巻機山
まきはたやま
1967m
みなかみ町・新潟県
前巻機山からの巻機山
登山日 2002年8月11日(晴れ) しんぷる娘
行 程 桜坂登山口(06:50)…五合目(07:40)…六合目(08:22)…七合目(09:07)…八合目(09:42)…前巻機山(10:10)…避難小屋(10:20)…巻機山頂(10:47-11:15)…牛ヶ岳(11:43)…水場(12:45)…五合目(14:26)…桜坂P(15:20)
 越後三山の南側、谷川連峰の北側に位置する巻機山。新潟県境の山であるが随分遠い山のような印象を受けていた。10月頃の紅葉が大変に素晴らしい山で、この時期の桜坂駐車場は早朝から満車状態になってしまうらしい。しかし、山頂付近の植生が大変豊かでお花畑あり池塘ありとハイカーを楽しませてくれるという。巻機山に対する漠然とした印象からコースタイムは長いがゆったりとした山歩きが出来ると思っていたが、前巻機山までの悪路と言える登山道と急登の連続、そして真夏の暑さに責められながらの山行になった。 案内板
 料金所のある舗装された桜坂駐車場に2台の乗用車が止められていた。やけに少ないなあと思いながら準備をしていると、一台の軽自動車が更に奥に入って行った。様子を見に歩いていくと更に広い駐車場があり多くのハイカーの車が止められていた。そちらに止めるのが普通のようだ。今日は久しぶりに娘と二人の山行だ。前夜になって娘が「私も行きたいけど連れて行ってくれるかい。」と訊くので、「いいけど珍しいな。」と返すと、「これ読んだら行きたくなった。」と「孤高の人」新田次郎著を指差して言う。しめしめ、蒔いた種が芽を出し始めたかな(^_^)v。

桜坂登山口

登山道

五合目から米子沢
 駐車場には既に人影もなく出立の遅さを感じるが、約8時間コースとみているので心配はない。いくつかある沢コースは登山禁止とされていたが、もともと一般向けの井戸尾根コースを予定していたので全く問題はない。登山カードを記入して歩き始める。
 直ぐに割引沢への分岐にでるが迷わず井戸尾根コースへ。まさに夏真っ盛りで樹木が陽射しを遮りやや暗い感じの登山道だ。ブナの若木が目立つ。登山道はだんだんと傾斜を増し粘土質の土のなって来る。展望はなし花もなく、展望が開けるという五合目を目指し黙々と歩く。久しぶりの早起きで調子が悪いのか汗がやたらと吹き出てくる。しかし日陰の登山道に助けられたこともあり時間的には順調に五合目に着いた。ここからは米子沢が見事だ。う〜ん、ここを遡行する人もいるのか、まあ自分には無理だなと軽く一蹴(笑)。展望もつかの間、再び樹林帯に入って行く。

六合目から天狗岩、割引岳

七合目

八合目からの木段
 傾斜は急登までとはいかないが、とにかく岩がゴロゴロした登山道で非常歩きにくい。五合目まで快適に歩いてきた足もだんだんと重くなって来る。何回か立止り休憩を入れながら六合目を目指すが、そのちょっと手前の展望もない登山道で腰を下ろし小休止。十分に水分補給をして再び歩き出すと直ぐに六合目。割引岳や天狗岩、ヌクビ沢が正面に見える。こんな所を登るなんてやっぱり危ないよな、と尾根コースを肯定(^^;)。相変わらず岩が多く歩幅を強要されるため歩き難い道が続く。
 ようやく森林限界に達したのか樹林帯を抜け、展望に優れるガレ場に出るとそこが七合目だ。前(ニセ)巻機山が大きく立ちはだかっている。そして笹の中に延びる登山道はさらに傾斜を増し急登だ。先行するハイカーもなかなか足が進まないように見える。振り返れば南方から西方にかけての山々が一望だ。ここからは陽射しを遮るものもなく暑い行程が予想される。たっぷり休憩を取ろう(^^)。汗をふき取った傍から汗がポタリと落ちてくる。シャツも背中の辺りがビッショだ。足を高く上げての急登を休み休みゆっくりと上る。途中すれ違った女性のハイカーが「これから辛いですよ〜。」と一言(>_<)。これには参った。水分補給が多くなり残量に今後の不安を残すようになった。八合目でまたまた休憩。笹を刈り取った道を行く。

前巻機山頂直前

前巻機山(九合目)

避難小屋
 ようやく傾斜が緩やかになり、前巻機山の向こう側に緑の草原に覆われた巻機山が姿を現した。娘としばし感激、そのゆったりとした山容を目に焼き付ける。形の良い割引岳が一際目を引く。九合目の前巻機山には2組のハイカーが休憩をしていた。ここまで来れば元気が出てくる。
 キンコウカやモウセンゴケの咲く湿地を横切る木道を避難小屋に向かって今度は降りていく。二階建ての立派な避難小屋だ。裏側にはトイレも設置されている。冬になればこの避難小屋あたりは積雪9m程にも達し小屋も埋もれてしまうらしい。ものすごい降雪量だ。小屋から5分ほどで水場があるが、水は帰りに補給することにして池塘の脇を通り巻機山への最後の登り道を進む。山頂付近を見上げればハイカーの姿が小さく見える。見た目ほどの傾斜はなく難なく巻機山頂に着いた。

避難小屋方面

巻機山(御機屋)

牛ヶ岳への稜線
 そこには「巻機山頂」と書かれた真新しい標識が立てられていたが、御機屋である。ガイドブックによれば「巻機山頂」はなく、御機屋や割引岳、牛ヶ岳など周辺一帯の総称として巻機山と呼ぶとされる。しかしながら私見ではあるが、ここ御機屋を山頂としてもいいのではないかと思う。久しぶりに家族と一緒の昼食である。ハイカーの話に聞き耳を立てていると、どうやら非難小屋下の水は冷たくて美味しいらしい。これで帰りの水は大丈夫、昼食にはのどにたっぷりと水を補給することが出来た。
 日陰はないが風が涼しくて気持ちが良い。草原に横になってのんびりとお昼寝でもしたい気分だ。「山はね、漠然と展望や雰囲気を楽しむのもいいけれど、周りの山々を知ったりそこに咲く花の名前を覚えることでもっともっと楽しいものになるんだよ。」と娘に言っておいた(笑)。
 なにやら上空には灰色の雲が出てきた。雨の心配はなさそうだがちょっと急ぐとしよう。もう時間的には割引岳と牛ヶ岳の二つは往復出来そうもない。比較して楽そうな牛ヶ岳を往復することに話が決まった。緩やかな登りを行くと谷川連峰朝日岳への縦走路を分ける。このあたりが巻機山頂らしい。ここから牛ヶ岳までの稜線がお花畑になっている。既にニッコウキスゲは終り、ハクサンフウロ、タテヤマリンドウ、オヤマリンドウなどの競演だ。そして涼しい風、気持ちの良い緑の草原と稜線、今日最高の山歩きだ。牛ヶ岳頂上からも道は続いていたが残念ながら引き返すことにする。下山に要する時間は3時間と踏んでいる。

牛ヶ岳から巻機山方面
 山頂に戻るとロング缶を空け、しきりに膝あたりをマッサージしている単独行のハイカーがいた。私達は彼のことを「ビールおじさん」と呼ぶことにした。頭はやや禿ていたが肌を見るとまだ若そうだ。まずは非難小屋下の水場に直行だ。度々後ろを振り返り巻機山の山容を眺めながらいったん下る。水場は避難小屋の前のテン場を通り過ぎ細い急な笹道を降りるとある。冷たくて美味しい水を頂きにいこう。

カラマツソウ
 笹の間の細い道をわずかに下ると水場に出る。きれいな水だ。手を入れてみると冷たくて気持ちが良い。ペットボトルに水を汲み飲んでみるが思ったほど冷たくはな〜い!、が美味しい。沢に下りると大気がひんやりと感じ肌寒いくらいだ。水場周辺にはカラマツソウとコバイケイソウ、イワイチョウ等が白い花を咲かせていた。娘はここでシャツを着替えた。非難小屋まで戻るとビールおじさんがベンチで休んでいた。前巻機山まで最後の上りだ。もう一度巻機山方面を眺め九合目から下っていく。

五合目
 七合目で休憩中にビールおじさんに抜かれ、六合目で休憩中を抜き返し、五合目で一緒になった。長野から来て今日はバテバテになったと言う。たまには北アルプスに来るんですかと言うので、群馬から出たことがないけれども、そのうちに行きたいと思っていると返した。米子沢を背景に写真を1枚取ってやった。彼が先行し後を追って我々も歩き出した。駐車場に戻り下山届を出し、駐車料金500円を払ってから巻機山を後にした。(なぜか、駐車場のおじさんがリポDを娘にくれた。ご馳走様でした。)
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