皇海山
すかいさん
2144m
沼田市
鋸山中腹からの皇海山
登山日 2002年10月5日(晴れ) しんぷる、YI、TT
行 程 林道崩壊地(8:00)…登山口(9:05)…二股(9:35-40))…不動沢のコル(10:52-11:00)…皇海山頂(11:55-13:00))…不動沢のコル(13:50))…鋸山途中まで往復(13:55-14:45))…不動沢のコル(14:45))…登山口(16:00))…林道崩壊地(16:40)
平成13年の台風で栗原川林道が通行止めになって1年以上経つ。復旧を待って登りに行こうと思っていたが全くめどが立たなかった。インターネットにより崩壊地から1時間程の林道歩きで皇海橋近くの登山口まで行けることが分かった。地元の友人に声をかけ一緒に登ることになった。往復2時間は余計にかかるが、登山口からは歩行時間5時間の行程だ。皇海山までのアプローチは本当に長かった。崖側が切れ落ちた林道を奥へ奥へと入りこんだ深山、そんな山であった。 登山道案内図

栗原川林道のトンネル

林道崩壊地
 林道の通過は困難が予想されたため利根村役場に集合、軽トラに乗り換えて林道の崩壊地まで入りこむことにした。途中で工事関係者らしき車を先にやり谷底に落ちないように慎重に進む。岩をくり抜いたトンネルを過ぎどんどん奥に進む。やがて重機が数台置いてある場所に着くとその先が崩壊地になっていた。工事関係者のプレハブ脇に軽トラを置かせてもらって、ここから先は歩きとなった。ここ数日の間に復旧工事が始まったらしく、山側の土砂を削り落として崩壊箇所を埋め立てていた。

林道を歩く
 崩壊地からは約1時間の林道歩きだ。途中数本の沢が林道を横切っているが、そうした箇所が次の崩壊地になりはしないかいささか心配である。林道そのものは何カ所か路面が荒れた場所があるが、全体的にはさほど走りにくい林道ではない。くねくねと何度も曲ながら林道は続く。YIは今回が2回目の皇海山登山であり、今山行は彼の協力がなければ計画が成されなかったはずである。前回の山行話を楽しく聞きながらひたすら皇海山登山口を目指す。

皇海山登山口
 歩くことおよそ1時間で皇海橋に着いた。そして橋の手前には最近利根村により建てられた立派なトイレがあったが利用できなかった。林道の通行止めにより閉めているのであろう。そしてその前の広場にはなんとマイクロバスとワゴン車がとめられていた。林道反対側の根利からゲートを開いて入って来たのだ。我々を見ると運転手が降りてきて崩壊箇所の様子をあれこれ聞いてきた。そして釘と21mmの???あればゲートは通過できると熱心に説明してくれた。片品村から32人のツアー客を連れてきておよそ1時間前に登り始めたという。これも百名山故か。皇海橋を渡ると立派な道標が建っていて、その前は十分な駐車スぺースとなっている。ここから林道を左に折れ登山道に入っていく。

明るい唐松林

不動沢を渡る
 しばらくは林道の支線を歩くが、直ぐに本格的な登山道となる。先ずはカラマツ林の比較的明るい道を行く。そして不動沢に降りると「皇海山山頂3.2km」の道標があり一旦不動沢を渡り、カラマツ林を抜けると笹原の広葉樹林帯になる。傾斜の緩やかな笹原の道を進み再び沢に降りると二俣と呼ばれる場所に出る。ここで小休止、右俣に入っていく。この辺りからダケカンバやブナの黄葉が目に付くようになった。

不動沢のコル直下の急登
 この不動沢コースにはおびただしいばかりの赤布が付けられている。しかも一本の登山道というわけでもなく複数に渡っているところを見ると、かつてはルートファインディングが必要なコースだったと思われる。しかし今ではブリキ板や行政の立派な道標が数多く設置されているため迷うことは少ないのではないか思う。沢を右に左にと十回程度渡り返しながら徐々に高度を稼ぐと、ブナの木に赤ペンキで「水」と書かれた水場に着いた。ここが最後の水場になる。そして沢から外れて不動沢のコルに向かう最後の急登になるのだ。

不動沢のコル

登山道から鋸山
 湿った急なガレを一踏ん張りで不動沢のコルに飛び出した。南側には逆光ではあるが鋸山の岩峰群が見事だ。ここまでは沢歩きのため展望は全くなかった。しかも北側の皇海山への尾根を見ても山頂はまるで見えない。これは鋸山に登らなければ皇海山の写真は撮れそうもない。相談の結果、帰りに余力があれば行ってみようと言うことになった。ここで小休止。日差しが暖かい。

紅葉

山頂への急登
 コルからは気持ちの良い笹原を抜けていく。ここで下山者に会った。例の団体ハイカー達のことを尋ねると、11時30分に昼食を済ませて下山予定だという。ここはゆっくりと時間を取り団体ハイカーを迎えてから山頂に向かうことにした。笹原を抜けシラビソとコメツガの原生林の急登を上っていくとようやく団体が下りてきた。道を譲りちょっとした挨拶を交わしながら通り過ぎるのを待つ。さあ、これで静かな山頂を味わうことが出来るだろう。ペースを上げ、時々鋸山を振り返りながら山頂を目指す。紅葉が見事だ。

 原生林の急登も終わり傾斜も緩やかになると庚申山猿田彦の青銅の剣が祀られている場所に着いた。さあ山頂は近いぞ。ほんの一息で足尾山塊の盟主皇海山頂上に出た。そしてそこは誰もいない静かな山頂であった。
皇海山頂
 山頂からの展望は期待できないと思っていたが、それでも一回りしてみる。残念ながら潅木や伸びてきた若木に遮られ展望は良くなかった。しかも気温が高いせいか遠方はガスっていて見えない。YIによれば沼田方面がはっきりと見えるはずだったのだが…。間近に見える日光白根山さえはっきりと見えないのだから仕方がない。とにかく大休止とした。
 途中、庚申山から鋸山を越えやってきたハイカーが鋸山を越えて来なければ登山ではないと言っていた。そして鋸山は大変面白かったと…。確かに足尾側からの登山道を表とすれば利根村からは裏であろう。不動沢のコルに至るまでは展望と植生の乏しい(時期外れのせいか?)沢登りを強いられる。しかし近い将来、群馬県側から日帰りで楽に登ってこれる栗原川林道からのコースが主流になるのは疑いのないことである。登山人口の大半を占める中高年にとって明らかに手軽だからである。下山は予定通り鋸山中腹まで足をのばし皇海山の写真を撮ってから不動沢のコルを後にした。崩壊地まで戻ると復旧工事は大分進み、今月中には開通のめどが立ちそうな気配である。しかし、この林道を再び来るには相当の覚悟がいると思った。
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