諏訪山
すわやま
1549m
上野村
諏訪山(湯の沢の頭付近から)
登山日 2002年4月28日(晴れ) しんぷるライフ
行 程 浜平登山口(07:30)…湯ノ沢の頭(09:10)…弘法小屋(09:40)…2連の鎖場(09:55)…三笠山頂上(10:13-20)…諏訪山山頂…(10:40-11:15)三笠山(11:50)…弘法小屋(12:35)…湯ノ沢の頭(13:10)…浜平登山口(14:45)
 上野村の静寂の山「諏訪山」。その東側にそびえる「天丸山」と並んで非常に気になっていた山だ。この山に関してはあまり花の話が出てこないが、新緑を楽しむだけでもいいと思いつつ、標高もそこそこあることからヤシオツツジもヒョッとしてとの期待を持っての山行だ。湯ノ沢は小滝の多い気持ちいい沢歩きで、湯ノ沢の頭からはアカヤシオやミツバツツジ、ヒカゲツツジと意外なほど花が多い。鳥の種類も多いようで気持ちのいいさえずりを聞かせてくれる。そして三笠山(下ヤツウチグラ)からの展望、それはまことに見事である。 下ヤツウチグラ(三笠山)

登山口の道標
 浜平の小さな集落に入ると直ぐに登山道入口の道標が目につく。そこは既に廃業した奥多野館の案内表示板もそのまま残されていて、近くに宿泊客用の駐車場が残されている。既に2台の車が駐車していた。奥多野館の廃業を知らなかったため、その先150m程行き過ぎた路肩に駐車し準備を整え戻ってくると、更にもう一台車が停められていた。

朽ち果てた木橋の先の登山口の案内

旧奥多野館への橋
 以前の諏訪山に関するHPや案内を見ると朽ちてしまいそうな木橋が架かっているはずだが、実際に朽ち果ててしまったらしく、今は旧奥多野館へと続く立派な鉄製の橋が架かっているのみだ。木橋が架かっていた時には用をなしていたと思われる立派な登山口の案内板が何とも的はずれでおかしくもある。

湯の沢

湯の沢と丸木橋
 鉄製の橋を渡って登山道に入っていく。すぐに営林署宿舎が現れるが、現在使われていないらしく、なんか不気味な感じを受ける。湯の沢沿いの道はなかなか快適で整備もされている。沢に沿って登山道は続き、何度か沢を右に左にと渡り返す。難所には丸木の橋が架けられており快適に足を運ぶことが出来る。沢の水量も多く小滝が数多くあることから水音もややうるさい。

新緑の登山道
 何度か沢を離れ登山道は続くが、再び沢に合流する。やがて沢が二股に分かれ登山道は右の沢沿いに進む。この沢に沿ってはおびただしい数の「ハシリドコロ」が見られる。上を見上げれば、まばゆいばかりの新緑が心を和ませてくれる。いつの間にか沢は涸れやや広い場所に出る。ここで小休止だ。新緑を楽しみながら汗をぬぐう。直ぐに登山道はジグザグの急登になり、やがて稜線が見えてくる。

湯の沢の尾根

湯の沢の頭から
 気持ちのいい稜線に出る。ここで漸く諏訪山が木々の間から姿を現す。急な岩場をひと登りで湯ノ沢の頭に着くことが出来る。ここからやや下り加減に進むと楢原からの橋ノ沢コースと合流する。ここにはおびただしい道標が立てられている。ここからは気持ちのいい稜線歩きだ。いくつかのピークがあるが右に左にと尾根に絡み登山道は続く。途中背の低い笹道を歩く。

弘法小屋
 やがてトタン作りの避難小屋「弘法小屋」に着く。とても避難小屋というイメージではなく、およそ6畳ほどの広さの小屋の中には、取り外された扉が中に横たえられ、屋根には所々穴があいていて無惨な姿をさらしていた。ガイドブックによればここからは急な登山道となるようだ。確かに道は急峻となり立木に掴まるようになる。急登を喘ぎながら登って行くと間もなく岩場が現れ、そこには2連のアルミ製の梯子が架けられていた。

急登

梯子の岩場
そこで先行者に追いついた。慎重過ぎるほどのペースでゆっくりと梯子を登っていく。登り終えるのを待ってから梯子に手をかけた。2つ目の梯子の左脇には古びた鎖が架けられていた。かつてはその鎖を頼りに登っていたと思われる。この辺りまで来るとアカヤシオやヒカゲツツジが迎えてくれた。梯子を登り切るとちょっとした岩峰にでる。ここからは目前に「下ヤツウチグラ」の大きな岩峰が姿を現した。

三笠山山頂

三笠山山頂標識
 一旦その岩峰を下り「下ヤツウチグラ」を目指す。岩峰から見た急峻な山容とは思えないほどふつうの登山道で、基部を右に巻いておよそ20m程の岩場を登り切ると山頂に出た。ここには「三笠山」の山頂識と木製の立派な祠が置かれていた。この山頂はまさに360度の大展望。西上州の山々がほとんど見渡せる。

アカヤシオと諏訪山(三笠山から)

三笠山からのロープ場
 そして、目指すピークである諏訪山が意外なほどの岩峰をむき出しに、尚かつアカヤシオのピンクに岩肌に染めてその姿を見せていた。ここで先ほど追い越した先行者と一緒になる。彼らはここでお昼にするという。我々は諏訪山山頂を目指す。ここからは一旦、岩場をロープを頼りにコルに向かって降りていく。

諏訪山への急登
 コルからは、立木や根に掴まっての急登の歩きが度々ある。その稜線には、満開のアカヤシオやヒカゲツツジが数多く迎えてくれた。そしてアセビの木が非常に多い。所々にシャクナゲの木が生えていた。何度かの小ピークを越えた後、急登を一踏ん張りで「上ヤツウチグラ」つまり諏訪山の山頂に着いた。このピークはやや細長く思っていたよりも広かった。山頂を独占しゆっくりと昼食にした。

諏訪山頂上
 食事の間に単独行者が一人やってきただけの静かな山頂だった。さて、のんびり下山に移ろう。三笠山まで戻るとその山頂には所狭しとハイカーが腰をかけていた。さすがに360度の展望、まして諏訪山山頂は展望に優れないとすればここにのんびり腰を落ち着けていても不思議はない。ここまで来て諏訪山山頂まで足を伸ばさないのももったいない気がするが。弘法小屋を過ぎ気持ちのいい稜線歩きにはいると、山鳥の何ともいえぬ気持ちのいい鳴き声が耳に入ってくる。久しぶりに聞く鳥のさえずり。思わず足を止めて聞き入るほどだった。
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