平標山・仙ノ倉山
たいらっぴょうやま・せんのくらやま
1984m・2026
みなかみ町・新潟県
仙ノ倉方面から望む平標山
登山日 2002年7月14日(薄曇り〜晴れ) しんぷる
行 程 元橋P(07:10)…鉄塔(08:05)…松手山頂(08:45)…ケルン(09:45)…平標山頂(10:05)…仙ノ倉山頂(10:55)…平標山頂(11:55)…平標山の家(12:35)…平元新道登山口(13:30)…ゲート(14:00)…元橋P(14:20)
 平標山は谷川連峰の西端に位置する山だ。そしてその東側の仙ノ倉山は谷川連峰で最高峰の山である。この二つの山は谷川連峰においては穏やかな山容をしており爽やかな草原とお花畑が広がっている。元橋からは松手山経由と平元新道経由の2ルートがあり、前者は上りがきついと紹介されている。しかしながら林道を1時間あまり歩いた末、平標山の家までの急で植生の乏しい木段を一気に上がる後者のことを思えば、松手山からの開放感あふれる稜線歩きの出来る前者のコースがお薦めだ。 案内板
 台風6号の影響で,三国峠の群馬県側で土砂崩れが発生し完全通行止めとなった。復旧には期間がかかるという。このため関越自動車道の月夜野IC〜湯沢IC間が迂回路と指定され、現在この区間の料金が無料である。だいぶ遠回りになるが他に手段もないことから関越道を利用することにした。元橋の立派な駐車場には大型のバス2台と乗用者が十数台がとめられていたが意外と空いている印象を受けた。トイレ脇から登山口に向かって歩き出す。松手山経由で登り平元新道を降りてくることにした。

元橋駐車場

松手山コース

鉄塔下
 登山道は樹林帯の急登である。間もなく5人のご婦人方のパーティーに追いついた。こちらに気が付くと直ぐに道を譲ってくれたのだが、こうした場合どうしても早足になってしまい自分のペースを乱すことになる。ましてやきつい登りだ。極力意識してペースを崩さずに先に行かせてもらった。先ずは駐車場から見えた鉄塔を目標に登る。良く踏まれた登山道は急な登りではあるが歩き易い。木段やロープも所々設置されそれなりに役に立つ。登山道から時々鉄塔が見えるのだが中々到着できない。あせる気持ちはないのだが,それでも多少歩きに影響したのだろうか、鉄塔の立つ平地に着いた時には少しばて気味になっていた。ここには10人ほどの中高年のパーティーが賑やかに休憩を取っていた。ここからは苗場山方面がよく見える。水分補給をして一通り景色を楽しんだら先に出ようと思っていた。こうした団体の後を行くのは好まないからだ。ところがあいにく先に出発されてしまった。こうなると逆に時間を置いて出発しなければならない。頃合を見計らって出発する。登りはいくらか傾斜が緩やかになった気がした。それとも体が慣れてその様に感じられたのかも知れないが、とにかく体が楽になってきた。道はもう1度平坦地を通り尾根に出る。

巨大鉄塔

平標山への稜線

松手山頂
 ようやく松手山の山頂とその先に平標山が見えてくる。南側からの風が強い。冷たくはないが湿気を含んだ重い風である。先のパーティーは思った以上に健脚で逆に距離を開けられてしまうといった有様である。

ケルン

いよいよ平標山

平標山頂
 松手山からの稜線歩きは気持ちが良い。すれ違うハイカーが三国山はニッコウキスゲが咲き乱れて素晴らしかったと言っている。こちらは多くのミヤマカラマツの花が強風に揺れている。時折ハクサンフウロも姿を現す。背丈をそろえ決して自分だけが突出できない厳しい高山地帯に生きているものたち。
 歩いてきた道を何度も振り返りながら明るい山頂に出る。相変わらず強い風が吹いている。人気の山のいつもの山頂風景がそこにある。仙ノ倉方面は下から吹き上げてくるガスで見えない。平標山の家方面への道を確認した後,仙ノ倉山へと続く階段を降りていくことにした。

賑わう山頂

仙ノ倉への木道

仙ノ倉へ
 横殴りの風とガスの中,視界は50m程だろうか整備された木道を進む。ようやくニッコウキスゲが姿を現し始めた。相変わらずミヤマカラマツの白い花が風に揺れている。この辺りは既に笹はなく気持ちの良い草原である。さすがにこの天候状態では仙ノ倉に足を伸ばすハイカーは少ないようだ。オノエラン、ネバリノギランが良く目に付く。時折ガスが切れ山容が姿を見せるがそれも一瞬だ。最後の頂上へと続く階段を上ると誰もいない何も見えない山頂に着いた。メガネはいつのまにかビッショになっている。湿度100%といったところか。

ガスの中の仙ノ倉山頂

谷川方面を望む

平標山の家に続く登山道
 山頂には立派な方位盤があり、東方には谷川連峰を形成している数多くの峰の名が記されていた。ガスさえなければ360度の大展望が広がっていることだろう。そしてエビス大黒の頭から続く稜線が気持ち良く続いているに違いない。しかし今すぐにガスが切れるとは思えない。未練はあるがガスの切れている平標まで戻り食事としよう。誰もいない山頂を後にする。
 平標山との鞍部まで戻ると漸くガスも上がってきた。振り返れば仙ノ倉の見事な山容が一望出来るまでになっている。一本の木道が延々と山頂に続いているのがはっきりとわかる。そしてその奥には雪渓を残した谷川連峰が,さらに尾瀬周辺の山々も姿を見せている。いつかは縦走してみたい、そんな思いを胸に平標山への木段を登って行く。平標山頂は相変わらず賑やかだ。そして風も強い。平標の家まで降りれば風もないかもしれない。食事をとるにはちょうど良い時間だが木段を降りることにする。少し下ってみると風もほとんど感じなくなる。吹いてはいるが気持ちの良い風だ。途中の湿原にはワタスゲが穂を揺らしている。ところどころ切れはするが、ほぼ一直線に急な階段が平標山の家まで続いている。時々登山道を振り返ってみるが、とても登りたくはなくなる。平標山の家の赤い屋根が見えてくると、何か絵になる、そんな感じだ。左手に仙ノ倉を眺めながらのんびりと降りていく。

平標山の家

平標の鐘

平元新道
 平標山の家は予想していたより小さいものだった。白樺の木に「平標の鐘」が吊られていた。山小屋近くの風速計の傍で昼食にした。さてここからは大源太山〜三国山〜三国峠へと続く道があるが、平元新道を降りて林道経由で元橋の駐車場に戻る。
 この登山道は笹原を刈り取った道である。非常に良く整備され木段がほとんど切れることなく続いている。しかし笹原であったが故に登山道脇の山野草が少なく、歩いていて面白くない。延々と続くやや傾斜のきつい階段に膝が痛み出す。ここを一気に登って行くのもまた大変だろう。

カラマツ林
雑木林を抜けカラマツ林になって来ると階段も漸く終りだ。ひょいっと登山口に出る。かつてはゲートもなくここまで車を乗り入れることができたと聞くが、ここからは林道歩きだ。やや下り加減の道をひたすら歩く。やがてゲートに着く。ここにはちょうど沢が流れていて、沢から上げられた冷たそうな水がホースの先から勢い良く飛び出している。あまりにも嬉しくてメガネを外すのも忘れて顔を洗ってしまった。ゲートをくぐってからの長い道のりを分譲地に建てられた別荘を眺めながら駐車場に急いだ。

オオバギボウシ

ノアザミ

ウスユキソウ

ウツボグサ

ヤマアジサイ

ミヤマカラマツ

クルマユリ

オトギリソウ

ヤマブキショウマ

ウサギギク

ハクサンフウロ

ジョウシュウアズマギク

ニッコウキスゲ

ハクサンシャクナゲ

ヨツバシオガマ

ベニサラサドウダン

ウラジロヨウラク

ヨツバヒヨドリ

ハクサンイチゲ

ホソバコゴメグサ

シシウド

コメツツジ

オノエラン

ネバリノギラン

ムシトリスミレ

キンコウカ

モウセンゴケ

ゴゼンタチバナ
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