尾瀬笠ヶ岳 おぜかさがだけ 2058m 片品村・みなかみ町 |
登山日 | 2002年7月9日(曇り一時雨) | しんぷる |
行 程 | 鳩待峠(08:15)…原見岩(09:15)…笠ヶ岳分岐(09:45)…悪沢岳(10:00)…小笠直下(10:45)…小笠頂上(10:48)…笠ヶ岳直下(11:10)…湯ノ小屋分岐(11:40)…笠ヶ岳山頂(11:50-12:13)…小笠直下(12:43)…至仏分岐(13:22)…鳩待峠(14:22) |
笠ヶ岳はあるガイドブックで眺望は県下一とのくだりを読んでからずっと気になってきた山だ。5月の連休に隣の至仏山に登った際、分岐点を確かめようと思っていたが雪の下で解らなかった。秋から冬にかけての展望に時期にするか、夏の花の時期にするか迷っていたが、至仏山に匹敵するほど豊富だと言われる高山植物を優先することにした。あいにくの梅雨空だが、何とか持ってくれそうだ。かつて廃道に近かった登山道もすっかり整備され歩きやすくなったと言う。 | 鳩待峠 |
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鳩待峠駐車場は既に満車状態で駐車に手こずったが何とか無事にとめられた。曇り空だが薄日が差してきそうな気配だ。出発時間を確認して至仏山登山口に入って行く。5月に来たときは登山道はすっかり雪の下に埋もれてまるで解らなかった。樹林帯の登山道を進むと20数年前に至仏山に登った時の記憶が甦ってきた。確かあの時もこのような道を5人で登っていった。登山道の両側にはマイヅルソウやエンレイソウ、ユキザサなどの野草が延々と連なっている。展望のない登山道を行くとやがて南側が開けてくる。確かこのあたりから笠ヶ岳が姿を現すはずだが、あいにくのガスで展望は得られない。 | ||
至仏山登山口道標 |
樹林帯を抜けたところ |
賑わう原見岩 |
登山道は右方向に進みしばらく行くと尾瀬ヶ原の展望が得られる場所に着く。ここには大きな岩があり「原見岩」と呼ばれているらしい。ここは一休みするにはちょうどいい場所である。あいにく尾瀬ヶ原はガスに霞んではいるがそれはまたそれでよい。この辺りにはミヤマキンポウゲやタテヤマリンドウなどが今が盛りと咲いている。ようやく花らしい花に出会えた。ここから20分ほどでオヤマ沢に着く。ここの沢で水が補給できる。ところがこの辺からブヨがまつわり付いてうるさい。湿度が高く汗をかいているためか全然離れない。おかげで何カ所か喰われてしまった。 | ||
オヤマ沢道標 |
笠ヶ岳への分岐 |
登山道 |
今日は植物の写真を撮りながらのゆっくりとした歩きだ。曇り空でしかもガスもかかった状態で展望が悪いこともあって、足下ばっかりキョロキョロ見ながらまるで落とし物を捜しているような感じである。オヤマ沢田代の木道が敷かれた湿原を過ぎると漸く笠ヶ岳への分岐が現れた。ここからは未知の世界である。 殆ど登りのない平坦な登山道がしばらく続く。オヤマ沢の標高が1980Mとあったことから、そんなに標高は稼がなくても良いわけである。ガイドブックではこの辺りから笹の泥道になると記されているがどうだろう、登山道はきれいに刈り払われ快適そのものである。ちょうどガスもあがりだして快適な山歩きである。すぐに悪沢岳に着く。登山道のシラビソの木に「悪沢岳 KUMO」と書かれた標識がなければ通り過ごしてしまうようなピークである。しばらくはやや下り加減の樹林帯を行く。 |
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悪沢岳 |
登山道 |
樹林帯から見える小笠 |
樹林帯の切れ目から小笠が見えてきた。この調子でガスが切れてくれていればいいが。なんとなく薄日も差しだしたようだ。樹林帯を抜けるとそこは小笠直下のお花畑だった。チングルマとイワカガミが一面に咲き乱れていた。苦労は報われるものだ。お花畑の途中から小笠頂上に通じる道がのびている。せっかくだから上ってみることにした。 | ||
小笠への登山道 |
小笠頂上 |
小笠から望む至仏山 |
南峰には笠ヶ岳が、北方には山頂付近がガスで覆われた至仏山と小至仏が、西の眼下にはならまた湖が見えた。さて先を急ぐとしよう。のんびりと花を眺めすぎていたようだ。 小笠頂上から降りて再び樹林帯に入る。それもわずかで抜けると目前に笠ヶ岳が姿を現した。しかし登山道はその東側を巻くように続いている。そしてその巻道が二つ目のお花畑になっていて、小笠の時とはやや異なる植生となっていて面白い。眼下には片藤沼が見えている。 |
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再び樹林帯を行く |
笠ヶ岳 |
片藤沼 |
登山道を歩いていると何やら動くものに気づいた。よく見てみると蛙である。何でこんなところに生息しているのであろうか。蛙の種類はわからなかったが、どうも片藤沼で繁殖が行われているような気がした。おそらく訪れる人も少ないであろう片品村とみなかみ町藤原の境界にある沼。登山道は片藤沼の脇を通ってみなかみ町湯ノ小屋まで続いている。秋紅葉の時期に歩ければすばらしいと思われるのだが…。 分岐を笠ヶ岳山頂に進路をとる。上りづらい岩場の直登を息を切らしながら上り詰める。今日の歩きで一番辛い上りだ。笠ヶ岳の分岐からここまで数人にすれ違いはしたが誰もいないマイペースの歩きでここまで来た。山頂にも人の姿は見えない。一人で山頂独占かと思いながら山頂に着くと、なんと女性の二人連れが食事中。山頂標識がなくなってしまった山頂の写真を撮りやや下った場所で静かに食事をとった。 |
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湯ノ小屋への分岐 |
山頂近くの岩場 |
山頂 |
ガスが再び覆ってきて展望も期待できないため、早々下山しようと思っていると一人の青年が登ってきた。「こんにちは」の挨拶が実に清々しい青年だった。今までこんなに気持ちの良い挨拶を山行で聞いたことがなかった。彼は見晴で働いているという。 片藤沼に寄って戻ろうと思いながら山頂から降りていくと途中で雨が降り出した。雨具は傘だけだし風でも出てくれば大変だ。片藤沼は次回の宿題にして帰路を急ぐことにした。雨に急き立てられる様に足は快適に進んでいく。それでも多少風が出てきてズボンもすっかり濡れてしまった。もう花ばかり見ているわけにはいかない。足下に注意しての歩きが続く。原見岩あたりで雨も止んだが結局汗と雨でびしょ濡れになって鳩待峠まで戻った。 |