裏妙義縦走
うらみょうぎ
安中市
裏妙義(西大星、赤岩、烏帽子岩)
登山日 2002年3月23日(曇りのち晴れ、一時雪) しんぷる
行 程 麻苧の滝駐車場(08:20)…麻苧の滝(08:30)…ざんげ岩(09:05-10)…産泰山(09:40-45)…御岳山頂(10:35-40)…分岐(11:30)…丁須の頭(11:40-12:20)…20mチムニー(12:25)…赤岩基部(12:40)…風穴尾根の頭(13:35)…三方境(13:45)…並木沢登山口(14:35)…麻苧の滝駐車場(14:55)
 裏妙義の象徴「丁須の頭」。裏妙義を歩くには必ず立ち寄るところと言っても過言ではないだろう。さて登山道は国民宿舎裏妙義からの籠沢コース、鍵沢コースなど何通りかあるが、どれを選択するか迷っていた。谷急山は既に登っている。そして選択したのは麻苧の滝からの御岳稜線コースで丁須の頭、赤岩、烏帽子岩を巻いて三方境に出て並木沢を下る裏妙義縦走コースとした。ガイドブックなどによると6時間ほどのコースとなる。あいにくの天気で出発時には全然山容は見えなかった。回復するとの天気予報を信じて登り始める。

麻苧の滝案内

麻苧のつり橋
 御岳稜線コース登山口と下山予定の並木沢登山口間の距離はざっと4km、時間にして徒歩1時間である。そこで息子の乗れなくなった自転車・栄成Jr号を並木沢登山口に配置し麻苧の滝駐車場に到着。天気は雨模様でいつ落ちてきてもおかしくはないが、明日にかけて回復するとの天気予報を信じて歩き出す。この天気では全く山容を見ることが出来ず、せっかくの稜線歩きなのにがっかりだ。

麻苧の滝
 麻苧の吊り橋を渡るとすぐに立派な登山者カード入れが設置されていた。妙義山と言うこともあってしっかりと届けを出しておいた。麻苧の滝周辺はちょっとした公園になっていて遊歩道が整備されている。りっぱな木段を一登りでこぎれいな東屋に出る。すぐに麻苧の滝に到着だ。ここまで所々に七福神が奉られている。どうも日本人はこういうのが好きなようだ。滝を見ながら「たきみばし」を渡ると早速鎖場のお出ましだが、難なく登り切るといよいよ登山道はヤセ尾根の急登となる。岩が露出し木の根や枝に掴まっての登りとなる。

鎖場

鎖場
 岩が濡れていて滑りやすくなっているため注意が必要だ。2番目の鎖場、ここも岩場だがステップが切ってあり心配はない。縦2〜3mを登り切ると横に20m程の鎖だ。岩場をトラバースしながら登山道は進む。続いて3番目の鎖場、岩場を巻いて横に20m程延びていて下は絶壁。三カ所の鎖場を過ぎるとやや広くなった尾根道の中央部がくぼみ細かい軽石が露出しているため非常に歩きにくい。

ざんげ岩
 ざんげ岩に到着。横川駅の方は霧のため全く視界はない。自動車の音とかは良く聞こえるのだが…。ここから下を覗き込んで見るつもりだったが仕方がない先を急ぐとしよう。(帰りに横川駅から見たが、岩がまるっきり飛び出していて恐ろしかった。)ざんげ岩を過ぎると尾根も段々広がってきて気持ちのいい稜線歩きとなるが、何度か厳しいアップダウンを繰り返す。

産泰山の石碑
 産泰山の石碑の正面も怖い断崖絶壁。あいにくのガスで真下が見えないだけに高度感を感じないが、スパッと切れ落ちているため尚更怖い。ルンゼの源頭を大きく左にトラバース、谷間を木の枝に掴まりながら急登を登る。この辺りは黄色や赤色のペイントだらけだ。非常に間違いやすく危険な場所なのであろう。つらい登りが続く。10:10岩峰の脇に6畳程の穴とその中に2つ石碑がある場所に着く。その上には5m程の鎖が2連の4番目の鎖場。ようやくガスが晴れてきて、見る見るうちに町の様子が見えてくる。やったねと思いきや残念、またガスに閉ざされてしまった。

御岳山頂963.2m
 5番目の鎖場を楽にクリア。石祠がひとつあり、いつもながらお賽銭があがっている。石祠から5分足らずで御岳山頂に到着。展望まるでなし、青空なし。先が思いやられるなあ。御岳の石版は真ん中から割れていて補修が施されていた。さらに上部左側は欠損したままだった。御岳からは岩稜の痩せ尾根を下ってくると6番目の鎖場、およそ20m程の3連の鎖。ガスで下は見えないが見えれば相当な高度感を味わえそうだ。すぐに7番目の鎖、怖そうだ。緊張の連続でとても油断できない。

丁須岩

籠沢、丁須の頭への分岐

丁須の頭
 11:00ようやくガスが晴れてきた。浅間山が見える。そして稜線の先には丁須の頭が姿を現した。ようやく空も晴れてくれた。期待が出来そうだ。元気が出てくる。浅間山は大分雪も融け、白と黒の縞模様に姿を変えている。しかしながら妙義湖方面はまだガスがかかっていて展望はない。丁須の頭への分岐からは直ぐに鎖場だ。妙義というところは本当に鎖場の多い山だなあ。断続して現れる鎖場をちょうどぐるっと1周するように回り込むと丁須の頭を見上げるようになる。
ここからは鎖に頼って肩まで登っていくがもう鎖場もなれたものだ。ここは写真で見るほど怖い場所ではなく360度の展望が得られた。誰もいないピーク、まさか誰もいないとは…。やや風が出てきたが暖かな陽気だ。一通り展望を楽しんだ後、昼食にする。定番のコンビニおにぎりとカップラーメンだ。そしてここには「峠の釜飯」の破片が散乱していた。ここまで持ち上げて誰かが食べたに違いない。

表妙義
 さて、登る気もないし登れるとも思わない丁須の頭の鎖に触りに行く。肩からみると難しくもなく登れるように見えるが…。見上げてみてあっさり引き上げる。やっぱりやめておこう、変な気は起こさない。ここまで一人のハイカーとも会わなかったが、30代と思われるカップルが登ってきた。地元松井田からだという。歩き始めはガスで視界がきかなかったことから、「晴れて良かったですね。」などと言葉を交わして丁須の頭を後にする。

20mチムニー
 赤岩・烏帽子をトラバースしての縦走路に入るといきなり鎖場だ。ここは問題なく通過だがヤセ尾根が続く。左右に道が分かれるが右に進路をとると直ぐに岩壁。よじ登って越えた後鎖で降りると左からの道と合流、左からは安易な道だった。丁須の頭の眺めはこの辺りからが最高にいい。
 歩き出して5分ほどで最大の難所と言われる20mチムニーの鎖場だ。この中を降りていくのだが、上からのぞいた感じでは予想していたほど大したことはなさそうだった。ところがザックは擦るしスタンスが取りづらいこともあって腕力頼みの降下となった。中間地点で休める場所があったから何とか無事に通過、ほっと一息だ。道標にやっと「三方境」が出てきた。御岳稜線コースではずっと「横川/丁須の頭」の道標が何十と立てられていた。チムニーを抜けてからは雑木林の明るく気持ちいい稜線歩きで緊張の糸が少しほぐれてきた。

赤岩基部
 赤岩の道標の後ろにははっきりとした踏み跡がある。ここから登れるのだろうが、危険なため枯れ枝で封鎖しているものと思われる。岩登は好きではないのでこのまま通過する。赤岩の基部からは直ぐに20m近い2連の鎖が縦に張られている。この岩にはステップが切ってあり、心配なく降りることが出来る。降りきると東側に大きく突き出した岩稜30m程の鎖で大きく巻いて進む。この鎖場は鎖から手を離しさえしなければ全然危険ない。何カ所かの鎖場を頼りに赤岩の基部を大きく巻いて登山道は延びている。上を見上げてみるとなるほど赤褐色の岩肌をしている。

50mの鎖場
 赤岩そして烏帽子岩の巻き道は鎖場の連続である。少しも気を許せない。そして最大の鎖場である。全長50m位ありそうである。そしてその核心部にはアルミ製の梯子が架けられている。思っていたほどの難所でもなく、やはり鎖から手を離さなければ危険はない。そして雑木林の登山道となる。途中5mほど登山道が崩れ落ち土の斜面を進むが、再び鎖場、これを登り切ると稜線歩きのようだ。風の音がゴーゴーと聞こえてくる。この頃になると青空はすっかり厚い雲に覆われてしまった。

烏帽子岩と赤岩
 やがて白いもの下から吹き上げてきた。雪だ。雪が足下から吹き上げてくるとは…。こういう山の雪は初めてだ。風の音も強い。ゴーゴーという風の音には畏れを感じる。烏帽子岩を巻き終わってからは岩場の少ないフワフワした土の稜線歩きだが風の音が相変わらずだ。雪も僅かでやんでいた。風穴尾根の頭に登ってみると今通ってきた烏帽子岩、赤岩、丁須岩など縦走コースがはっきりと見て取れる。ここをずっと歩いてきたのだなあとしばし感慨。あとは三方境に出て並木沢を下るだけだ。

三方境
 ここ三方境は谷急山に登ったときに来たことがある。そして並木沢はその時に往復した道だ。厚く堆積した落ち葉を踏みしめて急ぎ足で降りていく。ほとんど小走り状態だ。
14:15「十三曲り」を下り杉林に出ると枝打ちされ歩きにくい。
谷急山ハイキングのことを思い出しながら並木沢登山口に到着だ。栄成Jr号に乗って裏妙義の山容を見ながら、さあ麻苧の滝駐車場までの国道18号の道のりだ。一部こがなければならないが、ほとんどが下り坂で快適。あっという間に駐車場。
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