぐに「投げ石峠」と西御荷鉾山登山口の道標が現れた。登山口は林道と平行しておりやや分かりにくい感じがした。直ぐに丸太階段が現れ、右側斜面がコンクリで固められた登山道を覆う草の枝葉を手で払いのけながら進む。あまり歩かれていないのだろうか。再び丸太階段が現れた。急な斜面も歩きにくいが階段も然り。すると一人の老人が三脚を片手に下りて来た。「東までどれくらいかかるかね、この先はきついよ。ずっとこんな調子が続く。やっと下りて来たんだよ。」確かに見上げれば苦手な丸太階段が続く。周りは桧の植林帯だ。展望もない急登が延々と続く訳か、とはいえ時間的には30分程度のはずだ。「あと1時間くらいですかね。東も結構きついですよ。気を付けて行って下さい。」傾斜が緩くなって来た。

山頂間近

西御荷鉾山頂

西御荷鉾山頂
 どうやら山頂らしい。やはり不動明王の石像が奉られていた。ここでも東御荷鉾山と同様に関東平野の方面を向いていたが、これには何か意味があることに思えた。山頂は東と違って東西に広く木が切り払われていて展望が良い。西側は樹木に遮られ若干展望が得られないが十分な展望である。時間的にもちょうど良いのでお昼にした。陽射しが暑いくらいだ。今日は久しぶりに妻の手弁当だ。やはり満足感が違う。そしてなにより二人の食事は楽しい。今日の天気は上々で富士山や遠く北アルプスも遠望出来るかなと思って来たが残念ながら雲が低くかかり見ることは出来なかった。その代わり万場町のほうから白煙が上がってきた。ごみを燃やしているには多すぎる量だが…。展望を十分に堪能したのでオドケ山に向かう。 

リンドウ

登山道

オドケ山登山口
 山頂を下っていくと直ぐに分岐があった。最初左に折れて少し下ったが、後から下りて来たハイカーに尋ねると林道に出てしまうと言うので、分岐まで戻り尾根を直進した。踏み跡はしっかりしており赤テープも付けられていて心配のない道だ。途中には「←みかぼ高原荘 西みかぼ山頂→」の立派な道標が2箇所に立っていた。日当りの良い登山道にはリンドウが紫色の花を数多く咲かせていた。そして雑木林もちらほらと紅葉してきていた。紅葉はまだ始まったばかりだ。そうこうしているうちに林道に出た。 今日何回目の林道歩きになるだろうか。時折自動車が通過していく。こうして歩いていると本当にこのような林道は必要なのか考えさせられる。間もなくオドケ山登山口に到着、早速登り始める。この山はピークを踏んでぐるっと一周出来るようにルートが付いている。緩やかな上りで杉桧の植林もなく気持ち良い雑木林の道だ。山頂には2基の石祠が置かれていた。樹木に遮られて展望は利かない。記念写真だけ撮って直ぐに下山だ。右回りで上ってきたのでその順で下りたが、こちらはあまり歩かれていないのか踏み跡も少なく草が生茂っていた。すぐに合流し登山口まで戻った。

オドケ山頂

オドケ山

林道の紅葉
 あとは高岩山に挨拶をして古峠から万場の町に戻るだけだ。再び林道を西に向かう。黄葉しかけた木の葉が日の光を浴びてキラキラと眩しい。そして抜けるような青空との対照が見事だ。こうした林道歩きは悪くない。しかし高岩山の登山口が出てこない。上ばかり眺めて見落としたわけではないだろうに。途中林道が左に分岐していたが通りぬけられないと書かれていたため直進してきたが、どうやらそこが予定していた天狗沢沿いに下りるルートだったに違いない。娘とどうしようかと話しながら歩いていると道標が見えてきた。まさかの塩沢峠であった。娘と顔を見合わせて笑ってしまった。戻ったほうが明らかに時間はかからないだろう、しかし何故かスーパー林道を離れ道なりに下りて行った。

塩沢峠
 地図を見ると道は万場町から一旦遠ざかってから戻るようになっている。時間にして2時間ほどだ。距離にして約8kmにはなるだろう。とにかくやけになって歩いた。おそらく町に着く頃にはすっかり暗くなってしまうに違いない。数台の車が我々を追い抜いて行った。今日の山行は最初からおかしかった。最後も間違えて終りか…。後ろから1台の車が、そして静かに我々の横に止まった。そしてやさしそうな顔が窓から出てきて一言「乗っていくかい?」助かった、それは軽トラだった。早速荷台に乗りこんだ。「どこまで行くんだい?車がおいてあるんかい?」「万場町役場に置いてあるんですが」ちょっと怪訝な顔をされたがとにかく軽トラは快調に高度を下げていった。

八幡橋
 八幡橋の近くで「今日は警察が出ているから…、ここから300m位で着くから」と降ろされた。確かに町には消防団の姿が多く目についた。訓練か何かしているのかと思いながら歩いて行くと、万場バス停の直ぐ横の工場が火事に遭ったらしく、辺り一面水浸しになっていた。西御荷鉾山から見えた白煙はこれだったのだ。最後は幸運に恵まれ無事に戻ることが出来た。
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