日光白根山
にっこうしらねさん
2578m
片品村・栃木県
登山日 2002年7月27日(晴れ) しんぷる
行 程 金精峠登山口(07:55)…金精峠(08:18)…金精山(09:00)…国境平(09:23)…五色山(09:50)…前白根山(10:25)…五色沼(10:50)…避難小屋(11:05)…白根山頂(12:00-15)…弥陀ヶ池(13:00)…五色山(13:55)…国境平(14:15)…金精山(14:35)…金精峠登山口(15:30)
 関東以北で最も標高のある山、日光白根山。冬の間は金精峠が通行止めになるため夏山が対象となる。菅沼からが一般的なようだし、また最近では丸沼高原からゴンドラを利用しての登山道が整備され身近になった様だ。しかし金精峠からのコースが展望に優れなかなか面白そうであり、アップダウンが多く上級者向けではあるが歩いてみたいコースと思っていた。深田百名山でもあることからハイカーの数は多いという。しかし金精峠からは比較的静かな山歩きが楽しめた。 案内板
 群馬県側から金精トンネルを抜けると直ぐに登山口がある。ここの駐車場からは崩壊が進む金精山の山肌が一望できる。昨年6月金精山に地割れ箇所があるとの登山者の報告により土砂流出を防ぐための砂防ダムを建設中である。菅沼登山口からの入山が主なようで、ここは空いている。建設工事関係者の車がとめられている駐車場の脇から登山道に入って行く。最初は笹の間を行く落ち着いた感じの登山道だ。崩壊のためかつての登山道が廃道化され、新道の案内に従って足を進めるが崩壊箇所の脇を直登して行くために殆ど垂直に近いような丸太階段や梯子、ロープなどが何カ所も設置されている。急登で歩幅も要求されるため非常に疲れる。やがて崩壊地の上を巻いて下りにはいると旧道と道を合わせ金精峠に出る。

登山口

崩壊地

金精神社
 ホタルブクロ、オトギリソウ、ヤマオダマキなどに慰められながら金精峠に出ると一人のハイカーが休んでいた。彼曰く「温泉ヶ岳の方に歩く人は少ないようだね」。ここからは日光の山々が一望できる。天気もまあまあだ。一汗拭い、男根が祀られている神社の脇を通って金精山を目指す。
 金精峠からはわずかのあいだ尾根歩きが出来る。双耳峰の燧ヶ岳や男体山などを眺めながらの歩きであるが直ぐ山の右斜面に入って行く。ハクサンシャクナゲが目に付く。ゴゼンタチバナやウスユキソウなどを楽しみながら歩いて行く。やがて傾斜もきつくなり梯子やロープが度々現れ、それらに助けられながらの苦しい歩きが続く。慰めてくれるのはズダヤクシュくらいだ。地割れ調査中の場所を何カ所か過ぎ、傾斜も緩やかになって来ると大きな岩のある山頂と思われる場所に出た。ここからも男体山方面の展望がよい。

湯の湖と男体山

金精山

登山道
 金精山からはシラビソの林をジグザグに下っていく。登山道はやや分かりにくいが迷う程ではない。やがて視界が開け笹原になってくると国境境に出る。ここは湯元への分岐になっている。五色山へは笹原の間の土砂が流出した跡のような道を行く。
 笹原の樹林帯の中、ハクサンシャクナゲがその数を増してくる。まだ立派に咲いている木もある。やがて視界の開けた展望の良い場所に出ると、登山道脇の笹原にハクサンフウロがチラホラと姿を見せてくれた。ヒョイと五色山頂(標高2379m)に出る。真正面に白根山の雄姿と五色沼の青く光った湖面が現れる。漸く一息つける、そんな気にさせてくれる場所だ。再び下って前白根山に向かう。

金精山からの下り

国境平

五色山へ続く笹原
 右に白根山、左に男体山等の日光連山を眺めながらの前白根山までの稜線歩きは気持ちがよい。多少アップダウンがあるが疲れを感じさせない程だ。ハイカーの姿も多くなってきた。稜線の東側斜面にはおびただしい数のマルバダケブキが黄色い花を咲かせていた。山頂はガレ場になっていてゆっくりと時間をとりたい場所ではなかった。

前白根方面からの五色山

前白根山への登山道

前白根山頂付近
 一旦五色沼に降りてみることにする。ガレ場の急斜面だ。転けて肘を少し擦りむいてしまった。大気汚染観測施設近くの分岐を避難小屋方面には向かわずに五色沼へ向かう。樹林帯の急な斜面だ。眺望はない。五色沼も近くなってきたと思った頃に水場があった。空になっていた500mLペットに冷たい水を補給して一安心だ。今日は合計1Lの水しか用意していなかったからだ。直ぐに五色沼に出る。湖岸には数多くのバイケイソウやハクサンフウロが目についた。ここからの白根山も大きい。

前白根山から五色沼

五色沼と白根山

 避難小屋
 さて、目的の白根山に足を進めなければならないが先ずは避難小屋への上りだ。多くのハイカーとすれ違う。クルマユリが下を向いて咲いていた。避難小屋はなかなか立派で、中を覗いてみるとロフト2階になっており毛布などの他に炊事道具まで揃っていた。これなら安心して泊まれそうである。平坦な道をしばらく行くと樹林帯を入り登につく。
 上り始めてしばらくはダケカンバの樹林帯が続く。ここまでは気持ちが良い。やがて森林限界に達したのか樹林帯から抜けると登山道はガレて来る。多くのハイカーとすれ違いながらの急な上りである。今までのアップダウンの繰り返しが応えたのかヤケに辛い。足を休め休めながらの我慢の上りだ。シロバナノヘビイチゴが慰めてくれる。ようやく草原の広がる火口原に出る。そこにはおびただしい数のアキアカネが飛び回っていた。山頂にも大勢のハイカーが群がっていた。原では昼寝をしているハイカーも数多くいた。

 

ガレ場を行くハイカー

火口原から山頂を望む
 山頂である。あいにく雲も多く大気も澄んではいないためやや墨絵かげんであるが、とりあえずは360度の大展望だ。急いで写真だけ撮り、やや降りた場所で昼食にした。日が陰り天候も雲行きが怪しい。丸沼高原山頂駅がよく見える。あちらからだと3時間弱の行程だ。とにかくハイカーの数が多くて落ち着かない。ゆっくりせずに帰路につくことにする。

白根山頂

山頂直下

弥陀ヶ池へ下る
 弥陀ヶ池への下りは即ち菅沼方面からだと上りとなる。こちらの斜面の方がきついかもしれない。ガレとザレでとにかく歩きにくいが、まだ足は力が残っているようで足取りは軽い。弥陀ヶ池を眼下に、そして急峻な岩が露出した白根山の後ろ姿を眺めながらの下りも楽しい。やがて傾斜も緩やかとなり右に進路を取ると弥陀ヶ池に出る。
 五色沼方面に戻り五色山への分岐を折れる。緩やかな上りがわずかでちょっとした平原に出る。ふと目をやるとニホンジカが草を食している。こちらに気づいたが距離があったせいか平然としていた。この鹿がシラネアオイを食し絶滅の危機にさらしたため今では保護地を設けその保護に当たっている。途中にその保護地がある。五色沼の展望場所もあり、思いのほか気持ちの良い登山道だ。そして五色山に向かって笹原とシラカバの中を歩いて行く。

弥陀ヶ池

ニホンジカ

登山道
 五色山頂からは来た道を戻るだけだ。一山ごとの上り下りで足がガタガタになってきた。こうなるとむしろ上りの方が楽になる。金精山からの下りは足が思うように降りてくれず本当に苦労をした。こんなきついところを上ったのかと思った。駐車場に間もなくというところで猿のお出迎えにあった。その愛嬌のあるしぐさに元気づけられた。そして標高1843mの登山口へと戻った。
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