至仏山
しぶつさん
2228m
片品村
左;小至仏山 右;至仏山
登山日 2002年5月3日(晴れ) しんぷるライフ
行 程 鳩待峠(07:30)…オヤマ沢田代(09:00)…小至仏山直下(9:30)…至仏山頂(9:55-10:30)…蛇紋岩の登山道(10:40)…山ノ鼻への雪道(11:00)…山ノ鼻(11:40-55)…鳩待峠(12:50)
 至仏山は尾瀬において燧ヶ岳と並び日本を代表する花の名山だという。その山容は誠に穏やかで形がいい。今年になって長蔵小屋の廃材の問題、NTTの携帯電話、山ノ鼻ルートの利用禁止問題などで新聞等マスコミを賑わしている。至仏山は残雪期になるとその植生保護から入山禁止となる。そして鳩待峠まで自家用車の乗り入れ規制が掛かり何かと不自由だ。GW期間中が案外と融通のきく山であるのもまた確かである。雪解けの早い今年、軽アイゼン装備くらいでも登って来られそうである。20年近く前、山に全く興味のない頃登った山に再び登ってみることにした。 案内板

登山口の道標

登山口から

樹林帯へ
 鳩待峠駐車場は既に一杯らしく路上駐車の車が多い。もどる機会を失い、駐車場からUターンさせられる羽目になった。路上で準備をして舗装路を歩く。さすがに尾瀬、人また人である。ほとんどの人がスキーを担いでいる。担ぎ上がって滑って降りてくるのか…。中にはスノボの強者もいる。天気は上々、早速至仏山に向かって歩き出す。
 登山道はまだまだすっかり雪に覆われていて、いったい何処が道なのかはっきりとしない。しばらくはブナやシラカンバの樹林帯を進む。靴の踏跡やスキーの跡があるので、それに従って歩いていくと木の枝にテープが付けられているのが目についた。だんだんと視界が開けてきて、日光白根山、皇海山などが見え始める。そして右手の樹林の間から至仏山が見え隠れしてくる。積雪は1m程、道標もおそらく雪の中に埋まっているのだろう。再びオオシラビソの林の中に入っていく。林の中を歩き続けるとようやく尾瀬ヶ原が見えて来る様になる。一踏ん張りで稜線に出た。この辺りがオヤマ沢田代のはずだがすべては雪の下、尾瀬笠ヶ岳への分岐も分からなかった。

小至仏山直下から
 広い尾根からは小至仏山が大きい。振り返れば武尊山が。雪上の踏跡は山頂を東側から巻いてのびていた。稜線は既に雪がなくハイマツと蛇紋岩の間を縫うように登山道が見えた。しかし、雪上歩きの方が楽である。まして植生保護のために制限された登山道ではない。夏にこの辺りはお花畑になるはずだ。至仏山まで延々と雪上歩きが続く。スキーヤーも案外速いぞ、道を譲ることが多くなる。風が強く、そして冷たい。燧ヶ岳や尾瀬ヶ原の眺めが良い。

山頂

山頂風景

遠く越後三山を望む
 尾瀬ヶ原を中心とした素晴らしい景色を眺めながらようやく至仏山頂に着いた。とにかく風が強い。ザックまで飛ばされそうな勢いだ。記念写真を早々に撮り、北側の岩陰に隠れて早お昼にする。このテラスからは北の山々が一望だ。
 西には谷川連峰、そして目を移していくと巻機山、越後三山、その手前には丹後山をはじめとする県境の山々〜平ヶ岳〜景鶴山、そして会津駒ヶ岳等々の大展望だ。あこがれの大水上山も何処かに見えているはずだ。

燧ヶ岳と尾瀬ヶ原

蛇紋岩の登山道を山の鼻に向かう

木段
 次に山ノ鼻に向かう。今このルートは植生保護のため再度利用禁止にする動きが出ている。いずれ何らかの規制が掛かることだろう。通れるうちに通っておくことにする。この登山道は蛇紋岩で滑りやすく非常に危険だ。ほとんどを木段になっているがそれでも植生を守れないのだという。山ノ鼻まではほとんど残雪がある。高天ヶ原付近で一部登山道が露出した場所があったが、注意深く下ると直ぐに雪上歩きとなった。

山の鼻に向かって尻セードで降りる

もうすぐ山の鼻

山の鼻小屋
 適度な斜面と雪のしまり具合が合い、妻はシートを尻に敷きシリセードで面白そうに降りていく。こちらは置いて行かれないように駆け足で後を追いかける。靴をそろえれば十分に滑って降りられた。楽しいシリセードもやがて現れた樹林帯の手前で終わった。山ノ鼻へはもう少しだ。
 樹林帯を抜けると山ノ鼻の雪原に出た。小屋に向かって足を進める。キャンプ場には多くのハイカーやスキーヤーが幕営をしていた。ここは風もなく汗ばむようだ。川の水量も多く、濁りのない雪解け水を勢いよく流していた。ふと目をやると雪が融けた湿原の一部が清らかな水を蓄えていた。そして、そこには山鳩が1羽、まだ顔を出したばかりの水芭蕉の間を動き回り何かをついばんでいた。

川上川に沿っての登山道

鳩待峠まであとわずか

鳩待峠休憩所
 川上川に沿った緩やかな上りの登山道をやや足早に行く。結構足が重く息が切れてくる。残雪がうっとうしい。木道はほとんどが深い雪の下、それでも踏み外したのかぽっかりと大きな穴が所々あいていた。木道もはっきりしてくると鳩待峠は直ぐそこだ。
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