武尊山
ほたかやま
2158m
みなかみ町・川場村・片品村
沖武尊
登山日 2001年11月28日(晴れのち曇り) しんぷる
行 程 林道終点(8:15)…剣ヶ峰山分岐(8:30)…手小屋沢避難小屋分岐(9:35)…藤原武尊峰(11:00)…山頂(11:30-12:00)…剣ヶ峰山への稜線(12:00-13:20)…川場スキー場への分岐(13:20)…剣ヶ峰山頂(13:30-40)…武尊沢(15:40)
 初冬のこの時期に思いっきり山歩きをしたい。幸い今年は降雪が遅く、利根郡内の山もまだ楽しめそうだ。さすがに12月ともなると積雪があり私には無理となってくる。武尊山はこの夏に武尊牧場コース往復で初登頂したが、あいにくのガスで360度の展望が楽しめなかった。展望を楽しめて思い切り歩ける武尊山を武尊神社登山口から沖武尊〜剣ケ峰山経由で歩くことにする。 武尊神社

林道終点
 前日の天気予報は快晴。06:30自宅を出る。武尊山も谷川岳も雲をかぶっていない。今年は山の雪が遅く、雪のない初冬の山歩きを楽しめそうだ。水上に向かう途中、ラジオでの天気予報は午後から曇りになるという。宝台樹キャンプ場に向け車を進める。ここは冬期通行止めになるがゲートの脇から入ることができる。ここからは道路に積雪がある。昨夜のうちに降ったと思われる新雪だ。ノーマルタイヤだが四駆にして先に進み、武尊神社に車を止めて歩き出す。するとその先の林道ゲートが開いている。これは運がいい。早速車まで戻り林道終点まで乗り付ける。
 さて、思わぬ10cmほどの積雪。雪の装備はしていない。ウインドヤッケとロープ・クサリ用の軍手だけだ。行けるところまで行って、無理せず戻ればいいと考え歩き出す。林道の続きのような広い登山道を行く。新雪の登山道上にキツネか何か(キツネとしておこう)のトレースが続いていた。そのトレース上を歩いていく。

剣ヶ峰山への分岐

登山道

上ノ原コースと合流
 キツネのトレースはここを左に折れ、手小屋沢避難小屋方面に続いていた。まるで私を案内しているようだ。積雪の量は変化がない。ここからが本格的な登山道といった感じだ。中登の比較的歩きやすいコースだ。ひたすらキツネの跡を行く。ただ、雪のために足を滑らすことが多く、余計な体力を使うことが気になる。1時間ほどの歩きで尾根に出て上ノ原からのコースに合流する。右に進路を取る。
 合流して5分ほどで「手小屋沢避難小屋〜手小屋沢林道終点」への分岐道標がある。避難小屋はやや下ったところにあるらしく見ることはできない。この辺りからトレースはいったん消え、しばらくして再び現れた。尾根に出たためか風の音が聞こえる。相変わらず積雪はあるが気持ちいい歩きだ。登りが急になってくるとやがてロープが現れる。キツネの案内はここで終った。

ハシゴとロープ
 軍手をはめる。雪の準備をして来ないので仕方がない。雪に埋まっているロープを引っ張り出し雪を落としてから掴まる。4本のロープは難なくクリア。すぐに岩場のクサリが現れる。これは難儀しそうだ。それに風も冷たくなってきたので、ザックからヤッケを取り出しフリースの上に着る。雪に隠れて岩の形状がわからない。スタンスがうまく取れないため腕力頼みの登りだ。それにクサリが滑る。腕に巻きつけての必死の登りだ。

クサリ場
 何とか最初のクサリをクリア。しかし軍手は凍り、手がかじかむ。軍手の雪と氷を払い、素手を体で温めるが痛みとなって来る。やはり装備不足といわざるを得ない。水筒に入れてきた湯を飲み、手が温まるのを待つ。すぐに第2のクサリだ。これも何とかクリア。先ほどよりも手は冷たくない。逆に熱を持ってきたようだ。よし大丈夫だ。

藤原武尊峰から沖武尊
ここが藤原武尊峰のようだ。気持ち良さそうな稜線が武尊山頂へと延びている。このまま稜線を歩けば山頂だ。登山道を邪魔するハイマツを手で押しのけたりくぐったりしながらしっかりと歩いていく。展望も良し。最後の急登を一気に登る。

山頂
 山頂だ。風が強く冷たい。雲の動きも早い。展望が気になる。武尊牧場からの初登頂ではガスで全く展望が得られなかったからだ。北方の谷川、尾瀬方面は雲がかかり中腹から山頂付近までは隠れている。しかし山の多いこと。雪をかぶった山の海が延々と続いている。北方以外は雪も無く見事なまでの展望が続く。富士山も見える。日光白根、皇海山、赤城山から浅間山方面まで一望だ。

剣ヶ峰山への稜線
やや下方の日本武尊の像に目をやれば、二人連れのハイカーだ。山頂に付いている足跡は彼等のものと思われる。やがて片品方面にむけて姿が見えなくなった。
 昼食は、ガスが途中で終わってしまってラーメンにはありつけない。おにぎり一つと湯一杯で済まし剣ヶ峰山に向かって足を進めよう。あれ、軍手が無い。ズボンのポケットからハイマツが剥ぎ取ったかな。あれ、記録用紙もない。ひょっとしてクサリ場で落としたかな。これで今までの細かい記録が無くなってしまった。

山頂からの急な下り

剣ヶ峰山

川場スキー場への分岐
 気を取り直して、山頂直下の急峻な下りを、シャクナゲやハイマツなどの枝に掴まり滑り降りる。足を引っ掛けないように注意深く降りる。10分ほどで急下りは終り、展望を楽しみながらの稜線歩きとなる。川場谷を形成している家ノ串や剣ヶ峰などを見ながら快適に足は進む。シャクナゲの群生とハイマツの間を多少のアップダウンを繰り返しながら、ツンとその山頂を空に向けている剣ヶ峰山に向かっての歩き。今日の山行で一番楽しみにしていた行程だ。風はやや強いもののさほど気にはならない。時々振り返り武尊山の雄大な姿を見上げる。
 やがて分岐に着く。左は剣ヶ峰山0.1Kmとある。木々の間から見上げれば、ずっと遠くそして高く感じる。一歩二歩踏み出してみると吹溜りになっているのか雪が膝までくる。しかも急登だ。あと100mを信じて足を進める。枝に掴まりながら徐々に高度を稼ぐと、最後にちょっとした岩場を超え山頂に着く。

山頂標識

獅子が鼻山〜鹿俣山

武尊沢での標識
 山頂は見上げていた様子と異なり険しくはない。細長くてむしろ登山道そのもののような感じを受ける。川場スキー場のリフトが見える。玉原湖が一望だ。尼ヶ禿山、鹿俣〜獅子ヶ鼻山〜ここ剣ヶ峰山まで続く稜線。ここも登山道がつながれば楽しいだろう。分岐まで戻り帰路に就く。
 急な下りが延々と続く。倒木や木の根雪に隠れているため非常に歩きにくい。何度が滑って転がりそうになりながら、とにかく怪我がないように慎重の上にも慎重に下っていく。雪のない道でもこの登山道は大変だろう。このコースは面白くないかもしれない。40分ほどの急な下りが終わり道標が現れる。周りにはいつの間にかヒノキが現れ、沢の音が聞こえる。風はここには来ない。自分の吐息を意識しての歩きだ。平坦で小さなアップダウンを繰り返しながら、道はいくつかの沢を越えていく。やがて道は徐々に広がり手小屋沢への分岐にさしかかる。ここから車まで10分ほどだ。膝から下がビッショリ濡れたズボンとグショ濡れの靴で、キツネと私の残したトレースの残る道を急ぐ。林道は日陰に雪を残すのみで他はすっかり融けてなくなっていた。
inserted by FC2 system